2025女子ゴルフ総括「黄金時代到来の予感」

渋野日向子の苦戦は「技術面ではなく…」 米ツアーの“壁”を知る上田桃子、次世代に示した一つの選択肢

柳田通斉

4季目の米ツアーに臨んだ渋野日向子は苦しいシーズンを過ごした 【写真は共同】

 6人が競い合うようにして年間7勝を挙げるなど、米国女子(LPGA)ツアーで日本人ゴルファーの台頭が目覚ましい。全英女子オープンとメイバンク選手権を制し、世界ランキング3位の山下美夢有は、日本勢3人目となるルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞。彼女たちの躍進の背景に、どのような要因があるのかを“プロ目線”で振り返る。

 日米ツアー通算17勝の上田桃子は、2024年限りで第一線を退き、今年10月31日に第一子となる男児を出産した。そして、新たな立場で接した今季はトーナメント解説を務めながら、米ツアーを主戦場にする選手たちにも注目してきた。後編では苦戦中の後輩たちの現状を分析ししつつ、彼女たちが持つ選択肢について語っている。

上田桃子の徹底解説・後編、米ツアーで明暗分かれた選手たち

 今季の米ツアーは「日本勢が席巻したシーズン」だった。2季目の西郷真央がシェブロン選手権を制し、ルーキーの山下美夢有が全英女子オープンで優勝。昨季に続いて日本人選手が5大メジャーで2勝した。さらに通常大会でも山下、同じくルーキーの竹田麗央、ツインズの岩井明愛と岩井千怜、8季目の畑岡奈紗が優勝した。

 一方で3季目の西村優菜(CMEグローブポイントランキング115位)、4季目の渋野日向子(同104位)、5季目の笹生優花(同132位)は低迷。この結果、2021年と2024年にメジャー大会の全米女子オープンを制し複数年シード権を持つ笹生を除き、西村、渋野は来季の出場権を懸けてツアー最終予選会(QS/12月4日~8日)に出場することになった。2人は10月、国内ツアーに戻って複数試合に出場。復調の兆しは見せたが、正直に「苦しいシーズンになった」と話している。

 上田はまず、笹生について「さらに上を目指すための過程にあるのでは」と話した。

「笹生さんは全米オープンを2回勝って、次のステージを目指しているように感じます。だからこそ、もう一段強くなるためのスイングだったり、パワーだったり、レベルアップしたいポイントがある、それを実行するにはリスクを伴いますし、我慢が必要。周りも焦らせないことが大事です」

 その上で「彼女は頭のいい選手ですし、むやみやたらに変えているわけではないと思います。ただ2年、3年もチャレンジしていると、本当にいいものまで見えなくなってくるので、どこまで継続するのか、止めるのか、その見極めが必要だと感じます」と指摘した。

西村優菜と渋野日向子が力を出せなかった要因

思うように結果が出なかった西村優菜。上田桃子は飛距離を求めてバランスを崩した可能性を指摘 【写真は共同】

 西村に関しては、「飛距離を補うためにパワー系を注視し、持っているいい部分が出せなかったのでは」と見ていた。

「彼女の強みは100ヤード以内の精度なのですが、あと5ヤード、10ヤードの飛距離を求めたことで、スイングのバランスを崩した印象があります。結果が出せないなかでも、根性がある分、引けないところもあったと思います。ただ、10月1週目のハワイでの試合を終えた段階でQSに出る覚悟を決め、そこからは切り替えたように感じます。QSでどのようにスコアを刻むのか、注目したいと思います」

 渋野に至っては、「技術的なことよりも、精神的なところが大きいのでは」との見方を示した。

「今年、『もったいないな』と感じる試合がいくつかありました。ただ、全米女子オープン7位の結果を残せる点からも、彼女の場合は気持ち的なこと、それを解消しようとしてオーバーワークになっているようにも感じます」

 米ツアーは日本ほど過密日程ではなく、オープンウィークもある。移動に時間を要することで、上田は「どうしても自分と向き合う時間が多くなります。初年度は新しい環境下で自分のプレーに集中することを考えますが、シーズンを重ねながら調子を崩した時には他の選手のことも気になるし、余計に悩むようになります」と説明した。

「渋野さんは、トレーニングに人より多く取り組むタイプですし、食事をしていてもゴルフのことが頭にあると思います。調子が出ないと仕方ない部分もありますが、今季の反省を込めて、『来季は開き直ってほしい』と願っています。そして、自分らしさを出すことにフォーカスできれば、復調に向かうことでしょう。周りが心配するほどではなく、きっかけ一つだと思います」

1/2ページ

著者プロフィール

1967年3月31日、山口県宇部市生まれ。早稲田大学社会科学部を卒業後、90年に日刊スポーツ新聞社に入社。文化社会部やスポーツ部の記者を歴任し、ゴルフ担当時代に宮里藍の活躍を追った。著書に『宮里藍 世界にはなつミラクルショット』(旺文社)。2019年に退職後、静岡朝日テレビ宣伝担当局長を経て、現在は芸能、時事、格闘技などを扱うニュースサイト「ENCOUNT」の編集長。その傍ら、JLPGAツアーの現場にも定期的に足を運び、「THE ANSWER」に寄稿している。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント