海外メディアも注目する日本女子ゴルフの強さとその背景 2026年は宮里藍以来の世界No.1に期待?

北村収

8月の全英女子(AIG女子)オープンで優勝した山下美夢有と、山下を祝福する竹田麗央、岩井明愛、岩井千怜、西郷真央、古江彩佳 【Photo by David Cannon/Getty Images】

 米国女子ツアーで日本人が優勝することが、最近は特別なニュースではなくなってきている。2025年は32試合のうち7試合で日本人選手が優勝。その中には4月に西郷真央が勝った「シェブロンチャンピオンシップ」と8月に山下美夢有が勝利した「全英女子(AIG女子)オープン」の2つのメジャーが含まれている。

4月にメジャーの「シェブロンチャンピオンシップ」で優勝した西郷真央 【Photo by Leslie Plaza Johnson/Icon Sportswire via Getty Images】

直近2年間のメジャー大会で、日本人選手の優勝数が最も多い

 注目すべきはメジャートーナメントにおける日本人選手の直近2年間の優勝回数だ。2024年と2025年に行われた女子メジャー全10試合の優勝者を国籍別に見ると、日本が4勝で最多。続くのはオーストラリアの2勝で、アメリカ、韓国、スウェーデン、ニュージーランドがそれぞれ1勝ずつとなっている。

 さらに2025年の米国女子ツアーポイントランキングトップ10には、山下美夢有(2位)、竹田麗央(4位)、畑岡奈紗(9位)と3人の日本人選手が名を連ねた。世界の女子ゴルフ界において、日本人選手は最強勢力として認識されるフェーズに入った。

3月の米国女子ツアー「ブルーベイLPGA」で優勝を果たした竹田麗央。2025年のポイントランクは4位 【Photo by Zhe Ji/Getty Images】

11月の米国女子ツアー「TOTOジャパンクラシック」で優勝を果たした畑岡奈紗。2025年のポイントランクは9位 【Photo by Lintao Zhang/Getty Images】

日本ツアー発のルーキー4人が全員優勝!

 昨年まで日本ツアーを主戦場としていた4人の選手が、今年の米国女子ツアーで大活躍した。メジャーの「全英(AIG)女子オープン」を含む2勝を挙げた山下美夢有はルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人賞)を受賞。この新人賞を決めるポイントランキングでは4位までに入った竹田麗央、岩井明愛、岩井千怜はそれぞれルーキーイヤーの今年、米国女子ツアーで勝利をあげた。

5月の米国女子ツアー「リビエラマヤオープン」で米国女子ツアー初優勝を果たした岩井千怜 【Photo by Christian Petersen/Getty Images】

 なお、2024年の日本女子ツアーのランキングでは、竹田麗央が1位、山下美夢有が2位、岩井明愛が3位、岩井千怜が5位に名を連ねた。つまり、昨年の日本女子ツアーで活躍した上位選手たちが、今年の米国女子ツアーでも着実に結果を残していることになる。“日本で活躍できても海外では厳しい”という評価はもはや過去のも。日本女子ツアーで活躍した選手たちは、世界でも十分に通用している。

8月の米国女子ツアー「ポートランドクラシック」で米国女子ツアー初優勝を果たした岩井明愛 【Photo by Orlando Ramirez/Getty Images】

4日試合の増大など日本女子ツアーが取り組んだツアー強化策

 日本女子ツアーで活躍した選手が米国女子ツアーでもすぐに活躍できるようになった理由の一つが、日本女子ツアーが取り組んできたツアー強化策だ。

 JLPGA(一般社団法人日本女子プロゴルフ協会)の公式サイトには近年JLPGAが行ってきたツアー強化策が書かれている。4日間大会の増加(2012年は5試合しかなかった4日間大会が2024年には18大会に)、トーナメント会場の練習施設の充実、コース設定の多様化、統計データの拡充、シーズン中のランキング再編制度、賞金ランキングから成績に基づくポイントランキングへの出場資格基準の変更などを行ってきた。

 その強化策の結果として、2012年の年間平均ストローク上位者は69台0人、70台3人、71台12人だったのに対して、2024年は69台3人、70台11人、71台38人と、年間平均スコアで72以下のアンダーパーを出す選手が大幅に増えた。そしてレベルアップした日本女子ツアーの上位選手は、前述した通り米国女子ツアーでもすぐに活躍できるようになった。

日本人選手の活躍が相乗効果を生んでいる

 今年の8月の全英女子(AIG女子)オープンで優勝した山下美夢有は、優勝会見で「今、日本人選手がみんな上位で戦っていますし、それが私にとってもいい刺激になっています。同級生の西郷選手が今年のメジャーで優勝してすごいなと思って刺激をもらいましたが、私も優勝ができてとても良かったです」と話した。

8月の全英女子(AIG女子)オープンで優勝した山下美夢有は、「日本人選手がみんな上位で戦っていることが、いい刺激になっている」と語った 【Photo by Warren Little/Getty Images】

 2022年4人、2023年6人、2024年9人、そして今年は13人と、米国女子ツアーを主戦場とする日本人選手は年々増えている。その中で日本人選手が結果を出すと、他の日本人選手も刺激を受けて結果を出すという好循環を海外で生み出し、米国女子ツアーでの日本人選手の活躍、そしてメジャーでの活躍につながっている。

宮里藍の活躍、渋野のメジャー優勝がこの流れをつくった

 海外メディアもこの日本人女子選手の活躍に注目している。米国ゴルフダイジェストは10月22日の記事で、米国ゴルフウィークは11月6日の記事で日本人女子選手の今の強さについて分析。両記事とも2019年、20歳にして「全英女子(AIG女子)オープン」で渋野日向子が優勝したことがジュニアゴルファーに刺激を与えているとの評価を紹介。事実、今年全英女子(AIG女子)オープンの優勝会見で優勝を果たした山下は、6年前に「渋野選手がメジャーで優勝された時はテレビで見ていました」と語っている。また、米国女子ツアーで9勝を挙げていて2010年には世界ランキング1位にもなった宮里藍も、今活躍している日本人選手に影響を与えていると分析している。

2026年は宮里藍以来の世界No1が出るか?新たな選手も参戦!

 今季シード権を確保した山下美夢有、竹田麗央、畑岡奈紗、西郷真央、岩井明愛、岩井千怜、勝みなみ、古江彩佳、馬場咲希、吉田優利に加えて、昨年の全米女子オープン優勝の資格で出場権を確保している笹生優花、今季米国下部のエプソンツアーのポイントランク5位に入った原英莉花、米国女子ツアー最終予選会で出場権をつかんだ櫻井心那、渋野日向子、西村優菜の15人が2026年は米国女子ツアーを主戦場とする。なお、原英莉花と櫻井心那はルーキーイヤーとなる。

 今や世界最強レベルとなった日本人女子選手。来年も海外から頻繁に嬉しいニュースが届いてくることになりそうだ。世界ランキングでも現在4位に山下美夢有、9位に西郷真央がつけており、2010年の宮里藍以来となる世界ランキングNo1の日本人選手誕生が、いよいよ現実味を帯びてくる一年になりそうだ。
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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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