“4回転の神”マリニンが見せた異次元フリー 佐藤駿も脱帽「彼は別だと思って」
一年前に試した高難度構成を完遂したマリニン
4日に行われたショートプログラムでは4回転アクセル―3回転トウループという前人未踏の大技に挑んだマリニンだが、セカンドジャンプはつけられず、4回転アクセルは4分の1回転不足と判定された。3位発進となったショート後の記者会見で「やっぱり難しいコンビネーションだなということを痛感しました」としつつ、フリーについては「自分は冷静にきちんとやればできると思っています」と自信をのぞかせていた。
そして6日のフリー、マリニンは、4回転6種類7本という驚異的な高難度構成のプログラムを完璧に滑り切った。『A Voice』(シェイ=リーン・ボーン氏振付)と名づけられたフリーは、3つの楽曲とマリニン自身のナレーションで構成されており、人生の物語を表しているという。
冒頭の鋭い4回転フリップから神演技の予感が漂い始め、続く4回転アクセルには4.46という加点がつく。ルッツ、ループと次々と4回転を決めていき、最後のサルコウにはトリプルアクセルをつけて成功させた。終盤のコレオシークエンスでバックフリップを見せると、会場のボルテージは最高潮に達する。ガッツポーズをしながら最後のスピンに入っていったマリニンが氷を踏みしめるように演技を終えると、立ち上がった観客が地鳴りのような歓声で称えた。広大なIGアリーナをマリニンの細い身体から発する気迫が埋め尽くすような、凄まじい4分間だった。
238.24というフリーの世界最高得点をたたき出し、合計点332.29で優勝したマリニンは、メダリスト会見で「本当にほっとしています」と語った。
「これまでで最高のスケートの一つでした。氷上で全力を出し切り、一つひとつの要素に全力を尽くしました。日本の観客の前であの演技ができたことを本当に嬉しく思います。彼らがいなければ、不可能だったと思います」
4回転ジャンプ7つという構成の決断について問われると「安全策を講じるために最初は控えめにしようと考えていましたが、GPファイナルに来た理由を思い出しました」と答えた。
「新しいエレメンツ、新しいレイアウト、いろいろと新しいことを試していくことが、とりわけ今年は五輪シーズンですので重要だと考えています。だから全力を出し切って、どんな形になるのか、基礎を固めようと決めました。結果に関しては、満足しています。プレッシャーのもとでこれだけのことができた、自分がある程度わかってきたという手応えを得たので、あとはそれを受けてさらに伸ばしていく、何かを付け加えていくことなのかなと思っています」
マリニンは一年前、2024年GPファイナルのフリーでも4回転6種類7本の構成に挑んでいる。すべての4回転に回転不足がつく結果になった一年前のファイナルを、マリニンは振り返った。
「特に昨年のGPファイナルでは、自分のパフォーマンスがどうなるかよくわかっていなかったことを考えると、今年の自分のパフォーマンスには間違いなく誇りを感じています。今年は準備も万端で、自分に自信が持てるようになった」