吉田知那美が読み解くカーリング五輪最終予選 残る切符は2枚、フォルティウスの勝機は
最大の強敵アメリカと初戦にぶつかることのメリット
スキップの、タビサ・ピーターソンはドローショットが得意。ピンチはドローで防ぎ、チャンスはドローで作る。彼女のドローで試合を動かします。チームの戦い方として特徴的なのが、センター付近に石を貯めて戦うプレースタイルですね。あと、スチール成功率はそれほど高くはないものの、自分たちが先行のときに、相手を1点に抑える割合がすごく高い。無理してスチールを狙いにいかず、自分たちが不利な先行のときには相手を1点に抑え、有利な後攻のときに2点を取りにいくスタイルを取っています。
――この強豪チームと初戦で戦うっていうことに関してはどう捉えればいいのでしょう
今大会の出場チームのなかで、日本とアメリカは抜けた存在。対戦するのが初戦であろう2戦目以降であろうとあまり関係はないと思います。ただ、初戦にアメリカとやることのでメリットはあります。それは、おそらく最終第10エンドまで戦う展開になるだろうということ。もしくはエキストラエンドまで戦える可能性もある。もし初戦に実力差の大きな相手と当たってしまった場合、コンシードで終わる可能性がすごく高い。そうなってしまうと、終盤のアイス情報がない状態で、アメリカ戦を迎える可能性もあった。そうなるよりは、情報的に完全にイーブンな状態でアメリカと初戦を戦えるいまの組み合わせのほうが良かったかなと思います。
――日本とアメリカに続く3番手のチームは
ダークホースとなりうるのがトルコ。成績にだまされてはいけないポテンシャルを持っているチームです。スキップの選手は飛び道具として、非常に精度の高いトップウエイトを持っています。その印象にどうしても引きずられがちですが、ゲームの組み立て自体はセットアップからしっかりしていて、アグレッシブなカーリングを展開してくる。格上チームを倒す力を持っています。実際に、今年の世界選手権で日本はトルコに敗れています。ただ、このトルコというチームはドローショットで同じミスを繰り返すことも少なからずあり、そうなったときは格下相手に負けるときのパターンに陥ります。
――そのほかのチームで気になるチームは
もう1つあげるとするならばノルウェーですね。世界最終予選の直前に行われたヨーロピアン選手権で準決勝まで勝ち進みました。ベテランと若手が融合したチームで、リードがカーリング歴5年の21歳。ドローショットが得意なフォースはカーリング歴27年の39歳で、ミックスダブルスの世界チャンピオンです。チームとしてポテンシャルを出し切ったときはものすごく強い。ただし、その強さを生かすゲーム展開をまだ作れていないときもしばしば見受けられます。
――あらためて、今度の五輪最終予選で期待することは
今回の企画で声をかけていただいたあと、今年3月の世界選手権や11月のヨーロピアン選手権を中心に、この世界最終予選に出場するチームのいろんな試合をチェックしました。約1週間で30試合ぐらいは見たかな。そうして実力を分析しても、やっぱり日本とアメリカが抜けている。勝負ごとなので絶対はないものの、それでもこの2チーム以外に突破の可能性はないのではと思います。だからこそ、オリンピックの前哨戦というか、オリンピックではこういうスタイルで戦っていくのだという姿を見られそうな気もしています。状況は違うとはいえ、4年前の自分たちを思い出してみると、北京オリンピック決勝の舞台を戦ったのは、世界最終予選から這い上がってきた2チームでした。オリンピック決勝を見据えるのであれば、世界最終予選に出ていることは、ミラノコルティナでの金メダルの道に乗ってるような気もしています。
――吉田さんたちは、この世界最終予選の期間中はどこで過ごしている予定?
ちょうど世界最終予選の後半から、ロコ・ソラーレはカナダの大会に出場します。なので、世界最終予選の全試合をリアルタイムで見られるかどうかは分からないけれど、できる限り観戦したい。同じカナダにいるので、時差なしで応援できますね。