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ジェラードも嘆く「勝てないリバプール」に対する疑念 三笘薫はプレミア通算100試合出場で何を思うか

森昌利

1月19日のボーンマス戦は、三笘にとってプレミア通算100試合目だった。節目となるこの一戦をできれば勝利で飾りたかったが…… 【Photo by Mike Hewitt/Getty Images】

 三笘薫がプレミアリーグ通算100試合出場を達成した。記念すべき試合は1月19日(現地時間、以下同)、第22節のボーンマス戦。定位置の左サイドに入った日本代表MFはゴールこそなかったが、故障から復帰後初となるフル出場を果たした。一方、依然として調子が上がらない昨季の王者リバプールは、下位に沈むバーンリーをホームで圧倒しながら1点しか奪えず、逆に同点ゴールを許して屈辱のドロー。これでリーグ戦では4試合連続の引き分けで、レジェンドのスティーブン・ジェラードも古巣のふがいなさを嘆く。

2点、3点とリードを広げるイメージしか湧かなかったが…

バーンリーに32本のシュートを浴びせながら、わずか1得点。リバプールにとっては負けにも等しいドローだった 【Photo by Liverpool FC/Liverpool FC via Getty Images】

「Klopp changed us from doubters to believers. Arne Slot changed us from believers to doubters」(クロップは我々を疑う人間から信じる人間に変えた。アルネ・スロットは我々を信じる人間から疑う人間に変えた)

 1月17日のバーンリーとのホーム戦を1-1ドローで終えると、すぐさまこんな痛烈な投稿がSNSに出現した。

 かくいう筆者もこの試合を現場で見て、「なぜだ!?」という疑念を抱かずにはいられなかった。本当に、どうすれば引き分けになるのか、という試合だった。

 前半はリバプールが勝つという結末しか見えなかった。前半32分、蹴るまでの間合いが不必要に長く、嫌な予感をさせたドミニク・ソボスライのPKがクロスバーを叩いた時は一瞬暗い気持ちになったが、同42分にフロリアン・ヴィルツが素晴らしいゴールを決めると、もうその後は赤のホームチームがバーンリー陣を蹂躙(じゅうりん)して、2点、3点とリードを広げていくイメージしか湧かなかった。

 リバプールが圧倒していたことは試合データを見ても明らかだ。ポゼッションはリバプールの72.9%に対し、バーンリーが27.1%。シュート数もポゼッションに見事に比例して、リバプールの32対7。しかし結果は1-1のドローである。

 もちろんボール支配率やシュート数は試合の指標でしかなく、この引き分けはゴールという決定的な結果だけが勝敗を分ける、フットボールの残酷で明快な一面でもある。さらにいえば、ジャイアントキリングのような“意外性”はフットボールが持つ大きな魅力の一つだ。

 アウェーのアンフィールで勝ち点1をもぎ取ったバーンリー・サポーターは、試合終了のホイッスルを聞いた瞬間、まさに天にも昇る気分を味わったに違いない。

「ホームでこうした引き分けは許容できない」と偉人も失望を露わに

リバプールのシンボリックな存在であるOBのジェラードも、迷走を続ける古巣の現状にフラストレーションを感じているようだ 【Photo by Ryan Crockett/DeFodi Images/DeFodi via Getty Images】

 どんなに力の差がある対決でも、弱小チームが強豪を食う結末を試合前から完全に否定することはできない。この事実がフットボールをロマンティックに彩る。

 しかし、である。冒頭のSNS投稿にあったように、バーンリー戦のようなドローはリバプール・サポーターに大いなる疑いを招く。

「これほど圧倒的な試合をしながらなぜ引き分けたのか?」――という疑問が出発点となり、サポーターは「この試合に欠けていたものは何か?」と、貪欲に穴を探し始める。そして仲間内で喧々諤々(けんけんがくがく)の議論を交わす。

「9本もコーナーキックを奪っておいて、ゴールが決まらないのはなぜか?」

「デッドボール・スペシャリスト(プレースキックの名手)だったトレント・アレクサンダー=アーノルドが去った穴は結局埋まらないのか?」

「ドミニク・ソボスライにPKテイカーは務まらないのか?」

「やはり我々にはモー・サラーが必要なのか?」

「ライアン・フラーフェンベルフとドミニク・ソボスライのダブルボランチが守備の場面でチグハグになる。あそこにはやはり、ボックス・トゥ・ボックス型で運動量豊富なアレクシアス・マック・アリスターが常にいるべきではないか?」

「同点にされてから目に見えて浮き足立つのは、スロットがしっかり戦術と自信を選手に植え付けていないからではないか?」

「こんなに相手を圧倒しておいて、1-1にされた瞬間、選手から勝者のメンタリティが消え失せたのはなぜか?」

「選手はスロットのために全力を尽くせないのか?」

「もはやスロットはチームを掌握できていないのではないか?」……

 全くもってフットボールの世界は非情である。昨季のオランダ人監督初となるプレミアリーグ優勝で、わずか1シーズンで名将のオーラに包まれたスロットだが、今季の“凋落”としか言いようがない不振で、もうふらふらだ。

 確かに直近の公式戦12試合は無敗であるが、全くそんな感じがしない。バーンリー戦後、有力OBのスティーブン・ジェラードが「1月1日のリーズ戦でのドローもそうだが、ホームでこうした引き分けは容認できない」と発言したことがそれを物語っている。

 今後はまず、さらに激化するであろう4位争いから脱落しないことが大切だ。もしくは欧州チャンピオンズリーグで強さを見せて勝ち上がり、この欧州最強戦で優勝をイメージさせる戦いを展開することができるか。さもなければ、シャビ・アロンソがレアル・マドリーの監督を解任されてフリーになったこともあり、この元人気選手の監督就任を願うサポーターの期待も後押しとなって、いつもは政権交代のタイミングが遅いリバプールが、年明け早々に指揮官を更迭したチェルシーやマンチェスター・ユナイテッドのようにスロットを今季中に解任することもあり得るかもしれない。

 ベンチ入りはしていたが、遠藤航がまるで忘れ去られたかのように起用されなかったのも、クローザーを使えない、勝てないリバプールの問題を浮き彫りにしているようにも感じる。

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著者プロフィール

1962年3月24日福岡県生まれ。1993年に英国人女性と結婚して英国に移住し、1998年からサッカーの取材を開始。2001年、日本代表FW西澤明訓がボルトンに移籍したことを契機にプレミアリーグの取材を始め、2025-26で25シーズン目。サッカーの母国イングランドの「フットボール」の興奮と情熱を在住歴トータル30年の現地感覚で伝える。大のビートルズ・ファンで、1960・70年代の英国ロックにも詳しい。

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