「私が罪人」日韓戦敗北で見えた重圧 元世界ランク1位も警鐘…韓国女子ゴルフに潜む2つの問題点
日韓戦に敗れた選手が流した大粒の涙
キム・ヒョージュが漏らしたこの衝撃の一言が、すべてを物語っていた。近年の韓国選手が背負う重圧の大きさを象徴するようだった。
今年10月、韓国で開催された米女子ゴルフ団体対抗戦「ハンファ・ライフプラス・インターナショナルクラウン」。大会3日目、開催国の韓国は“最強ジャパン”と対決し、勝てば首位通過が見える大一番を迎えた。迎えた18番、韓国がバーディを決めれば勝ち。残ったのは1メートルのパットだった。だが、チームキャプテンのキム・ヒョージュはこれを外し、直後に山下美夢有が沈めたバーディで韓国は逆転負けした。
ホールアウト後、元世界ランク1位のコ・ジンヨンとチェ・ヘジンは肩を落とし、大粒の涙を流した。その中で、キム・ヒョージュは韓国メディアの取材にこう語っている。
「引き分けでも準決勝に行けましたし、私が最後のパットを入れていれば勝てた状況でした。グリーンの読みがうまくいかなかった。17番でもバーディパットがカップをなめて入らなかった。今日、私ができたことは(チェ)ヘジンのラインを見てあげたことくらいです……」
開催前から「優勝候補」と警戒していた日本に母国大会で敗れた悔しさは計り知れず、涙には“日韓の力関係の揺らぎ”という象徴的な意味すらにじんでいた。今季の米ツアーでは日本勢の勢いが凄まじく、韓国国内でも「日本に追い抜かれたのではないか」という声が広がりつつある。それだけに、韓国は日本に負けるわけにはいかなかったのだ。
韓国ツアーの賞金規模拡大で米ツアー挑戦者が減少
今季、米女子ツアーにおける韓国選手の世界ランキングトップ10入りは、11月24日時点で8位のキム・ヒョージュただ1人。かつては常に数人がトップ10を占め、“女子ゴルフ最強国”を象徴していたが、近年はその存在感に陰りが見える。一方、日本勢は世界ランキング3位の山下美夢有、9位の西郷真央を筆頭にトップ50以内に9人を送り込み、ランキング面では確実に勢力図が変わり始めている。
さらに今季の日本勢は、例年になく勝利数が多い。山下美夢有はメジャーのAIG女子オープンを含む2勝を挙げ、西郷真央はシェブロン選手権という大舞台で勝利。竹田麗央がブルー・ベイLPGA、岩井千怜がメキシコ・リビエラ・マヤ・オープン、岩井明愛がポートランド・クラシック、勝みなみがビュイックLPGA上海を制した。日本勢6人が7勝というインパクトは大きく、日本ゴルフ界が世界で十分に通用する選手層に成長したことを強く印象づけた。
この状況を受けて、「韓国勢は絶対的な存在ではなくなったのか」という問いが自然と浮かぶ。
その背景にある一つの要因が、韓国女子ツアーの環境があまりにも充実し過ぎたという点だ。
KLPGAツアーは年々賞金規模を拡大しており、2025年シーズンは30試合開催で賞金総額は約33億5855万円に上った。大会のうち26試合が賞金総額1億円超、トップ大会の「ハナ金融グループチャンピオンシップ」や「ハイト眞露チャンピオンシップ」は約1億5000万円と高額賞金だ。昨季は年間獲得賞金が1億円を超えた選手が4人も誕生(今季は3人)。国内にいるだけで安定した収入が得られ、キャリアが成立するツアーになった。
環境が良くなる一方で、米ツアーに挑戦する必要性が薄れた。実際、今季の米ツアーQスクールを突破した韓国の新加入選手は、ユン・イナ1人だけだった。
長距離移動、時差、経費、コースの難易度と、米ツアーは総じて負荷が高い。韓国国内で十分に稼げるなら挑戦しなくなるのは自然で、結果として“挑戦者不在”の状態が生まれ、全体の層が薄まりつつあるという指摘もある。