世界は侍ジャパンをどう見ているのか――連覇を阻むプールC・Dのキーマンたち

WBC「3強」は日本、アメリカ、ドミニカ共和国 米メディアやファンから見た侍ジャパンの強さとは?

村田洋輔

日本vs.アメリカの対戦となった2023年前回大会の決勝。世界は世界最強同士の再戦を望んでいる 【Photo by Rob Tringali/WBCI/MLB Photos via Getty Images】

アメリカが認めた「結束力」という武器

 侍ジャパンが3大会ぶり三度目のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)優勝を成し遂げてからまもなく3年が経過しようとしている。前回大会はついにアメリカとの決勝が実現し、投手・大谷翔平が同僚(当時)のマイク・トラウトを三振に仕留めるという歴史的なエンディングを迎えた。その瞬間、侍ジャパンはほかの出場チームにとって「次回大会で倒さなければならない相手」となり、今大会ではリベンジを目指すアメリカを筆頭に、各チームが虎視眈々と「打倒・侍ジャパン」を狙っている。

 MLB.comは昨年12月、侍ジャパンの強さの秘訣を特集する記事を公開し、「MLBは世界最高峰の野球リーグと言えるかもしれないが、国際大会においては日本が最強の座に君臨している」と記した。過去5大会で複数回の優勝を経験しているのは侍ジャパンだけ。「日本が最強」というMLB.comの認識は間違っていないだろう。そして、強さの秘訣については「日本はスター選手の力だけで勝ってきたわけではない。アメリカの首脳陣は日本の結束力に注目している」と言及し、日本では高校野球などを通してプロ入り前からチームのために全力を尽くすことが一般的であることを指摘した。

昨年のMLBアワードでは、アメリカ代表のメンバーであるカル・ローリー、コービン・キャロル、マーク・デローサ監督、ピート・クルーアームストロング、マイケル・ヒルGMが記念撮影に応じた 【Photo by Daniel Shirey/MLB Photos via Getty Images】

 アメリカのマイケル・ヒルGMは「日本にはチームとしての一体感があり、選手たちが互いに心地よくプレーしている。何カ月も一緒に過ごしているから、試合に臨む準備ができているだけでなく、チームワークもすでに形成されている。短期間のトーナメントにおいて、隣にいる選手がどんな選手なのかを知っていることはとても重要だと思う」とコメント。代表チームが常設されていることに加え、大会前のキャンプを通してチーム内での人間関係や信頼関係が構築されていることが侍ジャパンの強みであると考えているようだ。

 ドミニカ共和国の監督を務めるメジャー通算703本塁打のレジェンド、アルバート・プホルスも「日本では代表チームが常設され、その結果としてほかの出場チームよりも優位に立つことができている」と同様の見解を示した。ただし、プホルスは「侍ジャパンが卑怯だ」と言いたいわけではない。ネルソン・クルーズGMとともに「各チームにWBC前のキャンプを実施する権限を与え、それをルール化すべきだ」とMLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーに進言したことが報じられており、「ほかの出場チームも侍ジャパンを見習うべき」というスタンスなのだと思われる。

「本気のアメリカ」を呼び起こした侍の影

記者会見でWBCへの意気込みを語るアメリカ代表キャプテンを務めるアーロン・ジャッジ 【Photo by New York Yankees/Getty Images】

 では、今大会に出場するMLBのスーパースターたちは侍ジャパンのことをどのように見ているのだろうか。アメリカの主将としてWBCに初出場するアーロン・ジャッジ(ヤンキース)は昨年7月、オールスターの前日会見でWBCについて言及。「キャプテンを務めることになったのは光栄だ。これまでチームUSAのユニフォームを着る機会が一度もなかったからね。本当に楽しみにしている」と今大会に向けての意気込みを語るとともに「前回は日本が優勝した。日本は素晴らしいチームを持っているし、こちらも良いチームを組んで、どうなるか見てみたい」とコメントした。

 その言葉通り、前回大会のリベンジを目指すアメリカは「打倒・侍ジャパン」に向けて「本気」のメンバー編成を進めており、ジャッジが牽引する野手陣にはア・リーグ本塁打王のカル・ローリー(マリナーズ)、ナ・リーグ本塁打王のカイル・シュワバー(フィリーズ)、走攻守三拍子揃ったボビー・ウィットJr.(ロイヤルズ)、MVP二度のブライス・ハーパー(フィリーズ)など、球界を代表するスーパースターが勢揃い。課題の投手陣も真っ先に出場を表明したポール・スキーンズ(パイレーツ)に触発されるように、タリク・スクバル(タイガース)、ローガン・ウェブ(ジャイアンツ)、メーソン・ミラー(パドレス)といった豪華なメンバーが集まった。もしアメリカが前回大会の決勝で侍ジャパンに勝っていれば、今大会はこれほどのメンバーは集まらなかったはず。侍ジャパンの強さを認識し、本気で勝ちにいこうとしているからこそ、野手陣のみならず、投手陣にもスーパースターが加わったのだろう。

ドミニカ代表もウラジーミル・ゲレロJr.ら最強メンバーを揃えてくる 【Photo by Ronald Martinez/Getty Images】

 3大会ぶりの優勝を目指すドミニカ共和国もアメリカに引けを取らない豪華戦力だ。野手陣はウラジーミル・ゲレロJr.(ブルージェイズ)、フアン・ソト(メッツ)、マニー・マチャド(パドレス)、フェルナンド・タティスJr.(パドレス)など、各ポジションにスーパースターが揃い、投手陣もサンディ・アルカンタラ(マーリンズ)、クリストフェル・サンチェス(フィリーズ)、フレディ・ペラルタ(ブリュワーズ)、ジョアン・デュラン(フィリーズ)とベストメンバーが揃えば非常に強力。ESPNはこのドミニカ共和国とアメリカ、日本を今大会の「3強」に位置づけており、これだけの戦力を揃えるドミニカ共和国やアメリカと同列の扱いであることを見ても、やはり侍ジャパンへの高い評価がうかがえる。

 ちなみに、FOXは昨年11月の時点でWBCの優勝オッズを公開しており、1番手がアメリカ、2番手が日本、3番手がドミニカ共和国という順になった。投打とも史上最強と言っても過言ではないアメリカが1番手に推されるのは仕方ない部分もあるが、投打にオールスター級のタレントを揃えるドミニカ共和国より上という位置づけを見ても、三度の優勝を誇る侍ジャパンの野球が日本国内のみならず、アメリカのメディアや関係者からも高く評価されていることがよくわかる。今大会で期待されるのはやはり、決勝での侍ジャパンとアメリカのリマッチ(再戦)なのだろう。

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著者プロフィール

神戸出身。2001年、イチローのマリナーズ移籍をきっかけに本格的にMLBに興味を持つ。2016年からMLBライターとしての活動を開始し、2017年から日本語公式サイト『MLB.jp』編集長。2021年にはSPOZONE(現SPOTV NOW)で解説者デビュー。ジャンカルロ・スタントンと同じ日に生まれたことが密かな自慢。

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