バドミントン日本代表、辞退者が相次ぐ背景とは? あえて「自費遠征」を選ぶ選手も

平野貴也

2026年のバドミントン日本代表が発表された。記者会見には大堀HC(左)や、トップグループ、U24の日本代表に選出された選手が参加した 【平野貴也】

 日本協会であっても、日本代表を思うようには運用できない難しさがある。移り行く時代背景の影響を受けながらバドミントン日本代表は、大目標の2028年ロサンゼルス五輪を目指す。2026年の日本代表選手が1月29日に発表され、2025年に世界選手権で3度目の優勝を飾った女子シングルスの山口茜(再春館製薬所)ら28名が選出された。しかし、2025年の全日本総合選手権を優勝して内定条件を満たしていた男子ダブルスの緑川大輝/山下恭平(NTT東日本)、混合ダブルスの渡辺勇大(J-POWER)/田口真彩(ACT SAIKYO)の名前はなかった。

 女子シングルスも、2016年リオデジャネイロ五輪の銅メダリストで2017年の世界選手権優勝の実績を持つ奥原希望(東京都協会)が2014年以来12年ぶりにトップ代表を外れるなど、驚きを与える発表となった。背景には、日本協会が財政再建の途中であること、選手個人のプロ活動の活発化、選手の所属先が主導するペアの組み替え、若手育成を急務とする日本代表の再編など、さまざまな要素が混在している。

混合複の渡辺/田口が2年連続の辞退、背景にプロ活動との兼ね合い

 内定条件を満たしながら選出しなかった2組について、戦略強化本部の池田信太郎本部長は「基準を満たした選手だとしても、選手の意向を尊重させていただいた」と辞退であることを明かした。混合ダブルスの渡辺/田口は、2年連続の辞退。2大会連続で五輪の銅メダルを獲得した渡辺のプロ活動が影響している。

 1年前の2025年日本代表の選考時、日本協会は財政難のため、代表の中でも主力以外は自費遠征とした。渡辺/田口は、選考を兼ねた2024年末の全日本総合で4強入りを逃し、まだ若く実績が十分ではない田口とのペアでは、日本協会が費用を負担する主力組に該当せず。日本代表に入れば、代表のスポンサーを背負う。プロとして個人スポンサーを持つ渡辺は、代表辞退を選んで2025年シーズンを戦った。その期間に新たなスポンサーも得たことから、自身のSNSで「支援してくださるスポンサー様に対しての恩返しが不十分と感じているから」と代表辞退の理由を説明した。

時代と日本協会の変化、代表入りのメリットは薄まっている

日本バドミントン協会の池田強化戦略本部長(左)と大堀HC 【平野貴也】

 今回の事態には、日本協会が国際大会の参加条件を緩和したことも影響している。2024年までは、日本代表が優先され、国際大会へ自由に参加できる環境にはなかった。しかし、日本協会が十分な遠征費を捻出できない状況となり、2025年からは自費参加の条件を大幅に緩めた。そのため、日本代表に入らずとも、ハイグレードな国際大会に出場し、賞金や世界ランキングポイントの獲得を目指せるようになった。代表強化合宿等の参加費が増加するなど、選手の負担増もある。渡辺のように活動資金を捻出できる場合、日本代表に入るメリットが減っている。

 現役時代にプロ活動の経験がある池田本部長は、ナショナルトレーニングセンターでハイレベルな仲間と打ち合うことができ、ペアとして栄養、休息、分析等のサポートを同じ環境で享受できる代表合宿の価値を強調した。一方で合宿の回数も減少傾向にあり「潮流としては、外部環境がすごく変わってきて、国際大会が非常に多い。賞金も高い。個人での活動が現実的に可能になる環境が整ってきた。ナショナルチームに入る意義みたいなところは、昔に比べると、本当に柔軟性を高く考えていかなくちゃいけないかなと思っている」と代表辞退に対する理解も示す。

1/2ページ

著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

当サイトには一部アフィリエイトリンクが含まれています。

リンクから商品・サービスをご購入いただいた場合、スポーツナビに収益が発生することがあります。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント