WD名古屋・深津英臣が重ねる試行錯誤 35歳の司令塔は「世界のトップ」をどう生かすか?
「こんな環境でやれるのは、本当に幸せなこと。僕のバレー人生の中でも、昨日、今日はすごく興奮した試合でした。バレーがここまで来たんだ、というのがすごく嬉しかったし、これが当たり前じゃないけれど当たり前になってくれたらいいな、と思って。いろんな感情が溢れた試合でした」
1万人に迫る9010名という大観衆の前で試合をする。日本代表で臨んだ国際試合では経験があっても、VリーグやSVリーグではなかなかできるものではない。昨年ウルフドッグス名古屋に移籍するまで、大阪ブルテオンの前身、パナソニックパンサーズの司令塔として輝かしい戦績を残してきたが、日本代表で勝てない時代も経験した。
大勢の人たちがバレーボールを楽しみ、声援を送る。その環境が決して当たり前ではないと身を持って知っているからこそ、深津の言葉には重みがあった。
実りつつある試行錯誤
これぞ深津だよな、というプレーを随所で見せ、チームも2連勝。その前節ではサントリーサンバーズ大阪に連敗を喫していたこともあり「勝って自信をつけたい中で、この結果になってよかった」と笑顔を見せた。
どれほど経験を重ねても常に貪欲で、成長や進化のための努力を惜しまない。名古屋での2シーズン目となる今季も、開幕直後から試行錯誤を重ねる深津の姿があった。
フベルや宮浦、世界のトップ選手が揃うからといって簡単に勝てるか。思い描く攻撃が展開できるかといえばそう簡単なものではない。10月25日の開幕戦直後も、フベルとの攻撃がなかなか噛み合わずに苦しい場面も目立った。
世界選手権を終えてからの合流で、攻撃を合わせる時間も限られていたのだから仕方ない。そう見るのが大半ではあったが、チームにとって間違いなく強みである攻撃をどれだけ完成に近づけて行けるか。さらなる進化を遂げられるのか。練習を重ねるだけでなく、試合でも積極的に使う以外の選択肢はない、とばかりに翌日26日の広島サンダーズ戦では、ラリーが続いた場面で深津はフベルの攻撃を選択、鮮やかに得点へつなげて見せた。
「バタバタした場面であえてBクイックを使う。僕は、全チームの中でうちもミドルが一番強いと思っているので、そこは1つの武器にしていきたい。確かに時間は短くて、あれだけの高さを活かすためのコンビは手こずりましたけど、どんどんいいコンビができてきた。フベルとのコンビを極めるのはもちろんですけど、他の攻撃も精度を落とさず、最後までやり続けることが大事だと僕は思うので、そこは貫いていきたいです」
もちろん一方通行ではなく、フベルも同じ。深津とのコンビについて尋ねると、笑顔で応えた。
「我々のコネクションは非常によくなっている感じがありますが、もっとよくなるという感覚も同時にあります。相手とのマッチアップもあるけれど、オミさんが、私を使いたいと思うときにいつでもトスを上げることができる相手でありたい。オミさんと同じように、私も準備し続けます」