ミラノへの道にそびえる『スロベニアの巨壁』 王者に迫る小林陵侑、追撃の日本勢

スポーツナビ

ドメン・プレブツ(中央)は札幌で行われたW杯ジャンプ男子で連勝を飾った 【写真は共同】

 2026年1月17日、18日の週末。寒気冴えわたる札幌・大倉山ジャンプ競技場は、五輪を目前に控えた熱気と緊張感に包まれていた。ノルディックスキーW杯ジャンプ男子個人第17戦、第18戦。ミラノ・コルティナ五輪の日本代表選考対象となる最後の大会だが、その中心には常に一人の男がいた。スロベニアの「巨壁」ドメン・プレブツだ。

 今回、札幌で連勝を飾り、今季9勝目・通算18勝目をマーク。圧倒的な強さでW杯個人総合首位を独走する王者に、日本のエース・小林陵侑ら「日の丸飛行隊」はどう挑むのか。札幌での激闘を振り返る。

札幌に立った“巨壁”―連勝のプレブツが示した格

 日本勢が表彰台の左右を埋めても、中央だけは譲らない。それが今のドメン・プレブツの強さだ。

 第17戦(17日)は日本勢が意地を見せた。北京五輪代表の中村直幹が134.0メートル、132.5メートルの2本をそろえて2位に入り、1147日ぶりとなる表彰台を獲得。さらに今季絶好調の二階堂蓮も3位に入り、大倉山の表彰台を日本勢が2枠押さえる躍進を見せた。

 だが、表彰台の頂点に立ったのはやはりプレブツだった。決勝2本目でこの日最長の141.0メートルを叩き出し、終わってみれば圧勝。翌第18戦(18日)もその「格」は揺るがない。137.5メートル、136.5メートルと2本ともまとめ切り、札幌2連戦を完全制圧してみせた。

 プレブツは自身のジャンプについて「パーフェクトではなかった」と語りながらも、結果的に距離を伸ばす修正力を見せつけ、五輪へ向けても「金メダルを取りたい」と率直な野心を口にしている。

「ミスしない限り難しい」―小林陵侑が口にした“本音”

「ビッグジャンプを見せられた。わくわくしながら飛べた」

 第18戦、その背中に最も迫ったのは日本のエース・小林陵侑だった。136.5メートル、138.5メートルと特大のアーチを揃え、合計274.2点をマーク。優勝したプレブツとはわずか「3.5点差」の2位と肉薄した。試合後、小林は確かな手応えを口にし、充実の表情を見せた。

 しかし、圧倒的な強さを誇るプレブツに勝つには?と問われると、エースは冷静に現状を見据えて言った。

「今の状況だとドメン選手がミスしない限り難しい」

 W杯総合首位を大差で走るライバルの強さを、素直に認めた言葉だ。だが、すぐにこう続ける。

「ミスを待つわけにもいかないので。自分は自分のパフォーマンスをするしかチャンスはない」

 小林は勝つ道筋が「相手の失敗」ではなく、「自分の完成度をもう一段上げる」ことにあると見定めている。今季7度目の表彰台で感じた「わくわく」を糧に、冷静かつ大胆にミラノでの逆転劇を見据えている。

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