胸に刺さった「伸びしろがある」という言葉 小笠原慎之介は菊池雄星から何を学んだのか?
花巻市のトレーニング施設「K.O.H」へ
「ああいう人に、“伸びしろがある”とか言われると、頑張りたくなりますね」
12日のトレーニング終了後、菊池雄星(エンゼルス)からそう掛けられた言葉が、胸に刺さった。
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そこで3日間、1日平均5時間、ほぼ休むことなくトレーニングに励んだ小笠原は帰るとき、ちょっとした荷物を持ち上げるだけでも声をあげ、「右肘を伸ばすとき、強い張りを感じる」と苦笑い。
「でも、これがいいんですよね。来年はせめて2週間ぐらいは、お邪魔しようかな」と続けた。
トレーニングでは、菊池についていくのが精一杯。文字通り、歯を食いしばった。
「いや、ついていけてないっす。すごいトレーニングをされている、ということは伺っていましたが、本当にハードでした」
先にメニューを終えた菊池が、「大丈夫かな?」という表情で見守るのが常だったが、その都度、ちょっとしたコツを伝え、小笠原にとって初めてのメニューのときは、やり方を実践した。
その菊池はこれまで、小笠原にとって目指すべき道を、岐路に立つたびに示してくれる――そんな存在でもあった。
「菊池さんが甲子園で投げているときのことも覚えていますし、プロに入ってからも、ずっと憧れていて」
菊池に、「メジャーをかなえた 雄星ノート」という著書がある。
「もちろん、読みました」と小笠原。「それから、その日感じたことなどを、日記に書くようになりました」
菊池が体に微弱の電波を流し、疲労回復を図っていることを知ると、その機器も取り寄せた。今回も持参し、寝る前に利用して翌日の練習に備えた。
一度だけ投げ合ったことがある。2017年6月16日のことだ。
「少し前から、お互いが予定通りなら、同じ日に先発するとわかった」と、小笠原は当時を振り返る。ただ、森繁和監督、デニー・友利投手コーチからは何も言われない。
「デニーさんに『投げさせてください』と伝えたら、最初は『投げさせない』と言われたんですよ」
相手が菊池という時点で、中日としては負けを覚悟。他の試合であれば勝ちを計算できる小笠原をそこで起用するのは、もったいない――というロジックが働いた。
しかし、友利投手コーチが森監督に掛け合ってくれた。
「そしたらOKが出て。森監督、そういうのが好きなんですよ」
そんな森監督のことも、小笠原は尊敬している。
「森さんとキャッチボールしたことがあるんですよ。おそらく、僕が最後の世代だと思うんですけど、そのとき、『スライダーはこう投げるんだ』って教えてくれて。そのグリップは、今も変えていません」