世界一から一転し薄氷のWBC予選、自己ワースト打率も“挑戦”だった1年 台湾主将語るプレミア12のその後
本稿では主に自身や所属チームのこと、台湾代表での活動について綴る。
2025年は“挑戦”の1年
日本にも縁が深く、高校は岡山県の岡山共生出身。1学年上には呉念庭(元西武・現台鋼ホークス)がいた。プレミア12の決勝で戸郷翔征(巨人)から試合を決める3ランを放った打者として思い出す方もいるかもしれない。
まず、昨季のことを振り返ってもらおう。
「個人的には“挑戦”の1年でした」
その心は?
「プレミア12で優勝した後、いろいろな方々に良くしてもらえた一方で、これまでにないプレッシャーを感じました。ただ、優勝のおかげで多くのファンの方に球場へ足を運んでもらったので、プレッシャーがある中でも挑戦しようと思える1年でした」
現在の台湾は空前の野球ブームが訪れ、昨季はCPBL全体で歴代最多の300万人以上を動員。各地の球場は熱気に包まれた。
そんな中で、陳傑憲は不振に陥っていた。右手首を痛めた影響もあり、10年目にして初の打率3割未満(.277)。「ケガで安定的に試合に出られなかったのは(不振の)要因の一つ」と本人は振り返る。右手首痛はヘッドスライディングの際に手をついたことがきっかけで、「もうヘッドスライディングはやらなくなりました」と苦笑いを見せる。
チームの主力かつリーグの顔ゆえに、球場内だけでなく球場外での各種対応も増えたそうだ。そこのバランスをどう取るかに腐心したことも含め、“挑戦”の1年だったといえよう。今オフは野球に集中できる環境を求め、日本でのトレーニングも行っている。
日本人ピッチャー・髙塩将樹とのコミュニケーション
「上半期は調子が良いのですが、下半期になると良いパフォーマンスを出せない。この3年間ぐらいはずっと同じ状況が続いています。チームが若手主体なのもありますが、やはり大事なのは“失敗”。どこが上手くいっていないのか、そこから改善してやっていかないといけない。私も失敗からどう成長していけるのか、何を学べるのかを大事にしています」
オフには主力野手の流出があり、正捕手の林岱安(ベストナイン1度&ゴールデン・グラブ賞2度)が富邦ガーディアンズにFA移籍。主砲の林安可(昨季.318&23本塁打)はNPBの西武へ移籍した。それでも陳傑憲はチームリーダーとして前を向く。
「2人は中心選手でしたし、今季も若手を中心に戦っていかないといけない。私としてはプレー以外にも若い選手たちがいかにプレーに集中できるかを考えて、アプローチや心掛けを大切にします」
チームには日本人投手の髙塩将樹がいる。NPBの所属経験はなく、独立リーグから台湾の社会人チームを経て、35歳でCPBL入りを果たした。昨季は勝ちパターンに入り、25ホールドをマーク。最優秀中継ぎ賞を獲得している。
「髙塩さんのキャリアは非常に良いモデルだと思います。若い投手はもちろん、私たち野手にも刺激になります。もっと真面目に、真剣に野球に取り組まないといけないと思わせる存在です。30歳を超えても投げられるのはすごいことですし、昨季の前半は一時的に抑え役もされていました。前期優勝は髙塩さんのおかげと言っても過言ではありません」
その言葉からは髙塩が異国の地でリスペクトされている様子が伺える。ちなみに、陳傑憲と髙塩のコミュニケーション方法は「日本語と台湾語の半分半分」だという。