角田涼太朗が横浜FMで描く未来「次は自分が胸を張って『タイトルを獲らせた』と言いたい」

舩木渉

欧州移籍前と横浜F・マリノス復帰後で、チーム内での立場が大きく変わったと角田涼太朗は感じている 【撮影:舩木渉】

変化するチーム内での立場

 2022年に横浜F・マリノスのJ1制覇を目の前で見ることになったヴィッセル神戸が2023年、2024年とJ1連覇を遂げたように、優勝クラブというのは他の競争相手にとっての重要な基準や指針になる。

 角田涼太朗は2025年のJ1最終節で感じたものを、F・マリノスの未来に活かさねばならないと考えていた。

「昨年のJ1最終節の鹿島を見ればわかる通り、彼らには球際の1つひとつで負けないという執念が当たり前のようにありました。球際の1つのプレーに勝つか負けるかで、試合の結果は大きく変わってしまう。そういう部分へのこだわりは、これまで以上に持たなければいけないと思っています。

 そういう部分が欠けていたからこそ昨年のF・マリノスはあの順位(15位)になってしまっていた。もちろん戦術や技術がないと戦えない部分もあると思いますが、それ以上にサッカーの根本にあるものをしっかりやらないと。それをしっかりやれたうえでうまい選手がたくさんいるのが本当のトップレベルだと思うので、そういう部分を伝えて、示していきたいです」

 毎年のようにリーグタイトルを争っていた2020年代前半のF・マリノスは強度の高さを武器の1つにしており、目の前の試合や球際1つひとつに何としても勝つという意識の強さが当たり前にあった。

 ところが移籍などによって選手が入れ替わり、監督が替わり、かかわる人が変わるにつれて薄れていったり、失われていったりしたものが多くある。「僕自身の立ち位置も変化しましたし、だからこそ違って見えることもある」と感じる角田も、かつての強さの理由や残していかなければいけないものを「伝える」側になっている。

「(以前在籍していた当時は)もっと年上の選手や経験のある選手が多かったし、自分が何をしなくてもうまくいっていたというか、逆に僕が見せられる側だったというか。それから年月が経って若い選手が増え、(タイトルを争っていた)当時のF・マリノスを知らない選手がほとんどになってきた中で、欲を言ってしまえばクオリティはもっと求めたい。ただ、そればかりを求めても仕方ないなと。みんな頑張っているし、チームのために貢献しようともしているとは思うので、まずは(基準を高くして)やれる選手がやれるだけやるというバランスで進めていきたいです」

「崩れないための最後の砦でありたい」

現所属メンバーで2022年のリーグ優勝当時を知る選手は角田涼太朗(左)や喜田拓也(右)らごくわずかになった 【(C)J.LEAGUE】

 2022年のリーグ優勝メンバーで現在のF・マリノスに残っているのは、喜田や松原ら6人しかいない。そのうちの1人で、当時プロ2年目だった角田は「ガミガミ言うタイプでも、声を出して盛り上げていくタイプでもなかった」と自覚するが、立場が変わった今は「プレーで示すと言ったらカッコつけているみたいになりますが……」と謙遜しながらもピッチ上での振る舞いでチームを導いていくつもりだ。

「ワンプレーへのリアクションや、誰かがミスをしても次に僕がプレーで取り返すことで(求められる基準を)示していくつもりです」

 シーズン移行前に行われる半年間の特別リーグ「明治安田J1百年構想リーグ」の開幕を前に、角田は副キャプテンに任命された。キャプテンの喜田や、もう1人の副キャプテンであるジョルディ・クルークスとは異なるタイプのリーダーとして首脳陣からの期待も大きい。アプローチは違えども、F・マリノスを再び強くしたいという想いの強さは同じだ。

「チームにとっての潤滑油というか、崩れないための最後の砦でありたいなと。(天野)純くんや喜田くんをはじめ、プレーでチームの流れを作れる選手も多くいますし、僕は全体がうまくいかなくなった時に、最後のところで崩れないために必要とされる存在でありたいと思っています」

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著者プロフィール

1994年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学スポーツ科学部卒業。大学1年次から取材・執筆を開始し、現在はフリーランスとして活動する。世界20カ国以上での取材を経験し、単なるスポーツにとどまらないサッカーの力を世間に伝えるべく、Jリーグや日本代表を中心に海外のマイナーリーグまで幅広くカバーする。

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