「絶対に攻める」決まった大技“1440” 逆転金・村瀬心椛はもう一つの挑戦へ

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「また銅メダルかと思いたくなかった。絶対にやってやる」

【写真は共同】

 3本目の滑走前、村瀬はこの時点で銅メダル以上を確定させていた。

「メダルは確定していたかもしれないけど、『また銅か』と絶対に思いたくなかった。絶対にやってやろうって気持ちになった」

 迎えた3本目。村瀬はFS1440を選択し、狙い通りの着地を決めた。得点が逆転を示すと、会場の空気が一段と沸き上がった。

「鳥肌がたった。FS1440は練習でたくさん怪我をしてきた技で……」

 言葉を選びながら振り返った表情には、難度の高さだけでは測れない重みがあった。

 滑走後、拳を突き上げ、頭を抱えるように涙を流した村瀬は、結果が確定するまで他選手の状況を把握していなかったという。

「他の選手を見ていなかったので、自分の1440は本当に“金”になるのか?という感情だった」

 金メダルが確定した後は、率直な言葉が並んだ。

「信じられないくらいうれしい」
「この4年間、本当に濃かった。前回のオリンピックより、自信に溢れているような滑りに成長できた」

「金メダル触りたくて(笑)」

 表彰後には、素顔がのぞくエピソードもあった。

「初めて金メダル触ったのが“キラ”のだった(笑)。自分のが初めてじゃなくて」

  男子ビッグエアで金メダルを獲得した木村葵来のメダルに触れたのが先だったという。

「キラの金メダルを触ったからこそ、絶対に私も“金”を獲りたいという気持ちになった」

  周囲の快挙が刺激となり、自身のスイッチを押したことが伝わる。

「すぐ触りたくなっちゃって(笑)」

 勝負の場で見せた強さとは別に、等身大の笑顔もそこにあった。

 ビッグエアでは日本勢が男女ともに金メダルを獲得した。日本が“スノーボード大国”であることの証明と言っていいだろう。

 村瀬は4年前の北京五輪で銅メダルにとどまったが、圧倒的王者へと登りつめた。ただ彼女のミラノでの飛翔はまだ「着地」していない。2月17日に行われるスロープスタイルでも、同じような勝負強さを発揮してくれることだろう。

(取材・文:岩垂かれん/スポーツナビ)

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