【天皇賞(秋)】人気薄予想の6歳馬に高評価「184」 タイム評価が見つける激走馬

SPAIA競馬

【写真:アフロ】

上位人気想定馬を上回る指標、高いコース適性

 今週末、伝統の「秋の盾」天皇賞(秋)のゲートが開く。マスカレードボールとミュージアムマイルの3歳馬2頭に注目が集まる中、SPAIAの独自指標「タイム評価」からは伏兵の激走が見えてきた。

「タイム評価」は、単なる走破タイムではなく、馬場状態やペースといった「タイムの出やすさ」を加味して、タイムの真の価値をスコア化したものである。異なるレース同士の比較も可能な指標となっている。

ジャスティンパレスと上位人気が予想される5頭のタイム評価 【SPAIA競馬】

 「タイム評価」から激走する姿が浮かび上がったのは、2023年に天皇賞(春)を制したジャスティンパレスだ。ジャスティンパレスの「最高タイム評価」は184。対して、1、2番人気が予想されるマスカレードボールは167。ミュージアムマイルとは183と肉薄するが、宝塚記念を制したメイショウタバル(179)強力な末脚が武器のシランケド(172)、一昨年のダービー馬タスティエーラ(173)といった上位人気馬を、ジャスティンパレスの数値は上回っている。

 今回の舞台である「東京芝」という条件に絞ってもランキング1位は変わらない。ジャスティンパレスのタイム評価は180。次点はシランケドの172。「最高タイム評価」で僅差だったミュージアムマイル(161)には大きく差をつけている。

 数字だけではなく、実績もこの舞台適性を裏付けている。2023年の同レースでは、世界ランキング1位にも輝いたイクイノックスに迫る2着に入線。このときのイクイノックスの走破タイムは当時の芝2000mのJRAレコードを0秒9も更新する1分55秒2、タイム評価は183だった。昨年(2024年)の天皇賞(秋)でも、上がり3ハロン33.0秒という出走馬中最速の末脚を繰り出して4着に食い込んだ。東京2000mという舞台は、パフォーマンスを発揮しやすい舞台なのだ。

6歳の壁と近況の不安を展開利が覆す

 一方で、宝塚記念に続き人気薄が予想されているのも事実。データ上からも厳しい現実が見える。ネックとなるのは「6歳」という年齢だ。過去10年の天皇賞(秋)において、6歳以上の馬は[0-0-0-42]と一頭も3着以内に入れていない。

 天皇賞(春)を制覇して以降、2年以上も勝利から遠ざかっている点も不安を煽る。前走の宝塚記念で3着と復調気配を見せたとはいえ、追い切りに関しても「まだ本調子ではないかもしれない」という陣営の慎重なコメントも報じられており、万全の状態にあるか一抹の不安が残ることも確かだ。スタミナタイプであり一瞬の切れ味に欠けるという評価も、高速化が進む近年の天皇賞(秋)に適さないという判断につながっていそうだ。

 だが、ジャスティンパレスには、この統計的な壁とコンディションの不安を相殺しうる「プラス材料」が期待できる。それはレース展開だ。

 今年のレースには、個性派逃げ馬メイショウタバルが参戦する。宝塚記念の覇者である同馬が、淀みない厳しい流れを作り出すことが予想され、この展開はジャスティンパレスにとってまさに「待望」のものだ。

 菊花賞3着、阪神大賞典1着、天皇賞(春)1着の実績が示す通り、スタミナが問われる消耗戦こそが真骨頂。加えて、一線級の爆発的な切れ味に比べれば物足りないものの、イクイノックスの2着に敗れた際も、ジャックドールが作る緩みのないペースの中、メンバー最速の上がり33.7を繰り出しており、高い水準でスピードを備えていることも示している。メイショウタバルが宝塚記念を再現すれば、他馬がハイペースに脚を削がれる中、豊富なスタミナとスピードを武器に浮上できる。

 タイム評価の数字と想定人気は「買い」を示し、過去の実績は「G1級」を証明している。レースの傾向からは厳しい結果が予想されるが、スタミナが問われるレース展開は、その不利な傾向を補う材料となり得る。

 これまで21レースに出走し、GI以外での勝率は100%。イクイノックス、ドウデュースといったトップクラスのメンバーと戦い続け、GI出走は早18戦目。歴戦の古馬ジャスティンパレスが3度目の秋の盾に挑む。
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