2025女子ゴルフ総括「黄金時代到来の予感」

「神様のような人」宮里藍が次世代に残したもの 20歳で米挑戦、世界1位も失敗も経て胸に刻んだ教訓

柳田通斉

2010年の米女子ツアーで5勝を挙げた宮里藍。世界ランキングでも日本人初の1位に立った 【Photo by Jonathan Ferrey/Getty Images】

 今季の米女子ゴルフツアーには5人の日本人選手(山下美夢有、竹田麗央、岩井明愛、岩井千怜、馬場咲希)が本格参戦し、馬場を除く4人が優勝を飾った。5大メジャーでは、米女子ツアー2年目の西郷真央が4月のシェブロン選手権で優勝し、8月には山下が全英女子オープンを制した。日本人によるメジャー2勝は昨季(笹生優花、古江彩佳)に続く快挙。文字通り、日本女子の黄金時代が到来している。

 その礎を築いた1人が、2003年に史上初の「高校生プロゴルファー」となって一躍時の人となり、米女子ツアーでも通算9勝を挙げた宮里藍だ。その輝かしいキャリアは、40歳になった今も現役の選手たちはもちろん、ジュニア年代や保護者に好影響を与えている。本人の言葉と行動、周囲の証言をもとに、近年の日本女子ゴルフ界の隆盛につながる、その一端を紹介する。

海外挑戦の流れを歓迎「絶対に経験した方がいい」

全英女子オープンで優勝した山下美夢有(中央)を切磋琢磨する日本人選手たちが祝福 【Photo by Richard Heathcote/R&A/R&A via Getty Images】

 10月9日、宮里はスタンレーレディスホンダのプロアマ戦に出場後、米女子ツアーに今季から本格参戦している4人が優勝した感想を問われ、実感を込めて言った。

「すごいですよね。みんな、どうやってんのかなと思います」

 自身はアマ時代を含めて国内で優勝を重ね、「藍ちゃんフィーバー」を起こした後に20歳で海を渡った。だが、最高峰である米女子ツアーの壁は厚く、初優勝は4年目だった。その間には、飛距離を求めて大幅にスイングを改造したことでドライバーイップスに陥ってもいる。

 一方で、岩井ツインズの妹・千怜は「日本でやってきたことを出していけば、通用すると思います。スイングもクラブも替えません」と宣言し、結果を残した。姉の明愛、山下、竹田も同様で「変えず」にプレーし続けた。それも踏まえ、宮里は言った。

「行く前からその感覚があったのは素晴らしいと思います。飛距離が伸びていることも要因だと思いますが、それだけでは勝てないので、芝の種類やコースへの対応力がすごいんだと思います」

 日本でやってきたことを変えずにプレーし、世界でも通用する――。それは、国内女子ツアーのレベルアップを意味している。

 現在、米女子ツアーを主戦場とする日本人選手は13人。宮里の時代は、宮里美香、上田桃子、横峯さくら、上原彩子らで「少なかった分、応援し合っていた」というが、かつての自分がそうだったように、選手たちが海外挑戦をする流れは「いいこと」と受け止めている。

「世界の選手に刺激をもらうことは、『絶対に経験した方がいい』と感じています。なので、私もそうでしたが、個人として『アメリカでやりたい』というモチベーションがあることは、とてもいいことだと思っています」

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著者プロフィール

1967年3月31日、山口県宇部市生まれ。早稲田大学社会科学部を卒業後、90年に日刊スポーツ新聞社に入社。文化社会部やスポーツ部の記者を歴任し、ゴルフ担当時代に宮里藍の活躍を追った。著書に『宮里藍 世界にはなつミラクルショット』(旺文社)。2019年に退職後、静岡朝日テレビ宣伝担当局長を経て、現在は芸能、時事、格闘技などを扱うニュースサイト「ENCOUNT」の編集長。その傍ら、JLPGAツアーの現場にも定期的に足を運び、「THE ANSWER」に寄稿している。

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