98年以来のW杯出場が目前! 本大会で伏兵筆頭と目されるノルウェー代表の全貌
かつての大味なサッカーから脱却してモダンなチームに変貌
W杯欧州予選で、EURO2020優勝国イタリアと同居する厳しいグループに入りながら、そのイタリアをホームに迎えた6月の直接対決で3-0と一蹴しただけでなく、予選を通した得失点差でも+26対+10という圧倒的な差をつけている状況だ。
11月13日(現地時間、以下同)に組まれているホームのエストニア戦で勝利を収めさえすれば、たとえ続く16日のグループステージ最終戦でイタリアに敗れて勝ち点で並ばれたとしてもなお、得失点差で上回りグループ首位で予選を終えることは99.99%確実になる。
来年の北中米W杯では、近年のプレミアリーグで絶対的な主役を演じながらも、代表のビッグトーナメントとは無縁のキャリアを過ごしてきたFWアーリング・ハーランド(マンチェスター・シティ)やMFマーティン・ウーデゴー(アーセナル)がノルウェー代表のシャツに身を包んで躍動する姿を、ついに目にすることができるはずだ。
ノルウェーといえば、10年あまり前までは、北欧ならではの大柄な体格を活かしたダイレクトプレー主体の大味なサッカーで知られていた。代表のビッグトーナメントは、チェルシーなどでプレーした大型FWトーレ・アンドレ・フローを擁して1998年フランスW杯、EURO2000に出場したのが最後。その後の四半世紀は北欧でもスウェーデンやデンマークの後塵を拝してきた。
ところが、今回のW杯欧州予選では、ロングボールやハイクロスよりもむしろ、スルーパス、ドリブル突破、中央でのコンビネーションといったテクニカルな崩しから得点を量産するモダンなチームに変貌を遂げ、ここまで6戦6勝、29得点・3失点という圧倒的な結果でグループ首位に君臨している。
チームの陣容も、ハーランド、ウーデゴーに加えて、FWアレクサンデル・スルロート(アトレティコ・マドリー)、ウイングのアントニオ・ヌサ(RBライプツィヒ)、オスカー・ボブ(マンチェスター・C)、SB(サイドバック)のユリアン・リエルソン(ドルトムント)ら、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグで戦う欧州トップレベルのクラブで主力を担う国際レベルのプレーヤーが揃う。
チームの「背骨」は195センチ級の4人が形成するセンターライン
ここで示されたゲームモデルや育成モデルは、ゾーンディフェンス、トランジション(攻守の切り替え)とダイレクトプレー重視といったノルウェーサッカーの伝統を踏まえつつも、ゲーム/戦術理解、スピード、技術、1対1の突破力といった要素も重視する、モダンサッカーの文脈を踏まえたもの。
ウーデゴー、ハーランドに加えて、現在代表とクラブの双方で台頭しつつあるボブ、ヌサ、アンドレアス・シェルデルップ(ベンフィカ)といった2000年代生まれの若手たちは、この代表強化/育成プロジェクトの申し子と言うべき存在である。
ノルウェー代表は、このプロジェクトが軌道に乗り、ストーレ・ソルバッケン監督が就任した2020年以降、カタールW杯予選ではオランダ、トルコにわずかに及ばず3位、EURO2024予選はスペイン、スコットランドに負け越して3位と、惜しいところで本大会出場を逃してきた。
しかし、UEFAのナショナルチームランキングでは2019-20シーズンの24位から、21-22シーズンに14位、24-25シーズンは10位と着実に上昇中。昨シーズンのUEFAネーションズリーグでもリーグBを制して、スペイン、フランス、イングランド、ポルトガル、イタリアなどが名を連ねるリーグAへの昇格を決めている。今回のW杯予選突破も含めて、「中堅国」から「強豪国」への階段を着実に上りつつあると言っていいだろう。
ソルバッケン監督の下でこのW杯予選を戦ってきた現在の基本フォーメーション(4-3-3)は以下の通り。
システムの観点から見て興味深いのは、スルロートの右ウイング起用。チームにはドリブル突破を武器とする左利きの典型的なウインガーであるボブもいるのだが、ソルバッケン監督はあえて本来CFのスルロートを重用している。
スルロートは攻撃の局面ではサイドから中央に入り込んで、ハーランドと連携しながら2トップ的に振る舞う傾向が強く、4-3-3とはいっても実際には左右非対称の配置になることが多いのだが、逆にそれがいいアクセントになっている側面もある。前線で縦パスのターゲットとなることで、ハーランドへのマークを分散させて自由に裏のスペースを狙うのを助け、さらにフィニッシュの局面でゴール前の密度を高める機能も担っているからだ。
また、守備の局面では右サイドに開いて4-5-1ブロックの中盤ラインに加わることで、守備強度が高いとは言えないウーデゴーを補うことができる。ここにボブが入るのと比べると、右サイドの守備という観点からはより安心できることも確かだ。