りくりゅう「原点の地」で示した成熟と覚悟 五輪金へ求められることは?

スポーツナビ

りくりゅうは「原点の地」名古屋で“勝つための滑り”を見せた 【写真は共同】

印象的だった“自然体”の強さ

 2019年の結成から三浦璃来/木原龍一の“りくりゅう”は、日本フィギュアスケート界が切望してきたペア競技の躍進を、現実のものにしてきた。12月4日から開催されたグランプリ(GP)ファイナルで2度目の優勝を果たし、世界選手権でも金・銀メダルを2度ずつ獲得している、その実績は「日本人には難しい」とされてきたペア競技の過去の常識を覆し、世界の強豪と対等以上に渡り合う新時代を切り拓いてきた。

 GPファイナルが開催された名古屋はペア結成の「原点の地」。三浦は「名古屋で滑らせていただくことは幸せでした」と穏やかに語り、木原は「たくさんの観客の皆様が応援してくださって素晴らしい思い出になった」と続けた。

 印象的だったのは、 “自然体”な様子だ。久々の日本開催で緊張感はあったとしながらも、「落ち着いて臨めていた」「ガチガチになる緊張感はなかった」と語る姿には、世界の頂点を争うペアとしての成熟が感じられた。

 ショートでは細かいミスもあったが、レベルを確実に取り、ショート2位に終わったスケートアメリカの反省を修正していた。ミスに振り回されるのではなく、 “勝つための演技”を淡々と実行できる強さ。それこそが、北京五輪から大きく成長した現在のりくりゅうだ。

積み重ねが生む互いへの信頼感

 りくりゅうの強さは、ジャンプやリフトといった派手な要素のみだと説明できない。2人が口を揃えて語るのは「スピン」の重要性だ。ショート後のミックスゾーンで木原は「最近、スピンの出口が合わない」と語り、そこに三浦も深く頷く。2人は原因を見つけるための確認を重ね、「目が回るくらい」スピン練習に費やしてきたと笑う。

 軽口を交わしながらも、その裏には「ひとつの要素でも粗さを残さない」という厳しい姿勢がある。

 ペア競技において、スピンは全体構成のリズムを司る重要な要素だ。スピンは演技のテンポ、2人の同調度、リンク全体をどう使うか──といったすべてに影響するからだ。木原が「スピンは嘘をつかない。努力しかない」と語るのは、その本質を理解しているからこそだ。

 こうした地道な積み重ねが、りくりゅうの安定感を形成している。実際、ここ数年の演技はシーズンが進むごとに精度が増し、特に国際主要大会ではミスを引きずらずに修正する能力が見て取れる。そこは世界のトップペアと比較しても強みで、日本のペア競技の歴史では突出した領域にある。

 リンク外での2人の掛け合いは、飾らずユーモラスで、お互いのキャラクターを生かした漫才のようでもある。リンクに立つと空気こそ引き締まるが、役割の理解とお互いの信頼関係はなお際立つ。

1/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント