F1勢力図激変の予感? 今季初テストに勢揃いしたニューマシンから見えるものとは
異例づくめの”密室”テスト
なぜかといえば、F1の技術規約が大きく変わり、車体、エンジンを根本から設計し直すことになったから。開幕戦までに、できるだけ多くの周回数をこなして問題点を洗い出したい。さらに未知の実走テストであるだけに、トラブル多発が予想された。無様な姿を晒したくないと、非公開にしたわけだ。
ところが新車の初テストは、意外なほどに順調だった。
二つのサプライズ
ところが今回は、確かにトラブルで満足に走れないチームもあったが、初日から100周以上の周回を重ねたチームがいくつもあった。
中でも僕が最も驚いたのが、レッドブルだった。昨年限りでホンダとの契約を終了したレッドブルは、100%自前のPU(パワーユニット)開発に乗り出した。経験もノウハウも何もない、ゼロからの挑戦。ホンダやメルセデスなど、F1エンジン開発のプロたちは、「自動車メーカーでもない彼らが、うまくやれるとは思えない」と見ていた。
ところがレッドブル・パワートレイン製PUを搭載したレッドブルRB22は3日間で303周、レーシングブルズVCARB03も319周を走破してみせた。PU由来の深刻なトラブルは皆無。もちろん最大パワーなどのパフォーマンスは、現時点ではまだわからない。とはいえ、新参者のF1エンジンがいきなりこれだけの高い信頼性を発揮したのは、十分に賞賛に値する。「速さ」ではなく、「壊れずに走り切った」という事実こそが、新規参入PUにとって最大の成果だった。
そしてもう一つのサプライズが、「百花繚乱のマシンデザイン」だった。F1の技術規約は、近年は特に細部まで厳重に定められている。そのためカラーリングを施さなければ、どのマシンか特定できないほどに画一的だった。
ところがバルセロナに登場した各チームのマシンは、フロントウィングやディフューザー形状、サイドポンツーンの絞り込みなどに、大きな違いが見られた。それぞれの設計思想に基づき、かなり自由に腕を奮ったということなのだろう。もしかするとこれは単に、新規約に対する最適解を各チームがまだ見つけられていないだけかもしれない。とはいえ新車のデザインが個性的なのは、眺めているだけでも楽しい。