バドミントン日本代表が選考基準を大刷新――U24新設の背景と狙い

平野貴也

2026年の日本代表選手選考基準について説明した、日本バドミントン協会の池田信太郎・強化戦略本部長 【平野貴也】

 世界で戦う日本代表が、変革期を迎えている。日本バドミントン協会の池田信太郎強化戦略本部長(以下、池田本部長)が12月2日、2026年の日本代表選手選考基準(11月21日発表)について、報道陣に説明を行った。最も大きな変更は、U24ナショナルチームの新設だ。2024年までは、A代表、B代表に分けて選手を選出していたが、25年に統一。今回は再びカテゴリーを分けるが、年齢制限を設けた。21年実施の東京五輪以降、世代交代が進んでいない現状を鑑みての施策だ。

 また、これまで、日本代表に自動的に内定する条件は、全日本総合選手権の成績のみだったが、国際大会の成績を追加。これにより、8月に世界選手権を優勝した女子シングルスの山口茜(再春館製薬所)が「五輪または世界選手権における成績に基づく選出」項目該当により、来季の代表に内定していることが明確となった。

 2028年ロサンゼルス五輪に向けて強化を進める中、日本代表選考基準を見直した背景や新たな仕組みの狙い、新制度採用による展望について、紹介する(選考基準は、日本バドミントン協会の公式サイトで確認することが可能。10代の選手を対象としたジュニアナショナルチームもU19、U16、U13の3カテゴリー編成から、U19、U17、U15、U13の4カテゴリーに編成になる変更が行われているが、今回はシニア代表に話を絞る)。

U24新設、改革の標的は32年ブリスベン五輪

女子シングルスの宮崎友花は、2006年生まれの19歳。U24対象年齢だが、すでに世界ランク9位(25年12月9日更新時)のため、ナショナルチームでの選出対象になる可能性が高い 【平野貴也】

 まず、新設するU24ナショナルチームは、21年東京五輪以降、世代交代が進んでいない現状の課題解決が目的だ。池田本部長は「現状の課題感で言うと、年齢が高齢化しているところ。我々の処方箋としては、アンダー24、ジュニアのカテゴリーの区分を分けたこと。(2032年五輪)ブリスベン大会に向けての強化は、積極的に投資をしなくてはいけないと強く認識している」と次世代強化に強い使命感を表明。日本代表の海外派遣についても「全体の大会数で答えれば、今年より(派遣)大会数が増えるのではないかと思う。ただ、U24に対しての積極投資をやらなくてはいけない背景もあるので、ナショナルチームが比較的に上がるというよりは、ジュニア、U24の変更点に関しての大会数を少し増加したい」と話し、次世代への投資の重要性を強調した。

 U24は、ペアは両者とも対象年齢であることが条件。また「ナショナルチーム」がBWFワールドツアースーパー500以上を出場対象として合宿や派遣を行うのに対して「U24ナショナルチーム」は、下位カテゴリーの大会を対象として年間予定を組むため、上位大会を舞台とする選手は、24歳以下でも「ナショナルチーム」選出を優先することも確認された。

 池田本部長は、年齢制限について、25歳にする案もあった中、24歳に設定した理由について、過去20年間の日本ランキングの推移や、強豪国である中国の代表選手の世界ランキングの推移をデータで分析したことを明かし「中国などの強豪国は、15~16歳あたりから世界ランクが緩やかに上がる傾向が見られる。日本は、17歳、18歳で、高校3年生や社会人1年目から鋭角に数字(ランク)が伸びていて、短期間で推移が乱高下している。もう少し期間を長くして(着実に)経験を積んで緩やかに上げていきたい。それが24歳までが適切というのが仮説として一つある。もう一つ、24歳以上で世界で戦える年数は3年か4年。28歳でほぼピークを迎える。24歳までにナショナルチームに入ってもらわないと。逆算して強化する」と説明を加えた。

新設のU24ナショナルチーム、活動内容の詳細が選手の選択左右か

 U24新設の恩恵を受けるのは、まだ経験の浅い若手だ。日本協会による合宿や海外遠征で、強化環境に身を置くことができる。ナショナルチームとの合同合宿なども計画されており、池田本部長は、コート外での取り組みについても、過去の五輪選手などの経験を伝えていくなど、日本代表チームとして蓄積してきたノウハウを生かしたい意向を示した。ただ、現状では、予算編成が終わっておらず、U24ナショナルチームがどのレベルの大会に何度遠征するかが明確ではない。

 日本代表(U24、ジュニア含む)は、代表行事期間中の国際大会自費参加を認められない。U24の活動が合宿中心で遠征回数が少ない場合などは、所属する実業団チームで活動した方が、より多くの国際大会を経験でき、世界ランクを早く上げられる可能性がある。そのため、U24ナショナルチームに参加しない選手が出てくるケースも考えられる。U24のより詳細な活動内容と、対象選手の選択は、今後の注目点となる。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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