長野パラの舞台で迎えたミラノ“前哨戦” 若きエースとレジェンドが語る手応えと課題
ミラノ・コルティナ2026冬季パラリンピックを約1か月後に控えた今大会には、北京パラリンピックの金メダリストでミラノが3大会目となる川除大輝、そして長野から8大会連続出場を迎える新田佳浩らが出場。若きエース・川除はスプリントと10kmクラシカルで2冠を達成し、レジェンド・新田もスプリント、10kmクラシカルで準優勝と存在感を示した。本番と同じ種目順で行われた同大会は、1998年冬季パラリンピックの記憶が刻まれた白馬の地で、2人の「今」を映し出す舞台ともなった。
ミラノを想定して臨んだ“答え合わせ”の2日間
「自分のクラスは常に動き続ける必要がある。全力で3本走ってしまったら後半に影響が出る」
スプリントは予選・準決勝・決勝の3本を1日で走る過酷な種目だ。全レースを全力で走れば体力を消耗してしまい、2本目以降に響くことも当然ある。この日の川除は、スタートから冷静にレースを組み立てた。
「予選は7〜8割に抑えて、準決勝も3位以内に入ればいいと思っていた」
予選1位は新田だった。それでも川除は慌てることなく、自らのペースを守り、決勝でしっかりと仕掛けた。
「最終的に勝てたことは、自分にとって良かった」
スプリントの勝利が示したのは、スピードや持久力だけではない。戦略と冷静さというレースマネジメントの成熟でもあった。
さらに、本大会はスプリントの翌日に10kmクラシカルが行われており、これはミラノ本番と同じ日程。川除は勝利以上に、狙い通りの流れで走れたことが、今大会の大きな収穫だったと安堵の表情を浮かべる。
「スプリントを走った翌日に10kmクラシカルを走るというのは、本番前として理想的なシミュレーションをできた」
川除「平地でも勝てるかもしれない、そう思えた」
「前シーズンのプレ大会では同じようなコースで結果を残せなかった」
登りを得意とする川除にとって、平地の滑りは課題だった。プレ大会の経験を踏まえ、腸腰筋を意識したトレーニングを重ねてきたという。そして、その成果を今大会で感じ取った。
「トレーニングを重ね、足を前に出すイメージを持つようになってから、平地でもスピードが出ている感覚がある」
10kmクラシカルでも、その平地での手応えは損なわれなかった。
「後半にタイムが落ちない感覚で走れた」
持久力を問われるこの種目でも、終盤に力を失わなかったという感覚が、自信につながっている。
また本大会には寒さの中、川除と新田の所属する企業の関係者ら50人ほどが応援に駆けつけていた。ミラノ本番にも数十人が向かうという。
「応援は本当に自分の力になる。少しバテてしまいそうになっても、応援のおかげで頑張れる。走っているときに鼻水とかついてないかなとかも気にしちゃいますけど(笑)」
川除は本番でもこの応援の力があることに、どこかホッとしている表情を浮かべていた。