【高校サッカー選手権・準決勝プレビュー】尚志vs.神村学園は圧巻の攻撃力対決 鹿島学園vs.流経大柏は崩し合いとセットプレーが必見

安藤隆人

7年ぶりベスト4の尚志(左)と3年ぶりの4強進出を果たした神村学園 【写真は共同、写真:松尾/アフロスポーツ】

 日本一へあと二つ。12月28日に開幕した第104回全国高校サッカー選手権もベスト4が出そろい、いよいよ大詰めを迎える。国立競技場のピッチに立つのは、尚志(福島)、神村学園(鹿児島)、鹿島学園(茨城)、流経大柏(千葉)。1月10日に行われる準決勝2試合を展望したい。

尚志vs.神村学園(10日12:05~@国立)

 初の決勝進出を狙うチーム同士でインターハイ準決勝のカードが、選手権の準決勝でも実現する形となった。両チームともに攻撃力を売りにしており、どちらの攻撃が勝るかがポイントになる。

 神村学園は準々決勝・日大藤沢戦(4-1)で4ゴールを叩き込み得点ランキングトップに立つ倉中悠駕(3年/センターフォワード)、変幻自在のドリブラー・徳村楓大(3年/左ウイング)、決定力のある日髙元(3年/右ウイング)が組む3トップの破壊力が際立っている。だが、それをコントロールするのが福島和毅(3年)だ。

 左のインサイドハーフに入る福島は、3トップの間に次々と顔を出し、“3人目の動き”でパスを引き出したり、相手のマークを引きつけて3トップの誰かをフリーにしたり、質の高いオフ・ザ・ボールの動きを見せる。ボールを受けてもまた、手数は多彩。相手がプレスにこなければ自らボールを運んでシュートに持ち込んだり、食いついてくれば決定的なスルーパスを出したりと、相手の動きによってそのアプローチを変えている。

 そして、彼の“自由な動き”を支えているのが、アンカーの堀ノ口瑛太(3年)と右のインサイドハーフを務める岡本桂乙(3年)、2人のずば抜けたバランス感覚だ。

 堀ノ口は危機察知能力が高く、スペースを埋める力、ボールを奪う力に長ける選手。インサイドハーフが2人とも攻撃に加われば、カウンターを受けないように務め、どちらかが低い位置に下りてパスを受ければ、自らがCB(最終ライン)の間に落ちることで3バックに“可変”させ、ビルドアップに入るなど、ネガティブトランジションが起こらないようにサポートする。岡本は福島と堀ノ口の関係性を見て適宜ポジションを取り、2人のバランスをフォローしながら、チャンスとあれば前に出ていく。

 チームはここまでの3試合で14ゴール。福島を軸とした中盤3枚の連係ができているからこそ、3トップや細山田怜真(3年)と荒木仁翔(3年)の両SBの動きが活性化され、そこから多くの得点が生まれている。

 翻って、尚志はこの3枚の連係に歪みを入れたい。

 昨年12月中旬に行われたプレミアリーグプレーオフから[4-3-3]の布陣を敷く尚志にとって、この試合はミラーゲームになる。同じシステム同士、神村学園の中盤3枚と同じ形で迎え撃てるわけだ。インサイドハーフの阿部大翔(3年)と小曽納奏(3年)、アンカーの星宗介(2年)は3人とも守備力が高く、ボールを奪い取る力に長けている。

 ただ、ブロックを敷いて守備を固めるというよりも、自分たちがボールを保持して素早く動かすことで、相手の中盤3枚に攻撃の起点を作らせないことがポイントだろう。特に阿部は前に出て攻撃に絡んでいく力もあるだけに、チームとしてボールを握りながら、いかに彼を前線へ飛び出させて、攻撃に厚みをもたらしていけるか。そのことで、相手の中盤3枚のバランスを崩したい。

 また、福島に自由を与えないよう複数の選手で監視し、ボールを奪ったあとに堀ノ口の周辺のスペースを活用するショートカウンターを仕掛けることも有効策だろう。もしくは猛威を振るってきた左右のウイング、臼井蒼悟(3年)と田上真大(3年)に素早くボールをつないで相手をサイドへ誘い出し、バランスを崩したところで、彼らの縦突破や“3人目の関わり”をもってハーフスペースを活用し、切り崩していくか。

 尚志が得意とするのは“ピッチを広く使ったサッカー”だ。それができれば、神村学園の連係にノッキングを引き起こし、自分たちのペースにもなるはず。中盤の激しい攻防と駆け引きこそ、この試合最大の注目点だ。

【スクワッド】

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著者プロフィール

1978年2月9日生まれ、岐阜県出身。5年半勤めていた銀行を辞め単身上京してフリーの道へ。高校、大学、Jリーグ、日本代表、海外サッカーと幅広く取材し、これまで取材で訪問した国は35を超える。2013年5月から2014年5月まで週刊少年ジャンプで『蹴ジャン!』を1年連載。2015年12月からNumberWebで『ユース教授のサッカージャーナル』を連載中。他多数媒体に寄稿し、全国の高校、大学で年10回近くの講演活動も行っている。本の著作・共同制作は12作、代表作は『走り続ける才能たち』(実業之日本社)、『15歳』、『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、『ムサシと武蔵』、『ドーハの歓喜』(4作とも徳間書店)。東海学生サッカーリーグ2部の名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター

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