【高校サッカー選手権・決勝プレビュー】初優勝は神村学園か鹿島学園か、激闘必至の注目すべき4つのポイント

安藤隆人

決勝進出の神村学園と鹿島学園、どちらが勝っても初優勝となる 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

神村学園vs.鹿島学園(12日14:05~@国立)

 第104回全国高校サッカー選手権大会も残すところあと1試合となった。

 1月12日に行われる決勝のカードは、神村学園(鹿児島)vs.鹿島学園(茨城)。インターハイ王者の前者は尚志(福島)との準決勝をPK戦の末に、17年ぶりの4強入りを果たしていた後者は流経大柏(千葉)を劇的に下した。選手権で言えば、両校ともに初の決勝進出となる。

 どちらが勝っても初優勝。日本一へ、激闘必至の決勝戦を4つのポイントに分けて展望したい。

POINT 1:神村学園の3トップvs.鹿島学園の4バック、徳村楓大と齊藤空人がキーマン

神村学園の左ウイング・徳村(左)と鹿島学園のCB齊藤 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 神村学園は日髙元(3年)、倉中悠駕(3年)、徳村楓大(3年)の3トップの破壊力が武器。インターハイやプレミアリーグWESTでは、右ウイングの日髙、インサイドハーフの佐々木悠太(3年)と福島和毅(3年)を軸に右サイドでボールをつなぎ、センターフォワードの倉中や左ウイングの徳村の決定力でこじ開けるスタイルだったが、今大会は右のインサイドハーフにバランス感覚に長けた岡本桂乙(3年)を置く。右サイドでバランスを取りながら、左サイドで徳村、福島、左サイドバックの荒木仁翔(3年)が連係して攻撃を作り、最後は倉中と日髙が仕留める形がハマっている。

「僕にマークが集中しているぶん、逆サイドが空くので、そこを活用することを狙っている」と口にするのは徳村。自身の純粋なドリブル突破というよりも、相手を引きつけて逆サイドを使うための“食いつかせるドリブル”が、この形をより強烈なものにする。

 これに対し、鹿島学園は徳村の突破を警戒して人数をかけるのか、それともバランスを重視し[4-4-2]の3ラインを整えて守っていくのか。後者の場合、徳村は1対1のマッチアップで積極的に仕掛けてくる可能性があるだけに、どうスライドして対応するか、その塩梅(あんばい)は重要だ。中の倉中、逆サイドの日髙を空けないようにしながら、彼の進路をふさぐカバーリングができるか。

 この点においては、CB齊藤空人(3年)が大きなカギを握る。流経大柏との準決勝(1-0)では齊藤と中川光星(3年)の2CBが相手の2トップとそのままマッチアップし、ボランチの清水朔玖(3年)がトップ下の選手を監視して完封したが、次は2CBで倉中を見つつ、スペースに進入してくる福島、岡本、徳村、日髙をケアしなければならない。倉中には対人に強い中川を当て、カバーリング能力に長けた齊藤が1.5列目(福島、岡本)や両ウイング(徳村)の進入をケアする形になるだろう。

「僕が意識するのは、中を絶対に空けないこと。カバーしながらも中央を破らせない守備をしないといけないと思います」と齊藤。ボランチに入る清水のサポートを受けながら、CBがサイドに引きずり出されず、中央に“フタ”をできるかが大きなポイントになる。

【スクワッド】

【スクワッド】

POINT 2:鹿島学園は神村学園の“アンカー脇”をどう狙う

鹿島学園はダブルボランチが相手のアンカーの脇を突けるか 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 神村学園は堀ノ口瑛太(3年)を中盤の底に配する[4-3-3]システムを敷く。いわゆる“アンカー”を置く相手に対して、その両脇のスペースを狙うことはサッカーのセオリーだ。実際、鹿島学園は流済大柏との準決勝で、相手のアンカー・島谷義進の両脇を、2トップが落ちる形とダブルボランチの一角・木下永愛(3年)が徹底して狙った。

 特に後半はダブルボランチを縦関係(清水を後ろ、木下を前)にして、より島谷の脇を活用していた。島谷がプレスバックに入った瞬間には、CB齊藤を中心に最終ラインを上げ、清水が一気に前に出ることで、島谷が動いてできたスペースを狙っていた。このスムーズな連係を、決勝の舞台でも披露できるかは一つのポイントになる。

 神村学園は相手のサイドからのカットインを防いだり、味方のサイドバックの裏のスペースをカバーしたりするために、堀ノ口がサイドに流れて守備をする傾向があるため、インサイドハーフの岡本が後方に落ちることで、堀ノ口が出ていったスペースを埋める動きを見せる。そのスライドの際に、清水と木下のダブルボランチが岡本の両脇を狙うプレーも効果を発揮しそうだ。

 一方の神村学園からすれば、清水がアンカーとして残るほうが厄介なだけに、守備で清水が前に出てきたタイミングでボールを奪い取り、彼の裏を積極的に使いたいところ。相手が最終ラインを上げてきたなら、一発のロングボールで最前線の倉中や両ウイングを裏へ抜け出させるなど、“ひっくり返すプレー”も有効になるだろう。

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著者プロフィール

1978年2月9日生まれ、岐阜県出身。5年半勤めていた銀行を辞め単身上京してフリーの道へ。高校、大学、Jリーグ、日本代表、海外サッカーと幅広く取材し、これまで取材で訪問した国は35を超える。2013年5月から2014年5月まで週刊少年ジャンプで『蹴ジャン!』を1年連載。2015年12月からNumberWebで『ユース教授のサッカージャーナル』を連載中。他多数媒体に寄稿し、全国の高校、大学で年10回近くの講演活動も行っている。本の著作・共同制作は12作、代表作は『走り続ける才能たち』(実業之日本社)、『15歳』、『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、『ムサシと武蔵』、『ドーハの歓喜』(4作とも徳間書店)。東海学生サッカーリーグ2部の名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター

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