井上尚弥vs.ピカソ、チャート戦力比較 頭脳派との一戦に期するは「痛快KO」のみ

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ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥は、サウジアラビア・リヤドでアラン・ピカソとの一戦に臨む 【スポーツナビ】

 ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)は12月27日、サウジアラビアのリヤドでWBC同級2位のアラン・デビッド・ピカソ(メキシコ)と対戦する。

 9月14日に名古屋・IGアリーナで行われたムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)との一戦は、3-0の判定勝ち。「史上最強の挑戦者」とも謳われた“MJ”ことアフマダリエフを、アウトボクシングで圧倒する完勝劇で、男子歴代最多記録を更新する5度目の4団体統一王座の防衛を果たした。“いつものKO劇”ではなかったものの、異なるスタイルで相手を完封するその姿は、モンスターの引き出しの多さと末恐ろしさを世界に知らしめるのに十分だった。


 そして、2025年4度目の世界タイトル防衛戦の相手となるのは、一度“対戦回避”をしたとも言われるピカソ。33戦無敗のトップランカーとはいえ、井上との力の差は段違い。チャンピオンの圧倒的なKO防衛が濃厚とも予想される一戦をどう観るべきなのかーー次なる“予感”に従えとでも言っておこう。井上には2026年5月実現とも言われる中谷潤人(M.T)との究極の対決が待っている。まずはこの“リヤドでの前哨戦”で、より心を昂ぶらせたい。

年間4試合というハイペースも、何も問題はない

ピカソ戦に向けて順調な仕上がりを見せる井上(右)。年間4試合のハイペースを懸念する声もあるが、自らの拳で黙らせることはできるのか 【写真は共同】

 海外の一部メディアから、井上の試合過多によるダメージを心配する声が上がっているという。今回のピカソとの対戦で、2025年は4戦目になる。たしかに多い。井上は2016年、2017年には年3度の世界戦をこなしているが、4戦目となると自身の最多記録にもなる。

 大昔なら、世界チャンピオンとて、ノンタイトル戦を含めて年間10試合ペースで戦っていたのだが、現代のボクシングとはイベント作りのシステム、ファイトマネー、健康管理の発想など、何もかもが大きく違う。世界のトップボクサー、ことさらにパウンドフォーパウンド(PFP)・ランキング(ヘビー級からミニマム級の全階級を通して最強を決めるランキング)のトップクラスにランクされるくらいになれば、年平均1試合から2試合くらいかもしれない。井上の年4試合はダントツの数になる。

 ただし、それゆえにダメージをため込んでいると結論づけるのは、どうかと思う。1月のキム・イェジュン(韓国=金芸俊)戦ではいくつかの被弾もあった。5月に4年ぶりにラスベガスに出向いて戦ったラモン・カルデナス(米国)戦ではダウンも喫しているので、そうした意見も出るのだろうか。

 急きょ、代役を務めたキム戦は、力の差がありすぎる相手にKOパンチを打ち込む最高のタイミングを計るような戦い方で、あえて対戦者のグローブを触れさせた印象があった。対カルデナスとの2R、左フックを浴びて倒れたのは、決してはずみによるフラッシュノックダウンとは言えまい。しかし、その後の精力的であり、正確なタッチで攻防を描き分けた戦いっぷりを見る限り、大きな損傷を受けたとは思えない。

 さらに、この2戦の内容を踏まえて戦ったアフマダリエフ戦では、井上は「同じ轍(てつ)は踏まぬ」とばかりに見事なアウトボクシングで、サウスポーのタフガイを鮮やかに完封してみせた。

 単に試合の数だけから井上の戦力に懸念を表明する向きには、ここでひとこと言っておきたい。「心配ご無用」と。
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