トリプルアクセルだけではない ファイナル銀・中井亜美を輝かせるスケートIQ

沢田聡子

シニア1年目にして、有力な五輪代表候補となった中井 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

何度もメダルを逃したジュニア時代

 2026年ミラノ・コルティナ五輪シーズンにシニアデビューした17歳の中井亜美は、初出場のグランプリ(GP)ファイナル(12月4~6日、名古屋)で銀メダルを獲得した。メダリスト会見の最後に、1年前はジュニアのGPファイナルで銅メダリストになった中井に対し、今回シニアのファイナルで表彰台に乗ったことはどのような意味があるのかという質問があった。中井は「ジュニアの頃に、一度表彰台に乗ったことはあるんですけど」と答え、言葉を継いだ。

「やっぱりその時も何度も表彰台を逃してきて、その経験があったからこそ……こうやってシニア1年目になって緊張感のある中でメダルをとれたということは、今までのジュニアの経験があったからかなと思っています」

 新潟生まれの中井は、バンクーバー五輪銀メダリストの浅田真央さんに憧れ、5歳からフィギュアスケートを始めた。ジュニアデビューした2021-22シーズンを前に故郷の新潟を離れ、千葉県船橋市に拠点を移した。MFアカデミーに移籍し、中庭健介コーチの下で練習を積んでいる。

 シニア1年目である今シーズンに遂げた大躍進により、ミラノ五輪代表候補、またシンデレラガールとして注目されるようになった中井だが、ジュニア時代には苦しい時期も経験してきた。2022年から3年連続でジュニアGPファイナルに進出しているが、22年4位、23年5位と、表彰台に近づきながらも届かなかった。24年の銅メダルは、3回目のジュニアGPファイナル出場でようやく手にしたものだった。

 2018年全日本ノービス選手権(Bクラス)優勝の実績を持つ中井は、21年に転向したジュニアでも順調に歩み、23年3月の世界ジュニア選手権で銅メダルを獲得している。だが同年10月に腰痛を発症、その影響で24年世界ジュニア選手権出場を逃した。24年12月に獲得したジュニアGPファイナルの銅メダルは、怪我を乗り越えてようやくつかんだものでもあったのだ。

 浅田さんが得意だったトリプルアクセルを、中井も武器としてきた。今大会のショートでは着氷でミスが出たが、その他のジャンプをしっかり決めて73.91というスコアを得て3位発進。ショート後の会見で、中井はトリプルアクセルについて語った。

「トリプルアクセルは少し着氷が乱れてしまったんですけど、転倒なくこのように終われたのは、すごくよかった。明日のフリーでは、しっかりトリプルアクセルを着氷できるように頑張りたいと思います」

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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