8年ぶりの五輪出場を狙う男子カーリング オールラウンダーが言い切る「とにかく初戦」の相手はアメリカ

竹田聡一郎

日本代表のSC軽井沢クラブ。左から栁澤、山口、山本、小泉、臼井 【(C)JCA/H.IDE】

 カナダ・ケロウナで12月5日(現地時間)より、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック最終予選が開幕した。

 男女ともに出場国は8。イタリア行きの残り2枠を争う。

 男子のラウンドロビン(総当たりの予選)は対戦順にアメリカ、オランダ、ポーランド、韓国、フィリピン、ニュージーランド、中国との戦いが続く。上位3チームが代表決定戦に進出し、まずは1位と2位の対戦で勝者は五輪へ。敗者が3位と最後の1席を奪い合う。

 日本代表のSC軽井沢クラブは世界ツアーのランキングで、アメリカ(8位)、中国(15位)に次いで出場国中3番目(16位)のポジションにいる。自軍より下位のオランダ(24位)や韓国(43位)といったチームにしっかりと競り勝ち、ポーランド、フィリピン、オーストラリアから星を取りこぼさず、その上で中国とアメリカを上回り、2位以内を確保して代表決定戦のチャンスを2試合にしたい。

「5人目の日本代表」が分析する男子最終予選

 もちろん簡単なことではないが、勝算は十分に立つ。そう分析してくれたのはフィフスの臼井槙吾だ。

 臼井は高いコミュニケーション能力と柔軟なショットが持ち味のオールラウンダーだ。所属はKiT CURLING CLUBだが4人で活動していたSC軽井沢クラブ側の強い要望で、2023年の世界選手権(カナダ・オタワ)、その秋に今回と同じケロウナの会場で行われたパンコンチネンタル選手権(PCCC)、さらに今年4月の世界選手権(カナダ・ムースジョー)に5人目の日本代表として帯同し10試合以上、出場している。

 その臼井は「試合の入りに課題があったチームですけれど、それがかなり改善された。PCCCではLSDでしっかり後攻を取って主導権を握り落ち着いたゲームができていました」と語る。

 SC軽井沢クラブは日本代表として出場した前述の世界選手権などで強国に対して序盤にビハインドを負い、追いかける展開でリスクをはらんだショットを強いられる。負け試合はそんなパターンのまま進行してしまった。

 それを打開するため、この1年は個人のショットにフォーカスしたという。

 例えば氷上練習でリードの小泉聡はリリースとウェイトのバランスを自身の体内で調整することに注力した。フォースを務める栁澤李空はトップウェイトを中心に早いテイクアウト、特にランバックを投げ込んだ。セカンドの山本遵もサードの山口剛史も同様にそれぞれが掲げる個人の課題に取り組み、それをチームショットとして改めて合わせる。あるいは実践形式の練習で試す。

 そんなトレーニングを繰り返した結果、チーム力、特にタイトなスコアのゲームで強さが増した。9月にコンサドーレと争った日本代表決定戦を制し、秋のカナダ遠征では3年ぶりの優勝も手繰り寄せた。チームは上向きだ。

開催地は代表コーチの地元

 ケロウナには最終予選開幕より10日ほど前に入り、準備を重ねた。男子のナショナルコーチであるボブ・アーセルの地元でもあり、地の利も十分だ。

 さらに今回は女子代表としてフォルティウスも最終予選に参加する。出場8カ国のうち男女ともに参加するのは日本とアメリカのみ。世界との競争という意味では決して褒められることではないが、ミックスダブルス(日本代表は小穴桃里と青木豪ペア)も含めると男女とダブルスの最終予選にすべて出場するのは日本だけだ。アイスの状態、石のクセなど情報戦という意味ではアドバンテージがあり、活かさなければいけない。

「とにかくまずは初戦です」と臼井。初戦は最大のライバルとなるであろうアメリカだ。

「負けるにしても何かしらの収穫は得ないといけない。収穫を持ったまましっかり立て直して戦える力はあると思っています」(臼井)

 男子は2018年の平昌大会以来、8年ぶりの五輪がかかる大舞台だ。そして、女子フォルティウス、ミックスダブルスの小穴青木と共に史上初の3チーム同時に五輪出場へ--。日本カーリング界が掲げる大願成就への第一歩、アメリカ戦は日本時間7日の午前2時に開始予定だ。
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著者プロフィール

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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