W杯、LA五輪への予選が始まるバスケ日本代表 チャイニーズタイペイとの連戦はいきなりの大一番に

大島和人

日本は今大会も2023年と同じようなインパクトを示せるか? 【写真は共同】

 もう親善試合ではなく「本番」だ。FIBAバスケットボールワールドカップ2027アジア地区予選のWindow(ウィンドウ)1が11月28日と12月1日に組まれている。日本の緒戦はチャイニーズタイペイとの連戦で、11月28日が日本(神戸市・GLION ARENA KOBE)、12月1日が台湾(新北市・新荘体育館)で戦う。

 今回のW杯予選は16の国と地域がアジア・オセアニアの7枠を争うもの。1次予選、2次予選の二段階で、一つのウィンドウで2試合ずつを消化する。2次予選の締めとなる「ウィンドウ6」の第2戦は2027年3月2日だから、かなりの長丁場だ。

 W杯本大会は2027年8月の開幕で、カタールで開催される。W杯は2028年のロサンゼルスオリンピック(LA28)の予選を兼ねていて、今回のウィンドウ1は「LA28まで続く道」の始まりでもある。

 日本は1次予選で中国、韓国、チャイニーズタイペイの4チームと同じ「グループC」に入った。ここから2次予選に進むのは3チームで、A組を突破したチームは2次予選で「グループE」に入る。2次予選は1次予選の戦績も持ち越しつつ、「まだ対戦していないグループAの3チーム」と戦う仕組みだ。

 2次予選のグループEで「3位以上」に入ればW杯出場が確定。同組4位のチームはグループFの3位とプレーオフを戦う。順当に行けばグループAからの勝ち上がりはオーストラリア、ニュージーランド、フィリピンの3チーム。いずれ揃ってかなり強豪だが、まずは1次予選を突破しなければ話は進まない。

選択肢を絞った手堅い戦いに

16チームが1次予選、12チームが2次予選に進み、7チームに絞られる 【FIBA公式サイトより引用】

 最新のFIBA世界ランキング(男子)は日本が22位、中国が27位、韓国が56位、チャイニーズタイペイは67位となっている。日本は2023年のW杯で3勝を挙げてアジア勢最上位に入り、パリオリンピックの出場権を得た。パリは全敗だったが、銀メダルのフランスを相手にアウェイでオーバータイム(延長)まで持ち込む激闘を演じている。

 ただしトム・ホーバスヘッドコーチ率いるチームは、2025年に入って思うような結果を残せていない。8月のFIFAアジアカップは準々決勝進出決定戦でレバノン(世界ランク30位)に敗れ、ベスト8に残れず敗退している。さらにさかのぼると2月20日のアジアカップ予選では中国に58-100と完敗し、7月の強化試合も韓国に連敗している。

 またチャイニーズタイペイは決して与しやすい相手ではない。確実に勝ちたい相手だが、不吉な兆候が少なからずある。2019年のW杯予選に向けた1次予選でも彼らは同組だったが、2018年2月22日に横浜国際プールで開催されたウィンドウ2の第1戦で日本は69-70と敗れている。

 2019年W杯予選の日本は1次予選の4連敗スタートから盛り返し、最終的には21年ぶりの自力出場を果たした。八村塁(レイカーズ)が合流し、ニック・ファジーカス(元川崎)が日本国籍を取得して加わった18年7月のアウェイ戦はチャイニーズタイペイに大勝している。とはいえ前々回大会で、彼らに一次予選の敗退危機まで追い込まれたことも事実だ。

 ホーバスHCは日本の現状をこう説明する。

「パリが終わってから、色々あってあまり日本らしいバスケットは続かなかった。だけどこれから旅が始まります。本当にもう遊びとかはないし、ちゃんとやらないといけない。みんなそういう考え方で、今回は『勝つ合宿』という気持ちでやっています」

 明確に結果を求められるのがW杯予選だ。だからこそのアレンジもある。

「アジアカップはディフェンスもオフェンスも、新しいプレーに色々トライしました。今回は時間が無いから、ちょっと(プレーの選択肢を)絞っています」

 攻守ともオプションを増やした結果として、夏の日本代表は遂行力が落ちていた。チャイニーズタイペイとの連戦では「やり切れるプレー」を優先させて、手堅く戦うことになるだろう。

キャプテン渡邊が口にする自信

アジアカップは苦しんだ富永啓生だが、北海道合流後は状態を徐々に上げている 【(C)FIBA】

 今回の2試合を日本はBリーグ組で戦うことになる。NBAやNCAAに所属する在米組は自チームの活動が優先で、2〜3月、11〜12月のウィンドウには参加しない。八村塁はもちろんだがシカゴに残っている河村勇輝、ジェイコブス晶(フォーダム大)といった選手も不在だ。

 そもそもバスケのW杯予選はサッカーのような「ベストメンバー」がどの国もなかなか揃わない。そこはチャイニーズタイペイも同様で、一方が不利ということにはならない。

  日本チームを観察する上で気になるのがPGの働きだ。河村はもちろん不在で、佐々木隆成(三遠)も5月のアキレス腱断裂により復帰はしばらく先。アジアカップのスタートだったテーブス海(A東京)も、負傷で今回の合宿は招集されなかった。

 富樫勇樹(千葉J)に次ぐチョイスとして30歳の齋藤拓実(名古屋D)、33歳の安藤誓哉(横浜BC)が呼び戻されていている。大きな「穴」にはならないだろうが、ホーバスHCのスタイルとの相性は不確定要素になる。

 ホーバスHCは言う。

「この前のアジアカップもペイントアタックが少なかった。経験がすごく大事、齋藤と誓哉がすごい経験あるじゃないですか。だからそこは大きいと思います」

 SGとして得点源の役割を期待されるのが富永啓生。ネブラスカ大の卒業後に加入したGリーグのインディアナ・マッドアンツでは、なかなかプレータイムを得られず苦しんだ。しかし今季はレバンガ北海道に加わり、コンディションが明らかに上がっている。

 「当たり始めると止まらない」「あり得ない体制、距離から決める」ところが富永の魅力で、彼が当たりならば日本は勝利に大きく近づくだろう。

 日本の大きな助けが、アジアカップは不在だった渡邊雄太(千葉J)の復帰。NBA通算213試合のキャリアを持つ31歳で、今回はキャプテンの指名も受けている。吉井裕鷹(三遠)とともに相手の大小問わず守備力を発揮できるタイプで、肘の回復によりシュートの精度も取り戻しつつある。

 彼は19日の取材で、力強いコメントを残していた。

「もちろんアジアカップは悔しい結果に終わりました。ただグループの他の国の立場になったとき、今の日本は同じグループにいて絶対に嫌だと思われているはずです。大変なグループではありますけど、他の国も同じように自分たちのことを恐れていると自信を持っていいと思っています。気を抜くとかはそんな余裕は一切ないけど、100%をしっかり出し切れれば、勝っていける試合だと僕は思っています」

 またセンター(C)のジョシュ・ホーキンソン(SR渋谷)は日本にとって「柱」となる存在。攻守とも万能で、長時間コートに立ちつつハードワークができる献身性も魅力だ。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、バレーボール、五輪種目と幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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