【補強診断】セ・リーグ編 積極補強に動いたAクラスと既存戦力の底上げを図るBクラス

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阪神は大学No.1スラッガーと評される立石正広の獲得に成功した 【写真は共同】

 いよいよキャンプインを迎え、新たなシーズンがスタートするプロ野球。昨秋のドラフトや外国人選手などを中心に進めていた各チームの新戦力補強も一段落したといって良いだろう。このコラムではここまでの戦力補強を球団ごとに振り返り、それぞれの内容について評価していきたい。

 なお評価については、A~Dの4段階で行った。国内移籍は選手の総合的な貢献度を測る指標であるWARをもとに、ドラフトで入団したルーキーや新外国人選手はチーム状況に対して適切な補強だったかを鑑みて、総合評価としている。

※内容は2026年1月23日時点の情報をもとに執筆
※新外国人選手の成績は「Baseball Savant」より一部引用

ヤクルト 評価C

【画像提供:データスタジアム】

 昨季は5年ぶりの最下位に沈んだヤクルト。池山隆寛新監督のもとで巻き返しを図りたいところだが、NPB通算246本塁打の実績を誇る村上宗隆がポスティングシステムを利用してメジャーへ移籍。打線をけん引してきた主砲の抜けた穴は簡単に埋まるものではないだろう。こうしたチーム状況を受け、今オフは将来を見据えた戦力整備が求められた。

 昨秋のドラフトでは、1位で法政大の松下歩叶、2位で城西大の松川玲央と大型内野手を上位で立て続けに指名。この他に野手陣の目立った補強はないが、松下は大学時代に本職の三塁でベストナインを3度獲得しており、昨年の日米大学野球選手権ではMVPに輝くなど期待値は高い。三塁へのコンバート案が浮上しているベテランの山田哲人や、前年に楽天から加入した茂木栄五郎らとポジションを争いながら、チームを活性化させる存在となれるか。

 長年の課題となっている先発陣は、昨季リーグワーストの防御率3.89を記録し、規定投球回到達者はリーグで唯一不在と、シーズンを通してやりくりに苦労した。オフにチームを去ったランバートとアビラの両助っ人は合わせて200イニングを投げており、その埋め合わせも大きな課題となっている。トヨタ自動車で実績を残していた増居翔太の獲得は大きいが、3人の新外国人投手は先発としての経験が少なく、既存戦力の奮起やルーキーの躍動が欠かせないだろう。

 昨季中日に在籍したウォルターズは、二軍で主にリリーフで33試合に登板して防御率3.41を記録。シーズン終盤には先発に挑戦しているが、ヤクルト首脳陣がどのような起用を見せるのか注目だ。キハダはメジャー通算142登板のサウスポー。2023年のWBCではベネズエラ代表に選出され、チームのベスト8に貢献した。150キロ台後半の速球を武器に高い奪三振能力を誇る投手で、勝ちパターン入りが期待される。リランソはメジャーデビューこそ果たせなかったものの、マイナー通算300試合以上に登板した実績を持つパワーピッチャーで、ブルペンに厚みをもたらしてくれるだろう。

広島 評価D

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 昨季は2年連続のBクラスとなった広島。上本崇司、田中広輔、磯村嘉孝が引退し、松山竜平も退団するなど、チームを支えてきた多くのベテランがチームを去った。若手の台頭を促すチーム方針もあり、このオフは例年以上に控えめな補強にとどまっている。昨季リーグ5位の防御率に終わった先発陣では、新助っ人としてターノックが加入。150キロを超える速球を軸に、カーブやチェンジアップといった球種で緩急をつける投球が特徴の右腕だ。昨季は3Aで10先発を含む29試合に登板し、イニング数を上回る奪三振数を記録している。

 また、課題とする先発陣の層を厚くするべく、新井貴浩監督は複数のピッチャーの配置転換を決断。通算134セーブを挙げている守護神・栗林良吏や昨季41試合に救援登板した岡本駿、昨季途中に支配下契約を勝ち取った辻大雅らがシーズン終了後から調整を進めている。その影響でブルペン陣の層が薄くなることも懸念されるが、昨季55試合に登板したハーンの引き留めに成功。左膝手術からの完全復活を期す黒原拓未や4年目の益田武尚、若手では滝田一希や菊地ハルンらの活躍が不可欠となるだろう。

 野手陣は、ドラフト1位で外野手の平川蓮を獲得。走攻守3拍子そろったスイッチヒッターで、ルーキーイヤーからレギュラー争いに割って入る活躍が期待される。現役ドラフトでは楽天から辰見鴻之介を獲得。昨季は二軍で31盗塁をマークしており、機動力を生かしきれなかったチームにとって貴重な戦力となりそうだ。

 また、助っ人陣は来日2年目を迎えるファビアンとモンテロに期待がかかる。ファビアンは昨季チームトップの17本塁打、65打点を記録し、モンテロも春先に離脱がありながら、最終的に打率.255、9本塁打をマークした。来日1年目からNPBへの適応を見せた両助っ人のさらなる活躍が、チームの上位浮上を占うポイントとなる。

中日 評価C

【画像提供:データスタジアム】

 昨季は最下位から抜け出し、4位でシーズンを終えた中日。9月上旬までクライマックスシリーズ進出争いに加わるなどチームとして成長を示したが、打率と得点数はいずれもリーグワーストに終わり、打撃陣には依然として課題を残している。今季から本拠地・バンテリンドームにはホームランテラスが新設されるだけに、得点力アップを狙っていきたいところだ。その切り札として、打線強化を図るべく新助っ人のサノーを獲得。メジャーでは19年に34本のアーチを描くなど、通算164本塁打の実績を誇る。昨季はドミニカ共和国のウインターリーグに参加し、23試合の出場で9本塁打をマークした。
 
 昨季2ケタ本塁打を記録している細川成也、上林誠知、ボスラーらもさらなる上積みが期待できる環境となり、17年以来のチーム本塁打100本以上を達成できる可能性も十分にある。また、現役ドラフトでは内野の全ポジションをこなせる知野直人を獲得。昨季二軍で10盗塁をマークした脚力に加え、高い選球眼も兼ね備えており、新天地で出場機会を増やしたいところだ。

 先発陣では、実績のある柳裕也と松葉貴大の引き留めに成功したことはプラス要素。その一方で、数年前から高齢化が懸念されてきた先発陣にも若返りの兆しが見えており、髙橋宏斗がエースとしてローテーションをけん引。ルーキー・金丸夢斗も白星には恵まれなかったものの、期待通りの投球内容を見せた。

 昨秋のドラフトでは、1位で青山学院大の中西聖輝、2位では東北福祉大の櫻井頼之介を指名するなど、即戦力候補の補強に成功。中西は昨年の明治神宮大会決勝で17奪三振の完封劇を演じ、チームを全国制覇に導いた右腕で、昨季の金丸に続き1年目からの活躍に期待がかかる。新外国人では、24年に西武で28セーブを挙げたアブレウを獲得。150キロを超える速球を投げ込む右腕で、守護神・松山晋也につなぐセットアッパーとして候補に挙がる存在だ。

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データスタジアム株式会社は、スポーツデータの分析・配信などを行う企業。野球、サッカー、バスケットボール、卓球などの試合内容をデータ化・分析し、情報を各種メディア・チームなどに提供・配信する。

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