金メダル獲得を目指す日本 今季世界最高得点の坂本花織「4年前から目指していたものが近づいてきている」

沢田聡子

二人ともガッツポーズを繰り出す会心の演技を見せた“りくりゅう” 【写真は共同】

「いいバトンが渡せるような演技がしたい」

 日本チームで最初に登場したアイスダンスの“うたまさ”こと吉田唄菜/森田真沙也の演技を見て、坂本花織は涙を流していたという。

「本当に、アイスダンスって大変だし。このオリンピックの場で“うたまさ”が滑り始めてすぐ手拍子の嵐で、それを見てめっちゃ感極まって、なんか『うるっ』てきて」

「やばい、泣きそう」と思った坂本が横を見ると、鍵山優真も泣いていた。

「『あれ、同志いるな』と思って、『じゃあ、泣くか。いいや、抑えていたけど、もう止めんでええわ』と思って、2人でボロボロ泣いていました」 

 ついに始まったミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート団体戦。出場10カ国が、順位点の合計で競うチーム戦だ。初日の6日は、アイスダンスリズムダンス、ペアショートプログラム、女子ショートプログラムが行われた。先陣を切った“うたまさ”は68.64という得点で、8位だった。

「リンクインした瞬間から、会場の皆さんの歓声や、日本チームのみんなの『頑張れ』という声がすごく聞こえたので、すごく楽しい気持ちで最初から最後まで滑り切ることができました」(吉田)
「今日は今まで練習してきたことが出し切れたかなと思ったので、リズムダンスだけではなく、明日のフリーダンスにもしっかりつなげていこうと思います」(森田)

 昨年9月のミラノ五輪最終予選で個人戦の出場を逃し、悔しい思いをした“うたまさ”だが、それからは団体戦のために練習を積んできた。吉田は「日本チームの皆さんにいいバトンが渡せるような演技がしたいという気持ちでリンクインした」と語ったが、坂本と鍵山の涙はその目標を達成した証しだったと言える。

「2人とも心身ともに強くなれた」りくりゅうの4年間

 続いて登場したペアの三浦璃来/木原龍一は、個人戦の優勝候補にふさわしい圧巻の演技を披露する。昨季から継続のプログラム『Paint It Black』はシーズンが深まるにつれ成熟しており、この日はほぼ完璧な演技だった。高さのある冒頭の3回転ツイストから始まり、サイドバイサイドの3回転トウループ、スロー3回転ルッツを次々と決めていく。持ち味のスピード感も圧倒的で、82.84という高得点をたたき出して1位となった。

 演技を終えた2人は、ほぼ同時にガッツポーズを見せている。

「今まで積んできた練習が嘘じゃなかったという、心からのガッツポーズが自然に出ました」(三浦)
「(練習拠点のカナダ・)オークビルにいる時からしっかり同じような練習はできていたので、積み重ねてきたものはしっかり出せたかなと思っています」(木原)

 銀メダルを獲得した4年前の2022年北京大会でも日本チームに貢献した2人だが、三浦は「4年前と全然違うなと思っていて」と語る。

「4年間、2人ともけがもありましたし、うまくいかないこともたくさんあって。それを経験して、2人とも本当に心身ともに強くなれたと思っている」(三浦)

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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