どうなるBリーグ初ドラフト【入門編】 責任者が語る制度の全体像
前提としてBリーグは「B.革新」と称するリーグの方向転換を進めている。2026年秋には現B1に変わる日本のプロバスケの最上位カテゴリーとして「Bプレミア」が発足する。現B1で戦う24チームと、B2の2チームが審査を通過してここに入った。競技成績による降格はないが、サラリーキャップ(年俸総額上限制限)とサラリーフロア(年俸総額下限制限)が設けられる「戦力均衡」を目指すリーグだ。
下部リーグは2部に相当するBワンが25チーム、3部に相当するBネクストは4チームの構成だ。今後「エクスパンション」によってBワンからBプレミアに昇格するチームもあるだろう。他にも外国籍枠の拡大など現B1から様々な変更が予定されている。
そんな中でもドラフトはB.革新の新機軸で、試金石と言い得るイベントだ。参加資格を持つのはBプレミア26クラブで、そのうち23チームが出席し、開幕に8カ月先んじて行われる。1巡目指名の初年度年俸はNCAA1部(ディビジョン1)所属なら3000万円、日本の大学所属なら1800万円とかなり高いレベルで設定されている。契約期間は2年間で、プレーヤーズオプションで(つまり選手側が希望すれば)3年目の年俸も保証される。
もっとも、ドラフト制度がファンや関係者にしっかり理解されているとは言い難い現状は否めない。ドラフトと言ってもNBAや日本のプロ野球と様々な違いがあり、かなり細かい説明が必要だろう。今回はBリーグにおけるドラフトの責任者でもある増田匡彦・常務理事に、制度に関する説明をお願いした。まずは「入門編」のQ&Aを皆さんにお届けする。(取材・構成:大島和人)
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2巡目は「1巡目最下位」から指名
増田 下位チームが選手を獲得できる仕組みにした方が、戦力バランスは整いやすくなります。僕らは基本的には、下位チームが優先的にいい選手を指名できるルールを作ろうという発想でした。NBAのドラフトも、かなり参考にしています。
12月22日にロッタリー(指名順を決める抽選)をやりましたが、前年度順位を反映しなかった理由は「Bプレミアになってからの順位」が現時点では出ていないからです。次回も(Bプレミア初年度となる)2026-27シーズン中なので、まだ順位が決まっていません。途中の順位を反映しても納得感がないだろうということで、2年間は全チームが同じ確率で指名順を決める抽選を行います。
――こちらの感覚だと、今のB1下位の当選確率を高くして、かつ今はB2の神戸ストークスや信州ブレイブウォリアーズも優先すればいいのでは?と感じます。そういう議論もあったのではないですか?
増田 いや、それはなかったです。リーグから「順位が決まってない以上、合理的な理由が無いから、基本的にはフラットで行きます」と話して、クラブからも特段の異論は出ていません。Bプレミアはサラリーキャップもあるし、本当に順位がどうなるかまったく分かりません。
――これは確認ですけど、ドラフトで会議に参加しないことは可能だし、出席して指名しないことも可能ですね?
増田 可能です。
――2巡目、もしくは3巡目から指名することも可能ですか?
増田 可能です。
――2巡目指名についてお聞きします。1巡目で指名したチーム、しなかったチームの扱いはどうなりますか?
増田 今回でいうと1巡目1位のSR渋谷から、23位の信州まで順番がありますね。1巡目はその順番通りにSR渋谷から指名して、仮に全クラブ指名し続けた場合は2巡目が信州からSR渋谷へと逆目で指名をします。なので、23位のクラブは2回連続で指名することになります。逆にSR渋谷の2巡目は「全体46 位」になります。
ただ例えばですが、1巡目8位の秋田が1巡目の指名を回避して、他の22クラブが指名した場合、2巡目1位の指名は秋田からになります。で、2巡目の2位が信州です。
――2巡目は、1巡目で指名しなかったチームが優先されるわけですね。
増田 はい。1巡目8位の秋田と1巡目16位の滋賀が両方指名せず、他は全クラブが指名した場合、2巡目1位指名は滋賀からになって滋賀、秋田、信州……となります。
増田 プロ1~3年目でBプレミアに所属するなら、ドラフトを経由しなければいけません。Bプレミアの指名を拒否してBワンやBネクストのクラブと契約する、大学生ならば学校に残るケースはあると思います。あと海外のチームと契約する選手も出るかもしれませんね。そういう選手がBプレミアに所属しようとするなら翌年、翌々年に指名を受けるか、もしくは3年経過するのを待つことが必要です。
――ドラフトで指名を受けた、受ける可能性のある選手が、特別指定選手として他クラブでプレーすることはできますか?
増田 2026年1月のドラフトならば、契約は2026-27シーズンからです。ですから2025-26シーズンであれば、他クラブの特別指定でプレーすることは可能です。ケガなどのリスクはあるので、契約時に「特別指定はやめなさい」「ウチに来なさい」と話すクラブはあるでしょう。それでも特別指定でBのコートに立つこと自体は、ドラフトに向けたいいアピールになると思います。
新人年俸はなぜ「固定」になっているのか?
増田 他の場でも申し上げていますが、ドラフトは選手の職業選択の自由を奪うものです。となれば一定の補償をする必要があり、安くすることはないと思っていました。どこを基準にしたかというと、現B1の新人選手です。大卒のトップ選手は(最高年俸460万円に)インセンティブもついて、1000万くらいもらっていました。まず、これがベースだろうと考えました。
彼らは自由競争の中で契約をして1000万を獲得しました。これからB1に来る選手たちは、自由にクラブを選ぶことができないので、その1000万を最低限として保証するべきだと考えました。そこから大卒3巡目を1000万に設定して、2巡目、1巡目と上積みをしています。2巡目が1400万円、1巡目は1800万円になり、高卒はもう一回り安く設定しました。逆にNCAAはもっと高く……という判断です。
――同じ順位でも幅をつける、1巡目の中でも1位と20位で差をつける……という議論はなかったのですか?
増田 交渉を発生させたくなかったことが、同じ巡目の年俸額を固定した理由です。「1巡目は1000万から1800万まで幅がある」となったとき、当然1000万で交渉するクラブがあるはずです。指名したけど契約に至らないケースが増えてしまうと思って、クラブによって濃淡が出ない金額を決めました。
――日本のプロ野球だと同じ順位でも金額に幅がありますし、事前にミスマッチが起こらないようにコミュニケーションを取っています。Bプレミアの中で格差があったとして、それぞれのクラブがミスマッチを避けるために事前にやり取りをする……という想定はされなかったのですか?
増田 「事前のコミュニケーションはどんどん取ってください」とお伝えしています。ただ実際の契約交渉が始まったときに、近い順位で金額が違う選手を見たら「もう一回ドラフトにチャレンジしよう」と心変わりする可能性もあります。「指名してからの交渉は極力したくない」という要望は、クラブからもありました。選択肢が生まれて、報酬額に差が出ることは避けたかったです。
――NBAのように「全体1位は2500万」「2位2300万」と傾斜を付ける設計もあり得ます。そこはいかがですか?
増田 そこも議論には入っていません。まず「どこのクラブに行っても同じ環境、条件」というところにこだわりました。結果として1巡目の指名が少なくなってしまうかもしれないですけど、安く取りたいなら2巡目以降に指名すればいいだけです。そこの幅はあるから巡目を変えて指名、交渉すればいいように設計したつもりです。