九州の無名大に潜む将来のバスケ日本代表 韓流コーチのユニークなスタイル、指導で開く未来
ただ現時点で大学バスケのトッププロスペクト(最注目選手)を何人か挙げるなら、東海大学九州キャンパスの大舘秀太は間違いなく入ってくる。彼は現在2年生で、今回のドラフトにはエントリーしていない。同チームは林翔太郎(ベルテックス静岡)、長野誠史(シーホース三河)といったBリーガーを過去に輩出している。もっとも関東、関西に比べて九州の大学は日の当たらぬ環境で、東海大九州も決して「有名校」ではない。
大舘は2025年6月の西日本学生選手権で東海大九州の優勝に大きく貢献している、天理大との決勝戦(67◯64)は3ポイントシュートを11本中9本成功させ、46得点を挙げた。若手有望選手が参加する25年2月の「男子日本代表チーム ディベロップメントキャンプ」や、日本学生選抜にも参加している。200センチ・92キロのサイズと高いスキル、シュート力を持つオフェンシブな選手だ。
「日本にはいない」タイプの逸材
同志社大戦の大舘は3ポイントシュートを「11分の5」としっかり決め、合計41得点を挙げた。当然ながら3ポイントシュートは相手も警戒して消してくるが、そんな中で次の手を打てるのも彼の強みだ。同志社大戦はゴール下へのカッティング、ドライブを増やしてスコアにつなげた。相手はファウルで止めざるを得ず、大舘は1試合で16本のフリースローを獲得して10本決めた。
元炳善(ウォン・ビョンソン)監督に「大舘は日本代表入りも目指せる選手だと思うけど」と尋ねると、「それはもちろん」という表情でこう語り始めた。
「5番(センター)じゃなくて、オールラウンドでできるようにしたい。走れて、スリーを打って、キャッチ&シュートがちゃんとできて、ミスマッチになったときはドライブができる選手です。日本代表には絶対必要な逸材だと思います」
元監督は2012年の「FIBA ASIA U-18男子バスケットボール選手権大会」に、日本代表のアシスタントコーチとして参加している。そこで渡邊雄太、馬場雄大といった後の日本代表を間近に見た。
「(大舘は)彼らよりシュートタッチがすごくいい。それは生かしつつ、身体もちょっと強くなりました。あと彼のいいところは視野で、ものすごくビジョンが広いですね」
大舘の最終到達点はどういうスタイル、どういうレベルなのだろう? 日本人選手の名前を我々が一人、二人挙げて元監督に尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「今の日本には多分いません。僕がイメージしているのは長崎のイ・ヒョンジュン選手です」
イ・ヒョンジュンは今季から長崎ヴェルカに加入した韓国代表選手。201センチのウイングプレイヤーで、11月29日のワールドカップ一次予選では中国代表から33得点を挙げている。ポジションと体格、スタイルは確かによく似ている。
強豪の徹底マークに苦しむ
田中は194センチ・94キロで手足の長さとパワー、機動力を兼ね備えた「3&D」(3ポイントシュートと守備を強みとする)系のフォワード。ドラフトにもエントリーしている今大会の注目選手だ。
田中は試合後にこう説明していた。
「自分の役割は、大舘選手を止めることでした。最初からずっとフェイスガードでやりました。大舘選手にストレスを与えて、自分たちのブレイク(速攻)も出せました」
田中は『ヒットファースト』で大舘に圧をかけた。
「身体を当てて削っていこうかなと思いました。あとボールをもらったときも前を向かせないようにして、シュートを消すことはずっと意識して守っていました」
第1クォーターのスコアは9-26で、東海大九州は完全にオフェンスを壊されてしまった。それがそのまま最終スコア(69●83)に反映されたと言っていい。大舘は試合を通して3ポイントシュートを7本放ったが、すべて失敗だった。
それでも大舘はドライブ、フリースローなどから25得点を奪っている。相手が詰めてきたら、その「逆」を突く動きができる。そういうプレーは生きていた。
田中はこう分析する。
「セパレーションを作るのが上手な選手だと思うので、そこについていくのが今日はキツかったです。そこでスイッチしたら、もうすべてフィニッシュされたイメージがありました」
大舘は試合後にこう語っていた。
「(相手のDFが)フェイスガードで来たとき、自分が逆にスクリーンを掛ける側になったり、そういう判断が抜けていたのかなと思います。昨日の試合だったら簡単にもらえたけど、1回バンプ(=進路と逆に押し込むコンタクト)を入れられたりして、自分の好きなようにさせてもらえなかった。そこは関東のチームのすごさで、徹底されているなと感じました」