言いたいことを言わなかったら、面白くない——日本ハム「若きビッグマウス」達孝太の哲学

加賀一輝

飛躍のシーズンを過ごした達(写真中央)。打者を支配するように、インタビューでも自分の言葉で想いを語ってくれた 【写真は共同】

 ソフトバンクが日本一に輝くなど、パ・リーグの強さが目立った2025年のプロ野球。迎える2026年はWBCイヤーだ。野球界が一丸となって、再び頂点を狙いにいく年になるだろう。

 そんな中、スポーツナビでは新年1月11日午後2時から読売テレビ・日本テレビ系で放送される『大和地所スペシャル 超プロ野球 ULTRA』の収録現場を取材。収録に参加する選手たちにインタビューを行った。

 本稿では日本ハム・達孝太へのインタビューをお届けする。

ビッグボスを見返す初完投

 天理高からドラフト1位でプロ入りして、4年目のシーズンを終えた。

 残った成績は16試合に先発、8勝2敗で防御率2.09。107回2/3を投げて、完封1度を含む3完投。いずれもキャリアハイを大きく更新する数字で、達はシンプルに「良かったんじゃないですか?」と答えた。

 194センチ101キロの大柄な体躯と落ち着いた口調——21歳の若者に思えないくらい落ち着き払っている印象だ。

 2025年シーズンのベストパフォーマンスに挙げたのは、プロ初完投。6月29日の西武戦(ベルーナD)、敵地で9回4安打1失点にまとめた。

「あの日は普通に調子良かったのはあります。夏場で結構暑い環境で投げていたので、BOSSが『完投させないよ』と言っていたんです。その中で自分が『絶対完投してやろう』と思ってできた完投なので、それも相まって嬉しかったですね」

 ご存知の通り、達の言う「BOSS」とは新庄剛志監督のこと。ビッグボスの判断を超越して、一人で投げ切った。投手冥利に尽きるマウンドだったことだろう。球数は自身最多の115球を数えていたが、投げるスタミナは「問題なかった」という。

 ちなみに、新庄監督はInstagramを使って選手とコミュニケーションを取るそうだが、達の場合は?

「距離感としてはうまくやってくれていると思います。他の選手よりはあまり連絡をもらわないタイプで、そっとしてくれているのかな」

自分自身が思っていることを言っているだけ

 シーズン全体で見ると、「デビューから全て先発登板での連勝記録」を7まで伸ばし、NPB新記録を樹立。オールスター初出場も果たし、全国の野球好きに名前を売るシーズンとなった。

「連勝記録については、言われて気づきました。狙ってできることではないので。結果的に積み重ねてそうなっただけだと思います」

 納得するボールを投げられた登板は「半分ぐらい」と振り返り、まだまだ自分の伸びしろを信じている様子だ。

 特に自信のある球種はフォークで、カウント球でも決め球でも使う。

「ゾーン内に投げることが多いですが、ボールゾーンにもしっかり投げるよう心がけています。握りですか? 投げたい場所で変えることはせずに、リリースの仕方で投げ分けています」

 ここで、達に関して最も聞いてみたいことを聞いてみた。いわゆる「ビッグマウス」についてである。

 牽制球を投げた時の相手ファンのブーイングに「ちょっと楽しくなって、もう1球投げちゃいました」と語ったり、ドジャースの連覇で幕を閉じたワールドシリーズには「本音を言えばブルージェイズに勝ってほしかった」とこぼしたり……。良い意味で空気を読まない言動が気になっていたが、本人の真意は?

「言いたいことを言わなかったら面白くなくないですか?」

 ここでもシンプルな回答だった。もう少し掘り下げてみると……。

「嘘ついているのは嫌だし、別に誰かを陥れるわけでもない。自分自身が思っていることを言っているだけですよ」

 あくまで「ビッグマウス」は自分軸の発信だ。自分に自信があるからできることかもしれないが、筋は通っている。

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著者プロフィール

1988年3月6日、愛知県生まれ。成蹊大学卒業後、一般企業を経て独立。ライティング、MCなど幅広く活動する。2016年〜23年まで『スポーツナビ』にて編集・編成を担当。在職中に五輪・パラリンピックへの派遣、『Number』『文春オンライン』等への寄稿を経験。趣味は草野球で、1週間で20イニング投げることも。

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