日本男子スノーボード、ビッグエアで金・銀の快挙! 勝負を分けたのは“1980”の完成度

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技の完成度が「メダルの色」を左右した接戦だった 【写真は共同】

 ミラノ・コルティナ五輪における日本勢の金メダル&銀メダル第1号は、スノーボード男子・ビッグエアから出た。メダルの色は木村葵来(21)が金で、木俣椋真(23)は銀。リヴィーニョ・スノーパークの観客は大歓声で2人の妙技を称えた。

 予選は日本勢4人全員が通過している。誰が金メダルでもおかしくない、過去最高レベルの接戦だった。そして、日本勢がワンツーフィニッシュを飾った。

 アクションが速すぎて、目視では何回転しているのか追い切れない――。それがビッグエアという競技だ。

 金メダルの木村は1本目にバックサイド(BS)1980、そして3本目に逆転のスイッチバックサイド(SB)1980を決めた。木俣は1本目のBS1980と2本目のSB1980が採点に採用され、銀メダルに輝いた。まず、2人とも着地が完璧だった。

 木村と木俣は、同じ方向(BS&SB)、同じ回転数(1980)の技をそろえて栄光をつかんだ。銅メダルは北京五輪の金メダリスト、中国の蘇翊鳴だったが、彼もBS1980とSB1980の組み合わせで大舞台に挑んだ。つまり1980(5回転半)の完成度が、勝負を分けた。

 今回のジャンプ台は、当初の想定より5メートルほど小さかったと聞く。となれば滞空時間は短くなり、回転数はどうしても限られる。選手たちはいくつもの高回転の大技を持っているが、このジャンプ台に合わせてどこまで上げてくるのか――そこも勝負のポイントだった。

 競技終了直後、興奮冷めやらぬ2人のメダリストから話を聞いた。

逆転の金メダル、木村葵来

木村は3本目に逆転して金メダルを獲得 【写真は共同】

 ソチ五輪からこの舞台を目指して8年――。子供のころに夢見ていた金メダルを、木村はついに手にした。実際に手にした金メダルの感触について聞くと、木村は笑顔でこう答える。

「いま首が取れそうなくらい、重いです(笑)」

 今大会、日本勢第一号の金メダルとなったわけだが、心中は感謝で満ちていた。

「今は嬉しいとしか言葉が出てこないですけど…今の自分があるのは家族やコーチ、トレーナー、サポートしてくれた人たちのおかげなので本当に感謝しかないです」

 勝負の分かれ目は、2本目の失敗から3本目への修正にあった。木村はどう立て直したのか。

「ライン取りの位置が悪かったので、そこだけ修正することを考えて滑りました」

 3本目を着地した瞬間の心境はこう答える。

「勝ったな!と思いました!」

 3本目の着地が決まった瞬間については、落ち着いているように見えた。

「なんかもう爆発して、何もなかった感じで。頭が真っ白になっていましたね」

 金メダル獲得の要因については「自分のやれるべきことがフルに出せたので、そこかなと思う」と口にしていた。

 今大会、スノーボーダーには珍しい坊主頭が印象的だったが、こだわりについて聞かれると、照れくさそうに笑った。

「今シーズンから短くした。お父さんに前から短くしろ、雑念を捨てろと言われていて(笑)。野球で髪の短い選手を見て、俺もやってみようかなって。生活しやすいし、いい感じに気合いも入るのでけっこう気に入っています」

 頂点に立った今、次の目標を聞かれると、早くも先を見据えていた。

「まだスロープスタイルもありますし、次世代には弟がいるので。そこで競争したりしていってもいいかな。いつか2人で表彰台に乗りたい」

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