高校サッカー選手権「敗れてなお輝いた男たち」 プムラピーらビッグインパクトを残した6選手のドラマ

森田将義

準優勝校・鹿島学園の2年生守護神プムラピー 【Norio Rokukawa】

 1月12日に幕を閉じた第104回高校サッカー選手権。結果はインターハイ王者・神村学園(鹿児島)が同校史上初となる選手権日本一に輝き、“夏冬二冠”を達成した。

 ただ、輝いたのは頂点に立った彼らだけでもない。敗れた47校の中にも“努力の軌跡”を示し、もてる力を発揮した者は少なくなかった。敗戦の悔しさもまた、さらなる飛躍の糧となるだろう。

 ここではそんな、「敗れてなお輝いた男たち」をピックアップしそのドラマにフォーカス。ひと際光るものを見せ、今後に大きな期待を抱かせてくれた6選手を紹介したい。

FOCUS①GK プムラピー・スリブンヤコ(鹿島学園/2年)

 プムラピー・スリブンヤコはタイを代表するビッグクラブ、ムアントン・ユナイテッドFCのアカデミーに所属していた選手だが、母国の英雄・チャナティップが北海道コンサドーレ札幌でプレーする姿を見て憧れ、将来はJリーグでプレーすることを希望。「大人になってから日本にくると通訳を使わないといけないけど、高校生からなら日本語の面でも成長できる」と高校進学のタイミングで鹿島学園に入学した。

 登録のルールにより、17歳の誕生日を迎えた昨年の7月末までは公式戦でプレーできなかったものの、「関西弁や変な言葉を仲間が教えてくれた」と笑うように、みるみるうちに言葉をマスター。193cmの高身長を生かした守備範囲の広さと「日本で成長した」と言うキック力を駆使して、すぐさま定位置をつかんだ。

 そして選手権の舞台でも堂々たるプレーを披露した。U-17タイ代表として昨年の春に経験したU17アジアカップよりも緊張したそうだが、初戦(新田戦)では飛距離十分のロングキックで得点に関与し、神村学園との決勝では見事なPKストップも披露するなど、要所で活躍。鹿島学園史上初となる決勝進出(準優勝)を支えた。

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FOCUS②DF 星 宗介(尚志/2年)

尚志の星。ボランチで絶大な存在感を放ちベスト4進出に大きく貢献 【Masayoshi Morita】

 シーズン当初はCBで定位置をつかんでいた男だ。DF松澤琉真(3年)の復調によってポジションを失っていたが、今大会直前の主力選手のケガによってボランチに抜擢されると、守備力の高さを発揮し、すぐさまチームに欠かせない選手となった。

 選手権の大舞台で託され際立っていたのは、“ボールハンター”としての役割と働きだ。「高い位置で奪ったらそのぶんチャンスが増える」という狙いの下、相手の目や特長を踏まえて“次のプレー”を予測し、何度も鋭いインターセプトを披露。向こうにボールが渡ったとしても、CBで培った“人に強く当たる守備”の技術を発揮し、攻撃に出ようとする相手を自陣まで前進させなかった。

 好プレーを続けながらもチームは準決勝(神村学園戦)で敗れ、自身も5歳上の兄・景虎(ガイナーレ鳥取)が記録した成績を超えることはできなかったが、2年生で国立の舞台を経験できた価値は大きい。

「ここまで3年生たちがいい背中を見せてくれた。そのいい部分を吸収して、これからにつなげないといけない。来年またここに戻りたい」

 そう言って星の目は高校ラストイヤー、“国立での白星”へと向けられていた。

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FOCUS③MF 古川 蒼真(流経大柏/2年)

ベスト4・流経大柏の古川(中央)。出場4試合で3ゴールを記録 【Atsushi Tokumaru】

 前所属のFC多摩ジュニアユース時代はCBの選手で、高校に入ってから中盤にコンバートされた。「主役になりたい気持ちはあった」と胸の内を語るように、“攻撃の機会が多いポジション”は適任だったのかもしれない。

 本人は「守備・切り替え・運動量」の3つを自身の長所に挙げるため、守備的なキャラクターに思われるかもしれないが、技術が高く、ボールを持てば、するすると前進できてしまう。「流経(大柏)にきてから判断の部分を意識するようになって、ワンタッチ、ツータッチでのプレーが多くなった」とも言うように、タイミングよくボールを離すことができるため、ボールロストの回数が少ないことも強みだ。

 Jリーグクラブ加入内定選手を4人もそろえる強豪校にあって、2年次にして定位置をつかむと、この選手権でも“攻撃の中心”として目を見張るプレーを披露。初戦(米子北戦)の2ゴールを含め、全3ゴールを奪った。

 準決勝(鹿島学園戦)では好機を作りながらも得点を奪えず、涙をのんだ。最終学年で狙うのは、“世代の顔”になること。「得点力や一つのパスでチームを救えるような存在になっていきたい」と意気込んでいる。

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著者プロフィール

1985年、京都府生まれ。路頭に迷っていたころに放送作家事務所の社長に拾われ、10代の頃から在阪テレビ局で構成作家、リサーチとして活動を始める。その後、2年間のサラリーマン生活を経て、2012年から本格的にサッカーライターへと転向。主にジュニアから大学までの育成年代を取材する。『エル・ゴラッソ』『ゲキサカ』『サッカーダイジェスト』『サカイク』『Number』などに寄稿している。

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