【高校サッカー選手権・準々決勝全試合プレビュー】実力校がズラリ、大津vs.流経大柏の超ビッグカードも

安藤隆人

今大会2試合で10ゴールを挙げている神村学園。夏冬二冠を目指す優勝候補の本命だ 【写真は共同】

 12月28日に開幕した第104回全国高校サッカー選手権も、ついにベスト8が出そろった。1月4日に行われる国立競技場への切符をかけた準々決勝の4試合を展望したい。

興國vs.鹿島学園(4日12:05~@等々力)

 多士済々の[4-3-3]を用いる興國と、バランスの取れた伝統の3ライン[4-4-2]で戦う鹿島学園。興國の相手に合わせた変化がハマり、鹿島学園を凌駕(りょうが)するか。鹿島学園が普段どおりの戦いで、興國の守備を破壊していくのか。そこが非常に楽しみなカードだ。

 興國は実に多彩な戦いを見せてきた。スピードが売りのアタッカー・安田光翔(3年)、身長185cmの大型ストライカー・佐藤瞭太(3年)、左右の両サイドで突破力を発揮する田中凰我(3年)、台頭してきた笹銀志(1年)、前線ならどこでもこなせる乾悠人(3年)と、豊富なアタッカー陣を抱え、対戦相手によってその組み合わせや配置を変えていく。おそらく同じ形、オーソドックスな[4-4-2]を採用すると予想される鹿島学園に対しては、誰をどこでチョイスするか。

 一方の鹿島学園は、相手がどんな布陣できてもやるべきことが変わらないチームだ。不動のディフェンスリーダー・齊藤空人(3年)と身長189cmの中川光星(3年)、1年間最終ラインを束ねてきたCBコンビが作り出す強固な守備をベースに、鋭く素早くカウンターを仕掛けていく。その終着点、身長180cmの渡部隼翔(3年)と、ずば抜けた身体能力をもつ内海心太郎(2年)が組む2トップの破壊力は見逃せない。

 その中で注目すべきは、昨年から不動の左サイドバックとしてプレーし続けてきた清水朔玖(3年)がボランチにコンバートされ、攻守に安定したプレーを見せていること。屈強なフィジカルと豊富な運動量に裏打ちされたアップダウンと強烈なシュートという武器を、ボランチに移っても高水準で披露している。コンビを組む“相方”、高いボール奪取力をもつ木下永愛(3年)との相性も抜群。2人でブロックを作って縦パスのコースやスペースを消しつつ、奪ったボールを清水が運び2トップへとつなげていく形は、チームの大きな武器になっている。

神村学園vs.日大藤沢(4日14:10~@等々力)

 インターハイ(総体)王者の神村学園と、今大会の直前に行われたプリンスリーグ関東2部参入戦を制した日大藤沢の一戦。最大の焦点は今大会の2試合で10ゴールと破壊力を見せつける神村学園のアタッカー陣を、日大藤沢がどう封じるか。ポイントは今大会絶好調の右ウイング・日髙元(3年)、FC町田ゼルビア加入内定の左ウイング・徳村楓大(3年)に対し、自由にゴール前に入らせないようにできるかだろう。

 日大藤沢は小林昴瑠(3年)、榎本来輝(3年)、入谷友陽(3年)、内田尚寿(3年)が組む不動の4バックが安定しており、チャレンジ&カバーもスムーズ。中村龍剛(2年)と杉﨑万泰(3年)のダブルボランチも彼ら最終ラインのポジションを見てギャップを埋める動きを徹底しており、試合をこなすごとに安定感を増してきている。

 ただ、神村学園の攻撃はワイドを使うタイミングが絶妙。岡本桂乙(3年)とアビスパ福岡加入内定の福島和毅(3年)の2シャドーがハーフスペースで巧みにボールを受け、相手のボランチやサイドバックを引きつけてからワイドにパスをつけたり、ポケット(ペナルティーエリア内の左右のスペース)へスルーパスを入れたりと、“守備の的を絞らせない”プレーを見せる。日大藤沢からすると、それにうかつに食いついて裏を取られることは避けたいところだ。

 一方の神村学園も当然、日大藤沢のビルドアップと、今大会絶好調の1トップ・有川啓介(3年)にトップ下の平島翔海(3年)、両ワイドの山岡稜と富田周平の2年生アタッカーが絡んでくるショートカウンターは要警戒だ。特にインターハイ優勝の立役者となったアンカー・堀ノ口瑛太(3年)の脇のスペースは、どのチームも活用しようと狙ってくるところ。いわきFC加入内定のCB中野陽斗(3年)を中心に出足の鋭い守備ができるか、堀ノ口がプレスに出たときに、岡本と福島が素早くサポートできるか。ここがポイントになってくるだろう。

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著者プロフィール

1978年2月9日生まれ、岐阜県出身。5年半勤めていた銀行を辞め単身上京してフリーの道へ。高校、大学、Jリーグ、日本代表、海外サッカーと幅広く取材し、これまで取材で訪問した国は35を超える。2013年5月から2014年5月まで週刊少年ジャンプで『蹴ジャン!』を1年連載。2015年12月からNumberWebで『ユース教授のサッカージャーナル』を連載中。他多数媒体に寄稿し、全国の高校、大学で年10回近くの講演活動も行っている。本の著作・共同制作は12作、代表作は『走り続ける才能たち』(実業之日本社)、『15歳』、『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、『ムサシと武蔵』、『ドーハの歓喜』(4作とも徳間書店)。東海学生サッカーリーグ2部の名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター

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