一本勝負の大倉山で伊藤有希を支えた「熱」 誇り高き“シモカワ代表”として4度目五輪へ
ミラノ・コルティナ五輪を目前に控えた1月25日、札幌・大倉山ジャンプ競技場で行われたノルディックスキー・ジャンプ女子W杯個人第22戦。五輪前最後となる国内での実戦は、悪天候により1回目で打ち切りとなり、過酷な幕切れとなった。
「人生をかけて」―涙に滲んだ五輪への覚悟
「5人前くらいから雪がいきなり降り始めて、(自分の番が来るのを)早く、早くと思っていた」と振り返ったのは、自身初の五輪代表に内定している丸山希だ。この日は、スタート直前に強まった雪と風に行く手を阻まれた。
荒れた展開の中で日本勢トップに立ったのは、4度目の五輪に挑む高梨沙羅。悪条件でも大崩れすることなく8位に入り、ベテランの意地を見せた。
この日いちばん印象に残ったのは、順位表では語れない“表情”だった。高梨と共にチームを牽引するもう一人のベテラン、伊藤有希だ。
「自分の4年間、人生をかけて目指してきた五輪なので、やるべきことを明確にして自分が満足して終わりたい」
少し声を震わせ、涙を浮かべて語った言葉には、4度目の五輪へ向かう覚悟の重さがにじんでいた。
日本女子代表最年長の31歳。結果だけを見れば、その道のりは決して平坦ではない。この日は116.5メートル、15位。かつて2024年にこの大倉山で勝利を飾り、W杯9勝を挙げた実力者も、今季は長く苦しいトンネルの中にいる。
「まだまだ精度が低い」
現状を冷静に見つめる言葉は、厳しい自己評価の裏返しでもあった。
「チームとして喜び合える」―日本の強さ
「自分の成績とかは関係なく、丸山選手が優勝したり、同じ日本チームとして喜び合える良い瞬間がたくさんある」
そう語る口調には、後輩たちの躍進を心から称えるベテランの包容力が漂う。実際、丸山希や高梨沙羅、勢藤優花らと共に戦う今季のチームには、新たな風と結束力が感じられる。個人の戦いでありながら、互いに刺激し合い、支え合う。「日の丸飛行隊」の強みはそこにある。
国内最終戦は、自然の猛威によって不完全燃焼のまま幕を閉じた。
この日優勝したのは、悪条件をものともせず139.5メートルのビッグジャンプを見せたスロベニアのニカ・プレブツ。それぞれが“吹雪の一発勝負”を通じて、世界との距離と現在地を再確認する機会となった。
男子のドメン・プレブツ同様、スロベニアのプレブツ兄妹がミラノへの道に大きく立ちはだかることは間違いないだろう。