台湾の至宝からアジアの「鷹」へ…滋賀・游艾喆と台湾リーグCEO・陳建州が語る、B.LEAGUE挑戦の真価と未来
インタビュー=峯嵜俊太郎(バスケットボールキング)
写真=金田慎平(バスケットボールキング)
「とりはだ」が立ったオールスターの夜
游 ありがとうございます。非常に素晴らしく、楽しい体験でした。特に昨年は負けてしまったので、今年はこのような特別なルールの中で優勝することができて、とてもうれしいです。日本のファンだけでなく、台湾のファンやブラッキーさんもわざわざ試合を見に来てくれました。皆さんの応援が僕の大きな原動力になりましたね。
——観戦されたブラッキーさんとしては、今日の感想はいかがですか?
陳 昨年に続き、招待いただき感謝します。B.LEAGUEは来るたびに常に進歩し、拡大されていて、世界とつながっていると感じます。今、アジアでトップレベルのリーグでしょうね。他のアジアのリーグにも大きな刺激を与えており、素晴らしい手本になっています。そんなリーグのオールスターにおいて、幼いころから見てきた艾喆選手がASIA ALL-STARS(アジア特別枠選抜)の先発として出場するのを見た時、本当に感動して鳥肌が立ちました。日本語でなんて言うんですか?
——「鳥肌(とりはだ)」です。
陳 「とりはだ」! あの瞬間は私だけでなく、台湾のファン全員が「とりはだ」だったでしょうね(笑)。艾喆選手は我々の誇りです。
——今シーズンの游選手はリーグ戦でもトップクラスの活躍を続けていますね。
陳 今はB1のアシストランキング2位ですよね。滋賀レイクスの選手たちは、彼のアシストからどんどん得点を取っていただき、彼をランキング1位にしてほしいです(笑)。艾喆選手には、ぜひアシスト王の称号を獲ってほしいので。
游 僕個人としては、ランキングはそれほど気にしていませんよ。もちろん、試合を通してチームや仲間の助けになりたいと思っていますが、一番の願いはチームが勝つことなので。
陳 私たちはめちゃくちゃ気にしているよ(笑)! 彼はいつも謙虚ですが、私は彼がアシスト王にふさわしい選手だと思っています。特に今年はね。
「メンタリティ」が海外挑戦の成否を分ける
游 もちろん、より多くの台湾人選手にB.LEAGUEに挑戦してほしいです。アドバイスとしては、「メンタリティ」が一番重要だと思います。非常にタフでなければなりません。慣れ親しんだ環境ではなく、コーチも選手も初めて会う人ばかりで、スタイルも違います。僕自身もさまざまなアップダウンを経験し、今もバランスを模索している最中ですが、とにかく精神状態をしっかりと保つことを意識しています。だからこそ、日本に来たい選手たちにはメンタルの準備を万全にして臨んでほしいです。
陳 B.LEAGUEとは今後、試合だけでなく選手の交流も含めた多くの連携を計画しています。現在は台湾の選手が日本に挑戦していますが、将来的には日本の選手もP. LEAGUE+に来てほしい。今は東京や台北、どこでチームを運営していても「アジア市場」という視点が必要です。バスケットボールを通じて国家間の垣根を越えていきたい。その点で言うと、艾喆選手は素晴らしいパイオニアです。私自身、『良い選手を台湾に留めておきたいから』という理由で、海外挑戦を阻んだり、夢を叶える手助けを渋ったりするようなことはしません。これからも外の世界に向かって努力を続け、台湾の子どもたちのバスケットボールドリームを、さらに違う場所へと広げていきたいです。
陳 その通りです。艾喆選手は彼の母校(国立政治大学、通称NCCU)のシンボルである「鷹」のようです。台北の木柵から滋賀へと飛んでいきました。今はより遠くへ飛んでほしいと願っていますが、もし鷹がけがをしたり、疲れたり、あるいは試合に出られなくて心が折れそうになったりした時は、台湾はいつでも彼の帰る場所なので、私たちがバックアップします。
——大きな期待をかけられていますが、游選手としては少しプレッシャーもあるのでしょうか?
游 とてもありがたく思っていますし、プレッシャーは全くありません。ブラッキーさんとは長い付き合いですが、彼はいつも僕たち台湾の選手が、より遠くの世界へ挑戦し、台湾の存在を世界に知らしめることを応援してくれています。僕の心の中には『ブラッキーさんは、いつでも僕が帰ってくるのを歓迎してくれる』という安心感があり、それが不安を消してくれています。外の世界へ挑戦することで、台湾のファンに忘れられてしまうといった心配もしていません。ブラッキーさんがずっと気にかけてくれていますし、それが自分をさらに成長させる原動力になっています。いつの日か、僕もP. LEAGUE+に戻りブラッキーさんと一緒に活動する日が来ると確信しています。でもブラッキーさん、今はもう少しだけ待っていてください。もっと努力してきます。鷹がもしけがをしたら本当に帰りますから。
陳 けがはしないようにね(笑)。