連覇を狙う福大大濠、初優勝を目指す東山 「逸材」を擁する両校が高校バスケ決勝に臨む

大島和人

白谷柱誠ジャック(右)は将来を嘱望される万能選手 【(C)SoftBank ウインターカップ2025】

 SoftBank ウインターカップ2025 令和7年度 第78回全国高等学校バスケットボール選手権大会の男子決勝は、12月29日の13時から東京体育館で開催される。決勝戦に勝ち残ったのは前回大会王者・福岡大附大濠と、初優勝を目指す東山だ。

 両校とも未来の日本代表を担う人材を擁している。実力は接近していて、好勝負も期待できる。全力を尽くし、熱い感情をコートに叩きつける高校生に感情移入する人もいるだろう。ただシンプルに、今の高校バスケを代表する「逸材」のプレーを楽しめる試合だ。

1年ながらエース

 福岡大附大濠は報徳学園(1回戦/84-41)、羽黒(2回戦/99-62)、開志国際(3回戦/77-75)、土浦日大(準々決勝/81-67)、鳥取城北(準決勝/69-66)を退けての勝ち上がりだ。

 福岡大附大濠は他の強豪校のような外国人留学生が伝統的にいない。それでも過去に4度のウインターカップ制覇を経験し、西田優大(シーホース三河)を筆頭に多くのBリーガーを輩出している。

 再注目選手は1年生の白谷柱誠ジャック。テレビなどのメディアでも過去に取り上げられていて、既にご存知の方も多いだろう。

 身長は中1から190センチに届き、四日市メリノール中時代から18歳以下の日本代表に「飛び級」で選出されるほどの評価を受けていた。身長の伸びは止まったが、とはいえ194センチ・98キロと大柄で、跳躍力やスピード、パワーを兼備する。技術的には外からのドライブ、3ポイントシュートが強み。リバウンドやブロックショットなどの「空中戦」も高校レベルでは十分だろう。

 2年生の本田蕗以は190センチ・88キロのシューティングガード(SG)で、やはりドライブとシュートが強み。彼も四日市メリノール中出身で、中3の冬には白谷らとともに全国制覇を経験している。この二人がチームのエース、得点源だ。

 ポイントガード(PG)の榎木璃旺(彼も四日市メリノール中出身)にチームの強みを尋ねると、このような答えが返ってきた。

「まず個の強さが大濠の強みかなと思っています。そこを生かすためにも、しっかりプレータイムの長さを先生たちが調整してくれるので、限られた時間でしっかりハードワークするところも大濠の一番の強みだと思います」

 榎木は後輩の活かし方をこう説明してくれた。

「早めの段階でボールを触らせといて、それでも無理な時間があるなら、最後は自分がメイクする感じでやっています。白谷も本田も強力なので、的が絞られにくいのは大きいところ。本当に今は伸び伸びとやってくれて、とても頼もしい」

福岡大附大濠の「本当の強み」とは?

片峯監督(左)と話込む榎木(右) 【(C)SoftBank ウインターカップ2025】

 福岡大附大濠の強みは、選手の持つ強みを損なわず伸ばし、試合で引き出す育成と用兵だ。ベンチがまず個を併存させ、お互いの「ベスト」を出せるように上手くコントロールしている。多くの選手を小刻みに起用することで、守備の強度も上がる。そんな選手の「育て方」に彼らの真価がある。

 もっとも選手、チームはどうしても調子の「波」がある。鳥取城北との準決勝では白谷、本田の3Pシュートが入らず、二人とも成功率が「10分の2」にとどまった。チームとしても第3クォーターは相手のゾーンディフェンスに対してボールの動きが停滞し、一時は逆転も許した。

 そこでチームを救ったのが3年生であり、ベンチからコートに出てくるセカンドユニットのメンバーだった。控えガードの櫻井照大はゾーンDFの「間」に立ってボールを捌き、停滞していた流れを変えた。3年生の吉岡陽は勝負どころで立て続けに3Pシュートを決め、チーム最多の20得点を挙げている。

 片峯颯太監督は振り返る。

「(吉岡は)シュートが不調だったんですけど、今朝のシューティングのときに『先生、ちょっと見てください』ということでした。大舞台になるとリングが広い空間にポツンとある感じなので、前後で合わせてしまうとどうしてもシュートが狂ってしまいます。少しだけ調整をしたのですが、それが入ってくれました」

 才能に恵まれているのは大前提だが、片峯監督にはそれを引き出す手腕と熱意がある。福岡大附大濠は天性を持つ選手に技術、判断力を植え付けてその先に送り出してきたからこそ、それを見て「次の才能」も集まる。

 才能以上に「別の選択肢」をスムーズに繰り出すベンチワークと、展開に適応できる選手のバスケIQこそが福岡大附大濠の真価かもしれない。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、バレーボール、五輪種目と幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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