アーセナル新加入の27歳が47年ぶりの快挙! アンリも成し得なかった偉業達成で一躍「時の人」に
「アーセナルを背負って立つ選手になる」と元イングランド代表も絶賛
元イングランド代表MFでリバプールOBのダニー・マーフィー氏が、ため息を漏らすようにそう語って絶賛した。
プレミアリーグのファン、特にアーセナル贔屓(びいき)の読者ならすぐにピンときたと思うが、これは先週一の注目カードだったノース・ロンドン・ダービーでハットトリックを決めたエベレチ・エゼに対するコメントだ。
毎年11月のこの時期。年内最後の代表ウイーク明けに迎える最初のプレミアリーグ戦は、「さあ、ここから本番だ!」といった独特の緊迫感が漂う。ここから3月まで代表戦に邪魔されず、ただひたすらクラブ・フットボールに集中して白熱のリーグ戦を戦う。
言うなればここは“もう1つの開幕”だろう。ここからイングランド名物の年末年始の過密日程を乗り越えていく。容赦なく次々に訪れる試合を消化しながらクリスマスの折り返し点を迎え、一気に後半戦になだれ込むのである。
今季こそ悲願の優勝を果たしたいアーセナルにとって、そんな大事な試合がこともあろうにトットナムとの苛烈なダービーとなった。
最も負けたくない“隣人”との試合は、両チームの順位に関係なく常に激しく、厳しい。プライドとモチベーションでメンタルをパンパンにした選手同士が全てをかけて戦う試合である。
トットナムはアーセナルにとって最も面倒臭い相手だ。ホームで戦うことだけが唯一の救いだった。
この前日、リバプールとマンチェスター・シティが揃って不覚を取っていた。確かにリバプールの場合は、この今季6敗目以前にすでにライバルとしての脅威が半減以下になってはいたが、アーセナルとしてはここで勝ち点3を積み上げれば、“今季こそ優勝するぞ!”という強烈な意思表示となる。
たとえ負けたとしても有利な立場であることに変わりはないが、混戦ムードが生まれ、ライバルチームが息を吹き返すきっかけを与えかねない。だから、なんとしても勝ちたい。そういう試合だった。
アーセナルの10番に相応しい選手に
今夏からトットナムの指揮を執るトーマス・フランク監督が、試合直後に発した第一声がこれだった。
この言葉には、アウェーとはいえなす術なく1-4で敗れた指揮官の“思った以上に相手が強かった”という正直な気持ちが表れていた。優勝を強烈に意識するアーセナルが最大限の力を発揮して、トットナムを圧倒したわけだ。
その強いアーセナルの中で燦然と輝いたのがエゼだった。
どんな時でも選手が力を振り絞って戦うダービー。ユナイテッドとシティのマンチェスター・ダービー、リバプールとエバートンのマージーサイド・ダービーに比肩する、プレミアリーグ屈指のノース・ロンドン・ダービー。そんな厳しく、ハイレベルの試合でハットトリックを決めた選手は、今回のエゼを含めてたったの4人しかいない。
しかも1人目のテッド・ドレーク(アーセナル)は1934年、2人目のテリー・ダイソン(トットナム)は1961年、そして3人目のアラン・サンダーランド(アーセナル)は1978年と、なんとエゼまで47年間も途絶えていた記録なのだ。つまり、あのティエリ・アンリやハリー・ケインでさえハットトリックの経験はないのである。
冒頭の絶賛コメントをしたマーフィーがいみじくも「この1試合でエゼの人生が変わった」と言ったが、1921年1月15日に初対戦し、以来198試合を重ねてきたノース・ロンドン・ダービーの長い歴史に大きく明確な足跡を残したエゼは、これまでとは違うレベルの選手として認識されることになる。
今夏に移籍したアーセナルで10番を背負い、当初はそのエース番号は期待値込みだと思ったが、今回のハットトリック一発で「アーセナルの10番に相応しい選手」というイメージに変えた。