鍵山優真「盛り上がらずにはいられない」 会心演技でSP首位、観客あおる“賭け”も大成功

沢田聡子

「オリンピックと相性がいいのかな」

ミラノでも大舞台を楽しんだ鍵山 【写真は共同】

「こっち(ミラノ)に来てからうまくいっている感覚がすごくあって、自分で『オリンピックと相性がいいのかな』と思っているんですけど(笑)」

 現地時間1月7日に行われたミラノ五輪、団体戦の男子ショートで会心の演技をみせて1位になった鍵山優真は、笑顔でそう語った。4年前の北京五輪でも楽しそうだった鍵山は、確かに五輪と相性がいい選手なのかもしれない。

 演技前スタート位置につくと、鍵山は微笑を浮かべてポーズをとった。

「オリンピックを楽しもうと思っていたんですけど、でも正直、最初はやっぱり少し緊張があって。というのも、4年前(の北京五輪)とは違って本当に今回のオリンピックは、みんなで『しっかりとメダルを取ろう』と意気込み、目標を作って挑んだ団体戦だったので」

 団体戦初日の日本チームは、ペアショートで“りくりゅう”こと三浦璃来/木原龍一、女子ショートでは坂本花織がそれぞれ1位になった。初日終了時点で、日本は首位のアメリカと2ポイント差の2位につけていた。2日目、先陣を切る形になった鍵山は「どうやって差を埋めようかな」と考えていたという。

「やっぱり自分がショートの使命、大事な役割を担っていたので、そこに関しては少し緊張感がありながら。でもそんな緊張が、ミラノの観客とチームジャパンの応援ですべて吹き飛んだので。そこはもう力になりましたし、思いっきり楽しめたかなと思います」

 小粋な『I Wish』が流れ始めると、鍵山は4回転トウループ+3回転トウループを決める。4.07という高い加点がつき、次に挑んだ4回転サルコウもGOE(出来栄え点)3.74を獲得。最後のジャンプとなるトリプルアクセルも決め「すごくほっと」したという鍵山は、「もう、盛り上がらずにはいられないよな」と観客をあおり始めた。

「『来い、来い』という感じでやっていました。これで(観客の反応が)何もなかったらすごく寂しかったですが、もう一か八かで賭けに出ました。いやもう、大正解でした」

 ただ、鍵山はジャンプの成功に浮かれていたわけではない。

「ステップは、しっかりとレベルを取らないといけないので。そこに集中しながらも、しっかりと周りのお客さんを見ながら」

 観客をあおりながらもしっかりとふんだステップには、ジャッジ全員が満点となる加点「5」をつけた。演技後のミックスゾーンでこの高評価について問われた鍵山は「自分はもうとにかく全力で演技するだけで、その点数を決めるのはジャッジの皆さんなので」とした。

「そういう評価をいただけたのもすごくありがたいですし、このプログラムを作るにあたっても、しっかりと(振付師の)ローリー(・ニコル)先生が満点をもらえるように信じて作ってくれたので、その成果が表れたのではないかなと思います」

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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