2025女子ゴルフ総括「黄金時代到来の予感」

「日本人は強い」のイメージ定着 上田桃子が“プロ目線”で分析、米ツアー席巻の背景にある要因とは

柳田通斉

日米通算17勝の上田桃子がともに戦った山下美夢有(右)ら後輩たちの躍進を分析 【Photo by Atsushi Tomura/Getty Images】

 6人が競い合うようにして年間7勝を挙げるなど、米国女子(LPGA)ツアーで日本人ゴルファーの台頭が目覚ましい。全英女子オープンとメイバンク選手権を制し、世界ランキング3位の山下美夢有は、日本勢3人目となるルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞。彼女たちの躍進の背景に、どのような要因があるのかを“プロ目線”で振り返る。

 日米ツアー通算17勝の上田桃子は、2024年限りで第一線を退き、今年10月31日に第一子となる男児を出産した。そして、新たな立場で接した今季はトーナメント解説を務めながら、米ツアーを主戦場にする選手たちにも注目してきた。前編では自身の米国での経験も振り返りながら、後輩たちが躍進している理由を分析した。

上田桃子の徹底解説・前編、13人で刺激し合える環境の価値

 上田は率直に言った。

「13人で切磋琢磨でき、情報を共有し合えていることがとても大きいと思います」

 その言葉どおり、今季は13人の日本人選手が米ツアーを主戦場にした。山下、竹田麗央、岩井明愛と岩井千怜の双子姉妹、馬場咲希はルーキーシーズンで、西郷真央、吉田優利は2季目、勝みなみ、西村優菜は3季目、古江彩佳、渋野日向子は4季目、笹生優花は5季目、2018年から参戦の畑岡奈紗は8季目だった。

 上田は日米ツアー共催のミズノクラシック(現・TOTOジャパンクラシック)を2007年に制し、米ツアーの出場権を獲得。翌2008年から海を渡って2013年までプレーした。当時、宮里藍、上原彩子らも登録選手だったが、日本人選手の位置付けは高くなく、「練習ラウンドを一緒に」と声を掛けても「NO」となるケースもあった。言葉の壁、初めてプレーするコースや芝質、食事、航空機の遅延、ロストバゲージ……。さまざまな心配と疎外感を覚ながら、異国でのツアー生活に向き合っていた。だが、現在は違う。

「インターネットが充実してコースの芝質、航空機の状況も正確に知ることができます。それに13人もいることで、さまざまな情報共有ができています。『練習するにはあそこがいい』『あのホテルは良かった』『いいレストランがあるよ』などです。何より、13人で刺激し合えていることも大きいです」

「スタイルを変えなかった選手」が結果を残した

「ありのまま」を貫き米ツアーのラウンド中に笑顔を見せる岩井姉妹 【写真は共同】

 振り返ると、2017年に宮里が現役を引退した後は、米ツアーでは畑岡が孤軍奮闘していたが、2021年に笹生が全米女子オープン優勝。2022年から参戦の古江、渋野も存在感を示したことで、日本人選手の「見られ方」が変わってきたという。

「もう、『日本人は強い』のイメージが定着して、リスペクトもされています。プレーしながら、(米ツアーを)アウェーに感じないで済むところも成績に反映しているように思います」

 今季の日本勢は、岩井姉妹の姉・明愛が開幕3戦目のホンダLPGAタイランドで優勝争いを演じると、竹田が5戦目のブルー・ベイLPGAで初優勝。9戦目のメジャー初戦・シェブロン選手権を西郷が制した。上田は、この流れも「プラスに働いたのでは」と見ている。

「他の日本人選手も『自分もやれる』という空気を感じたと思いますし、『このツアーはレベルが高い。簡単には勝てない』と決めていたハードルを下げたことでしょう。その中で自分たちの強みを発揮して、スタイルを変えなかった選手が結果を残した印象です」

 現実に4月、一時帰国して富士フイルム・スタジオアリス女子オープンに出場した岩井姉妹の妹・千怜は「この後はしばらくアメリカでの試合になります。向こうで学んで得ることも多いのですが、日本でやってきたことを出していけば、通用すると感じています」と話していた。上田は、早々にそのマインドが持てたことが「大きい」と言った。

「実際にありのままで通用していますし、1年目で勝った選手はそれだけの実力を持っていました。岩井さんは姉妹で練習ラウンドができることも大きいですし、2人の間でも切磋琢磨しています。何より、初挑戦のツアーをエンジョイしているようにも感じます。初優勝した時は、どちらも英語でコメントしていました。流暢ではなくても、今の英語力で話す。そうすることでさらに受け入れられますし、とても良いことだと思いました」

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著者プロフィール

1967年3月31日、山口県宇部市生まれ。早稲田大学社会科学部を卒業後、90年に日刊スポーツ新聞社に入社。文化社会部やスポーツ部の記者を歴任し、ゴルフ担当時代に宮里藍の活躍を追った。著書に『宮里藍 世界にはなつミラクルショット』(旺文社)。2019年に退職後、静岡朝日テレビ宣伝担当局長を経て、現在は芸能、時事、格闘技などを扱うニュースサイト「ENCOUNT」の編集長。その傍ら、JLPGAツアーの現場にも定期的に足を運び、「THE ANSWER」に寄稿している。

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