エル・クラシコで衝突したヤマルとカルバハル 両者の関係悪化がスペイン代表に及ぼす影響は?
正確に伝えられなかったヤマルの発言
スペイン国内では、いまだにエル・クラシコの余韻が後を引いている。連日メディアを賑わせているその主役は、バルセロナのラミン・ヤマルだ。エル・クラシコ前には、スペイン代表での戦いで恥骨を痛めた彼に対して同情的な声も聞かれたが、しかしその後、負傷中でありながら(当時の)彼女とヘリコプターデートをしたり、試合2日前にキングスリーグ(7人制のサッカー大会)に参戦し、そこでのイベントでレアル・マドリーを挑発するような言葉を口にしたりと、とにかく話題に事欠かない。
結果的に、このキングスリーグのイベントに参加したことが仇となってしまったのだが、しかしながら多くのメディアは当時の正確な情報を伝えていない。実際、ヤマルは直接的にR・マドリーを揶揄(やゆ)する発言をしたわけではなかったのだ。
キングスリーグのクラブの1つ、ポルチーノスFCについて司会者から、「このチームはR・マドリーと似ていると思うか?」と問われたヤマルが、「もちろん。(試合を)盗むし、文句を言うし」と冗談交じりに返す。するとこれにポルチーノスFCのオーナー、イバイ・ジャノスが反応。「R・マドリーが試合を盗むって?」と聞き返したところ、それに対してヤマルが苦笑いをしながら「いやいや、それは……」と、口ごもるようなリアクションをした、というのが真相だ。
付け加えると、このイバイ・ジャノスは10年ほど前からサッカー界ではよく知られた若き億万長者で、TikTokで2700万人ものフォロワーを持つスペイン人インフルエンサーの走りでもある。また、生粋のR・マドリーファンとしても有名で、だからこそイベントの司会者も前述のようなフリを――あくまでもジョークで――したわけだ。
ヤマルの言葉に驚き、目を剥いたようなイバイ・ジャノスの表情と、さらにそれを見て「しまった」といったふうにやんちゃな笑顔を浮かべるヤマル。現場ではそのやりとりが笑いを誘ったのだが、しかしソーシャルメディアは容赦がなかった。
とりわけ、R・マドリー寄りのメディアによるヤマル叩きは、エル・クラシコ直前ということもあって、恐ろしいほどに苛烈だった。もっとも、ネット上でのバッシングや悪質なコメントの類、そして試合会場となったサンティアゴ・ベルナベウでのブーイングといったものは、想定内であった。
冗談でも信じがたい代表キャプテンの言葉
試合はR・マドリーが2-1とリードして迎えたアディショナルタイム、バルサのペドリがアフタータックルで退場になったのをきっかけに両者が一触即発の状態となる。
その後、ヤマルは試合終了のホイッスルとともに、彼の方から近づいて相手チームのキャプテン、ダニエル・カルバハルのもとへ挨拶に行くのだが(拡散されているほとんどの動画になぜかそのシーンは映っていないが)、そこでカルバハルが「(お前は試合の前に)話しすぎだ。(試合に負けた)今、話せよ!」とジェスチャー付きで煽り、そこから両チーム入り乱れての騒動へと発展するのだ。
最近はすっかりヒール役が板についたヴィニシウス・ジュニオールも、周囲の制止を振り払ってヤマルに向かっていったが、しかし彼の暴走はいつものことで、スペイン的観点で言えばご愛嬌で済むレベルだった。
問題視すべきは、試合終了後の騒動のきっかけとなったカルバハルの行動だ。なぜなら、彼はR・マドリーだけでなく、スペイン代表のキャプテンでもあるからだ。
エル・クラシコ後のあるインタビューで、カルバハルはこう言い切っている。
「スペイン代表が来年のワールドカップに出場して、もしヤマルがチームの一員としてそこで戦うつもりなら、俺は“彼ら”と一緒にプレーしない」
のちに「冗談の一部を切り取られた」と本人がコメントしたようだが、しかし発言の撤回はしていない。何より百歩譲って冗談だとしても、それが代表キャプテンの言葉だとはとても信じられない。