則本昂大&鈴木誠也の西武指名はあった? 外れ1位でまさかの競合もクローザーを獲得
チームづくりに奔走
栄光と苦悩と激動の20年
選手、監督、フロントとしてライオンズに長く関わってきた渡辺久信氏がチームづくりを振り返る。
2004年に二軍の投手コーチとしてライオンズに復帰してから、GMを務めた2024年までを中心に振り返った書籍『獅子回顧録』(渡辺久信著)から一部抜粋して公開します。
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東浜巨を抽選で外し、増田達至を獲得
横浜DeNA、ソフトバンク、西武の順でクジを引き、横浜DeNAの担当は中畑清監督。いきなり、抽選箱の中をぐちゃぐちゃに混ぜて、「もうやめてくれよ」と……。運が逃げてしまう。結果的には、2人目の王さんが引き当てたため、当たりクジは残っていなかった。
外れ1位で指名したのが、NTT西日本の速球派・増田達至。東浜を外した私は完全に気落ちしていたが、同席していたスカウト陣から、「監督、次は重複しないから大丈夫です」と心強い言葉をもらった。ところが、蓋を開けてみたら、東福岡高の左腕・森雄大(元楽天)を外した広島が増田を指名してきた。予想外の展開に、テーブルにいたスカウト陣全員がひっくり返っていた。
「勘弁してよ」と思いながら、抽選の壇上に。広島は野村謙二郎監督が出てきたが、「謙二郎なら大丈夫かな」と何となく思えた。クジが弱いのを知っていたからだ。それに、西武の伝統として偶数球団の競合の場合は当たる確率が高い。直近で見ても、菊池、大石ともに6球団だった。その願い通りに、無事に増田を引き当てることができた。
増田は1年目に先発で2試合投げているが、球種が少ないため、抑えで育てていくことになった。増田の特徴は、ストレートがマッスラすること。あの独特の軌道を武器に、長きに渡ってクローザーを務めることになる。
ドラフト2位は、指名後にいろいろとあった千葉国際高の長身右腕・相内誠。うちのスカウト陣は潜在能力を高く買っていて、2位にふさわしいピッチャーという評価だった。185センチの長身でヒジを柔らかく使えて、バネもある。代々、西武が好んで指名してきたタイプである。野球だけに集中できていれば、大化けした可能性は十分にあった。
3位が立命館大の金子侑司。足は一級品。大学時代はショートをやっていたが、内野守備の評価は厳しく、足を生かすために外野で育てることを考えながらの指名となった。1年目から足を武器に躍動したが、内野としてはやはり難しいものがあった。たしか、開幕戦はライトのスタメンで起用している。2017年には内野手から外野手登録に変更され、広い守備範囲で投手陣をたびたび助けてくれた。
4位は西濃運輸の左腕・髙橋朋己。ドラフト指名時には左肩を痛めていて、すぐには投げられないことがわかっていた。スカウト陣の評価は賛否分かれたが、「左肩が治れば戦力になる。ストレートが武器になる」という声が上回った。プロ入り後に左肩の状態が良くなり、2年目には29セーブ、3年目に22セーブを挙げた。その後、左肘のトミー・ジョン手術を受けるなど怪我に苦しみ、2018年に現役を引退。一軍に貢献したのは3年ほどだったが、あの強烈なストレートは今も脳裏に焼き付いている。
現在の朋己は、ライオンズアカデミーのほうで仕事をしている。人懐っこい、愛されキャラで、人と接する仕事に向いているように思う。