吹雪の蔵王で見えた「勝てる形」 新エースの丸山希はブレず、高梨沙羅はテレマークで自信を取り戻す

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ジャンプ後に笑顔を見せる丸山希。女子の新エースとして自身初の五輪に臨む 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 ミラノ・コルティナ五輪へのカウントダウンが加速するなか、山形・蔵王の空に確かな希望の光が見えた。1月21日に行われたノルディックスキーW杯ジャンプ女子個人第20戦。前日20日の第19戦は強風で開始が大幅に遅れ、21日の第20戦も大雪に見舞われるなど、2日続けてコンディションに神経を使う連戦となった。

 4大会連続の五輪出場が決まった日本女子ジャンプ界の第一人者、高梨沙羅は、1回目に93・5メートルを飛び4位につける好発進を見せた。2回目は距離を伸ばせず合計206・8点の9位でフィニッシュしたが、その内容は完全復活への道筋を明確に示しつつある。一方、前日に今季6勝目を挙げ、名実ともに日本のエースへと成長した丸山希は、難しいコンディションのなかでも92メートル、92・5メートルを揃えてまとめ、合計208・9点で日本勢最高の8位に入った。表彰台こそ逃したものの、復調気配のレジェンドと、抜群の安定感でチームを牽引する新エース、それぞれがつかんだ手応えをたどる。

揺るがない新エース・丸山希の「メンタル」

 前日の第19戦で圧巻の今季6勝目を挙げ、初出場となる五輪へ弾みをつけた丸山希。着地まで読み切るのが難しい不安定な風に、多くの選手がリズムを崩す一日だった。そんな中、1本目で出遅れながらも2本目にしっかりと立て直した修正能力に、今の充実ぶりが表れていた。

 そして何より印象的だったのは、結果に心を揺らさない落ち着きだった。取材エリアで順位を告げられると、丸山は一瞬きょとんとしながらも、「あ、今日8位なんですね。また8位なんだ(笑)」と肩の力が抜けた声で笑った。順位そのものより、跳躍の感触を確かめることに意識が向いているのが伝わってくる。

「今日はやりたいことができての8位なので、切り替えます」

 勝っても、勝てなくても、やるべきことは同じ。このブレなさが、いまの丸山を新エースへと押し上げている。

 そして丸山の今の強みを強調するのが「緊張しないで飛べること」。ゲートに入れば思考はシンプルになるという。

「“足の裏に乗る”ことにしか集中してないです」

 笑顔で受け答えする表情からも、今季の好調に裏打ちされた自信がうかがえた。視線はすでに、次の一段へ向いている。

「少しでも技術を上げて、オリンピックを迎えたい」

 初出場となる五輪への不安を尋ねても、返ってきたのは前向きな言葉だった。

「オリンピックはルールが複雑だけど、先輩たち(3人)がなんでも知ってるので(笑)」

 丸山のほかに五輪代表に内定した高梨沙羅、伊藤有希、勢藤優花は“五輪のベテラン”だ。

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