不調に苦しむ島田麻央に坂本花織がかけた言葉 攻めの姿勢で果たした、全日本ジュニア5連覇

沢田聡子

フリーでは、4回転とトリプルアクセルに挑んだ島田麻央 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

怪我明けの試合となった全日本ジュニア選手権

「もう無理だ」

 11月23~24日、東京辰巳アイスアリーナで行われた全日本ジュニア選手権。注目されていた5連覇について、フリーを滑り終えた瞬間の島田麻央はそう思ったという。しかし、フリー(124.23)だけの順位は2位だったものの、合計点は196.78で優勝。史上初の5連覇という記録を残して、島田は最後の全日本ジュニア選手権を戦い終えた。

 島田は直近の試合だったジュニアグランプリシリーズ第7戦・アラブ首長国連邦大会(10月8日~11日、アブダビ)では、4回転トウループを入れない構成のフリーを滑って優勝している。左足首の骨挫傷のため数カ月痛みが続き、練習にも制限があったため、構成を落としたのだ。

 全日本ジュニア選手権に向け、島田はまず怪我の完治を目指した。約1週間は氷に乗らず、ジャンプについては約2週間跳ばなかったという。

「4回転は本当に(全日本ジュニア選手権の)2週間前ぐらいから始めて、やっと1週間前に(回転を)締められるようになったという感じで。そこまで休んでいたわけではないんですけど、痛くてやっていた分、勝手にかばっていて、ちょっと自分のジャンプじゃなくなっていたので、すごく苦戦しました」

 トリプルアクセルと4回転トウループを操る島田は、シニアを含め世界最高レベルのジャンパーである。しかしその島田が「怪我をしてから、自分が想像しなかったぐらいジャンプが跳べなくなってしまって」と吐露した。トリプルアクセルと4回転に苦労するのは想定内だったが、3回転も跳べなくなっていたことに「すごくびっくり」したという。

「ここまで(ジャンプが)崩れるんだな」と途方に暮れていた島田に、助言してくれたのが坂本花織だった。

「NTC(ナショナルトレーニングセンター)で会った時、坂本花織選手に、こういう、怪我して跳べなくなったときがあったか聞いて、『自分はあった』と。『自分を信じて頑張ってね』と言ってくれたのが、そこからまた『練習頑張ろう』と思えたので、それもすごく大きかったです」

「(坂本に会ったのは)11月、今月のNHK杯前ぐらいなんですけど、(坂本は)自分の試合があるのに、自分にこういうふうに言ってくれるというのは本当に嬉しくて。『自分も頑張ろう』と思いました」

 シニアとジュニアでそれぞれ日本女子をけん引する坂本と島田は、全日本選手権(12月19~21日、東京)で競うことになる。ライバルでもある二人だが、坂本なら苦境を抜け出すための言葉をくれると信じた島田と、その期待に応えた坂本の関係性は美しい。今季限りの引退を決めている坂本には、島田に日本の未来を託す気持ちがあるのかもしれない。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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