言葉では説明できない「見えない力」が働いたドジャース 最後に勝者と敗者の行方を分けた差は?
「なぜ勝てたのか説明できない」
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「今年の優勝は、去年よりもはるかに難しかった」
バンダは、ほっとした表情で、そう言葉を絞り出した。
――今日も追い込まれた。
「あぁ、負けたと思った。なぜ勝てたか? うまく説明できない」
そう言って苦笑したが、もちろん、安堵をもたらしたのは、1年間を戦い抜いてこその思い。
「今年はけが人も多かった。最後に先発がみんな戻ってきたけど、本当に戦力が揃わなかった」
特に投手陣にけが人が多かった。先発ではブレーク・スネル(約4カ月)、タイラー・グラスノー(約2カ月)、佐々木朗希(約4カ月半)。リリーフでもブレーク・トライネン、マイケル・コペックら勝ちパターンのセットアッパーが長期離脱。カービー・イェイツ、タナー・スコットも欠場が多く、何より彼らは、最後まで状態が上がらなかった。
結果、バンダ、アレックス・べシア、ジャック・ドレーヤー、ベン・カスペリアスらにしわ寄せがおよび、バンダの登板回数は、キャリアハイで、チームトップの71試合に達した。
「もう、とにかく休みたい」
11月いっぱいは、ゆっくりするそうだ。
その彼は、ちょうど、ブリュワーズとのリーグ優勝決定戦で王手をかけた日の試合後だったか、こんな話をしてくれた。
「フィリーズとの第4戦に延長で勝ったこと。あれが大きかった。あの試合を落としていたら、多分、第5戦も勝てなかった」
第4戦、ドジャースは延長十一回、オライオン・カーカリングのミスで、棚ぼたの勝ちを拾った。しかし、負けていればフィラデルフィアに移動して第5戦を行うことになっていた。第1戦、2戦と敵地で連勝していたドジャースだったが、熱狂的な応援で知られるフィラデルフィアで3つも勝てるかどうか、ドジャースの選手らでさえ、悲観的だった。
「向こうは、嬉々としてホームに帰る。こっちは、ガッガリしてフィラデルフィア行きの長距離フライトに乗らなければならない。テンションがまるで違ったと思う」
勝ったことで逆にリズムに乗り、リーグ最高勝率でプレーオフに駒を進めたブリュワーズを4タテ。ただ、ワールドシリーズを迎える上では、そこに落とし穴があった。
「認めたくないし、言い訳にもしたくないけど、間が空きすぎた」