パラレル大回転女子、難コースと雪の“変化”が起こした大波乱 ラストレースの竹内智香は予選敗退も「幸せ」
優勝候補の“二刀流”(平昌五輪でスキーとスノーボード競技で二冠)、チェコのエステル・レデツカや、ドイツのラモナテレジア・ホフマイスターといった強豪も準々決勝で次々に姿を消し、波乱が相次いだ。
勝負を難しくしたのは、コース設計と雪の変化だった。今大会のコースは“棚”と呼ばれる斜面変化が4つ。通常のW杯やこれまでの五輪は2つ程度で、今回は特にリズムを崩されやすかった。斜面が切り替わるたびに先の斜面は見えにくくなり、どこまで勇気を持って踏み込めるかが問われた。旗門の数も通常より10個ほど多かったという。となれば選手たちは細かいターンを重ねながらもスピードを落とせず、神経を使わざるを得ない。
加えて、夜の冷え込みとは打って変わって昼は汗ばむほどの日差しが選手を照らしていた。男女交互にレースが進むにつれて雪は緩み、バーンは荒れていく。0.01秒を争う戦いでは、どのラインを選び、荒れていくバーンにどう合わせるかが、結果を大きく左右する。時々刻々とコース状態が変わるレースだったからこそ、ゲート選びが大きく問われた。
「人生ってすごく面白い」――レジェンドが最後に見た景色
7度目の五輪、そして引退レースを終えた竹内智香は、予選敗退という結果にもかかわらず、表情には充実感が漂っていた。
「雪もすごく良くて、コースも長くて、すごく楽しかった。特に1本目は『本当に楽しい』と思いながら滑っていた」
彼女は最後の舞台を心からかみ締めていた。
前夜は「あと十数時間寝たら、自分の競技人生が終わるんだな」と特別な感情に包まれたという。長野五輪に憧れて始まったその道は、世界へとつながっていた。
「五輪を目指したからこそ、世界中にたくさんの友達ができた。スノーボードというたったひとつのツールから多くの人と出会うことができ、あらためて人生ってすごく面白いなと思っています」と、競技を通じて得たかけがえのない財産を振り返る。
会場には、友人であるフリースタイルスキーの小野塚彩那も応援に駆けつけ、“フライング涙”をしていたという。さらに、返信しきれないほどのメッセージが届いたエピソードを話しながら、竹内はこらえきれず涙をこぼした。
「もう本当に恵まれた人生だなと思う」
7大会出場という経験を経て、彼女の視線は未来に向いている。
「オリンピックやスポーツが伝えられることはたくさんある。それをしっかりと伝えていくのが自分の次の立場」
「また新しい目標を見つけて、今以上の人生にしていきたい」
日本のスノーボード界を牽引し続けたレジェンドは、7度目の五輪で競技生活に幕を下ろした。