どうなるBリーグ初ドラフト【入門編】 責任者が語る制度の全体像

大島和人

ユースとドラフトはどう共存?

増田常務理事はユースの充実に対しても意欲を口にする 【スポーツナビ】

――シンプルに何人まで指名できるかの確認をお願いします。4巡目以下も指名は可能ですか?

増田 3巡目の条件で、4巡目以下も指名できます。指名人数の上限は決めていないですが、(1クラブの最大)登録選手数は14人です。その時点の契約選手もいるので、基本的には3名がMAXだろうと思っています。1巡目を回避して、2巡目3巡目4巡目で指名するクラブはもしかしたらあるかもしれません。

――ユースの選手の扱いについてもご説明をお願いします。12月には北海道・西村優真、仙台・阿部真冴橙、名古屋D・若野瑛太の3選手が「ユース優先交渉権」を使って昇格すると発表されています。

増田 ユースの存在は、ドラフト導入に当たって一番悩ましいところでした。私個人としてはドラフトに反対でした。組織として決まった以上は当然やりますけど、ユースとドラフトは併存しないと思っていました。落としどころとして「ユース優先交渉権」を入れました。ユースを強化する一定のインセンティブが働くし、ドラフトも成立させられます。そうなると尖ったルールにはならないですけど、我々は将来のスター選手を自前で育てる使命感を持ってやっています。だからユースは廃止しないし、ドラフトも「どうユースと両立させるか」という視点で議論しました。

――ユース優先交渉権とはどのようなものですか?

増田 条件を満たしたユース所属選手に限り、ドラフトに先駆けて、クラブが優先的に契約交渉をできる権利です。対象は高3(前シーズン4月1日時点で満17歳の選手かつ18歳の誕生日を迎えていない選手)の、 U18チームに所属中で、登録期間が「直近連続2年以上」ある選手です。報酬金額の上限は高卒の1巡目選手と同じ1400万ですが、360万円以上と幅があります。契約期間は一律3年で、プレーヤーズオプションはありません。

 これと別に「U22枠」も用意しています。U18の所属、在籍期間に関する条件は同じです。これは「1年契約」で「年俸360万~460万」の契約です。

――U22枠はどういうものですか?

増田 ユースを引退した選手が通常契約と、U22枠のどちらかを選べます。ユースを卒業した時点で通常契約を結ぶと、報酬は多くなりますが、ベンチ入り通常エントリーの12枠を、他の選手と競って勝ち取る必要があります。U22枠は報酬が少なくなりますが、12名と別枠で試合にエントリーができて、出場の可能性も上がります。どちらにするかはクラブと選手が交渉して決めます。

【Bリーグ公式サイトより引用】

――高校バスケのウインターカップを見ると、佐藤凪(横浜BC・U15→東山高校)のようなBリーグの「U15チーム出身選手」が多く活躍していました。選手育成を考えると心身の変化が大きなU15世代は、U18以上に大事な年代でしょう。個人的にユース優先交渉権の条件を満たす在籍時期の条件に「U15」を入れなかった理由が不思議です。

増田 そうですね、ここも議論はかなりありました。クラブによって「U15も入れてほしい」「U18だけでなく、その後の所属も入れてほしい」といった思惑はあったはずです。これも完全に「決め」でしかないですね。確かにU15は当然重要ですけど、どこがそれに貢献したのかはなかなか測りづらいし、決めにくいところでしょう。そこは「現所属」を原則にして、ドラフト直前に所属していないとダメというように決めました。

――「ドラフトやるならユースは不要」という考えの人もいたはずです。リーグとしてユースをどう位置づけるのか、お考えはいかがですか?

増田 僕個人の思いもあるのですが、間違いなくユースからいい選手を輩出できる自信を持っています。Bリーグとしてこれから育成のガイドラインも作ります。本当はU12からやりたいのですが、U15からプロフェッショナルなコーチにしっかり教えてもらいたいし、もう一つ「しっかり人間教育もしてほしい」と各チームに話しています。そのための研修もやっていますし、リーグとして2030年の目標に掲げている「NBA選手5人輩出」を実現するためにも、ユースを充実させていきたいと強く思っています。

 賛否はあるでしょうが、個人的にドラフトは徐々にシュリンク(縮小)していくものだと見ています。ユースが大きくなるほど、ドラフトの対象になる選手が少なくなり、どのチームもユース優先交渉権で選手を獲得していくことになる――。それくらいの思いで、Bリーグはユースに取り組んでいます。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、バレーボール、五輪種目と幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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