“間合い”を支配するゲームチェンジャー 中村敬斗が北中米W杯で日本の切り札に

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18日のボリビア戦では1得点1アシストの活躍を見せた 【Photo by Koji Watanabe/Getty Images】

前線で「違い」を作り、流れを変える

 中村敬斗はサッカー日本代表の中でも、「違い」を創り出せるアタッカーのひとりだ。今夏には所属チームのスタッド・ランスが2部リーグ降格となり、移籍問題で大きな注目を浴びた。しかし周囲の喧騒をよそに、彼は代表で高レベルのパフォーマンスを見せており、試合の流れを変える切り札として、真価を発揮している。

 スペースへの抜け出し、中央での細かい崩し、そして得点に直結するクオリティ――。そんな彼の魅力は、67分からの起用で1得点1アシストを挙げた18日のボリビア戦でも証明された通りだ。

 中村は「今回はシャドーでよりゴールに向かう意識を持って入れた」と口にするが、有言実行の23分間だった。

 特に足裏でボールを引き、相手のタイミングを完全に外してから放った78分のゴールは、中村が持つ“間合い”の妙味が出た。彼は「受けた瞬間から1回引いてマイナスに流すイメージは持っていた」と振り返っていたが、創造性が分かりやすく出たアクションだった。

 そのプレーには独自のリズムがあり、周囲が熱を帯びても騒がしくてもクールにプレーできる。異才が揃う日本代表の攻撃陣の中でも、彼は他の選手にない“何か”を持っている。

代表で見せている結果と存在感

 中村の存在が特異な所以は、そのスタイルだけではない。日本代表で残している数字は、その価値を雄弁に物語る。通算22試合10得点――このペースは歴代でも上位に入り、途中出場の多さも含めて考えれば、その決定力は際立っている。

 彼の特徴は、スピード勝負でもフィジカル勝負でもない。最も大きな武器は、相手が“嫌がる場所”へ自然と入り込む空間認知力。そして相手の逆を突くスムーズな重心移動とボールタッチだ。しかも欧州での経験を重ねたことで、高い強度の中でもそれを発揮できる。一瞬のズレを生み出すことで、自らに余白を創り出す。中村のプレーには、そうした「再現可能な即興性」が付随する。

 また中村は左ウイングバックとシャドーを、高いレベルでこなせる万能性を持つ。シャドーは「ウイングバックよりボールを受けられる回数が増えて前を向ける」と語るように、その自由度を最大限に生かして得点に絡めるポジションだ。

 ボリビア戦のアシスト場面は、まさにその代表例だ。堂安律からの鋭いパスを、ポケットで受け、相手守備の急所を一刺しするクロス。「あれはシャドーならではの動き出し。代表じゃないと出てこないパス」と本人も語っているが、高度な連携を自然に体現できるのは、中村のスキルやセンスがあってこそだ。

 代表の左サイドには三笘薫という絶対的な存在がいる。しかし、中村はポジション争いを悲観せず、前向きに受け止めている。「必ずしもスタメンが良いとは思わない。与えられた役割をやるだけ」という言葉に象徴されるように、彼は“勝つために何が必要か”を冷静に理解し、自らの役割を見出している。これも、代表での存在感を高めている一つの理由だ。

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