現地記者の日本人選手ラ・リーガ奮戦記(月2回更新)

ついに監督解任に踏み切ったソシエダ 批判を浴びる久保建英は輝きを取り戻せるか?

山本美智子

16節のジローナ戦でも決定機を逃すなどいいところがなかった久保。チームは3連敗を喫し、直後にフランシスコ監督が解任された 【Photo by Juan Manuel Serrano Arce/Getty Images】

 スペイン在住がすでに25年以上に及ぶ日本人ライターによる、月2回の連載コラム。レアル・ソシエダの久保建英と、マジョルカで2年目を迎えた浅野拓磨の動向を中心に、文化的・歴史的な背景も踏まえながら“ラ・リーガの今”をお届けする。2025-26シーズン第9回のテーマは、ソシエダの監督交代劇。ラ・リーガで3連敗を喫し、クラブは今季就任したばかりのセルヒオ・フランシスコ監督の解任に踏み切ったが、この決断が悩めるチームと久保の未来にどんな影響を与えるのだろうか。

アペリバイ会長の鶴の一声で解任が決定

 ラ・リーガ第8節終了後にオビエドがヴェリコ・パウノヴィッチ監督を、第14節終了後にレバンテがフリアン・カレロ監督を解任したのに続き、レアル・ソシエダのセルヒオ・フランシスコ監督が、3連敗を喫した第16節のジローナ戦(1-2)終了後に解任された。

 スペインには「新しい監督、勝利の保証」という言い回しがある。確かにそれまでの悪い流れを断ち切り、ネガティブな空気を一掃する効力はあるかもしれないが、しかし往々にしてその決断がマイナスの方向に働くケースもある。

 この言い回しに根拠がないことは、10月に最初の監督交代を行ったオビエドが、2カ月後の現在も19位に沈み、第16節終了後に今季2人目の監督であるルイス・カリオンを更迭した事実からも明らかだろう。

 現時点で15位と成績不振に苦しむソシエダだが、当初はクリスマス休暇を迎えるまで、我慢してフランシスコに指揮を任せる考えもあった。

 しかし、第14節からの3連敗を受け、ホキン・アペリバイ会長の鶴の一声でフランシスコの解任が決定。サンセ(レアル・ソシエダB)の監督を務めていた43歳のジョン・アンソテギに年内の残り2試合、スペイン国王杯のエルデンセ戦(12月16日/現地時間、以下同)とラ・リーガ17節のレバンテ戦(12月20日)の采配を任せることが決まっている。

監督経験はソシエダBでの18週間のみ

現役時代はソシエダのセンターバックとして活躍し、メッシとも対戦したアンソテギが暫定監督に就任した。監督経験の少なさが気になるが 【Photo by David Ramos/Getty Images】

 生粋のバスク人で、現役時代はセンターバックとしてBチーム時代から長きにわたってソシエダでプレーしたアンソテギ。2016年の冬に一度はソシエダを去ったが、翌年には現役を引退し、18年からはソシエダBのコーチングスタッフに加わっていた。

「Hombre de Casa」、つまりソシエダをホームとする「内側の人間」でクラブの内情を知り尽くしているアンソテギダだが、これまではコーチ業ばかりで、監督を務めた経験は今季から率いていたソシエダBでのわずか18週間(25年7月~12月)しかない。

 現状では2試合限定の暫定監督とはいえ、アンソテギの起用に関してはソシエダのサポーターからも、「2試合を終えたらサンセに戻るつもり? だとしたらあまりにも場当たり的」「(3部の)エルデンセが相手ならオレが監督でも勝てる」といった否定的な声が聞こえてくる。

 アンソテギ就任後の最初の練習を見るかぎり、選手たちの表情には笑顔こそないものの、セットプレーの確認などを熱心にこなしており、少なくとも士気が落ちている様子はない。

 もちろん今回のフランシスコ解任は、監督自身の創造性の欠如に加え、ソシエダらしいプレースタイルを確立できなかったこと、一部の試合での采配ミスなども重なり、選手からの信頼を得られなかったことが最大の理由だ。しかし、実際にピッチに立っている選手たちが、そのパフォーマンスによって勝利を呼び込めなかったのもまた事実。それは誰もが痛感しているに違いない。

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著者プロフィール

スペイン在住は四半世紀超え。1998年から通信員として情報発信を始め、スペインサッカーに関する取材、執筆、翻訳の仕事に従事してきた。2002年と06年のW杯、04年と08年のEUROなど国際大会も現地で取材。12年からFCバルセロナの公式サイト、ソーシャルメディアを担当する

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